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zoom RSS 映画「エル・スール」も素晴らしい作品だ

<<   作成日時 : 2011/05/07 09:15   >>

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「ミツバチのささやき」と「エル・スール」は、いつもセットで上映される。 「エル・スール」は、「ミツバチのささやき」の陰に隠れてはいるが、なかなかどうして、こちらも傑作だ。 

「ミツバチのささやき」から10年、待望の第二作が「エル・スール」だった。 こちらは、父と娘の物語という点で、やはり、私には、特別な作品だ。 右派ファシスト側の父親と、人民戦線側の息子アグスティン(オメロ・アントヌッティ)は、激しいいがみ合いの末、家を出た経緯がある。 内戦がフランコ側の勝利に終わり、アグスティンは、監獄に入れられたり、失意の内に、家や職場を転々とする。 妻は教職を追放され、家で娘エストレリャの勉強をみている。 家族は引越を繰り返してきたが、北のある村で医師の仕事を得て、通称「かもめの家」に落ち着いた。

エストレリャ、15歳のときの1957年秋、父アグスティンのダウジングに使う振り子が自分の枕元にあることを知り、父は、もう帰ってこないと直感する。 そして想いは幼いときに遡ってゆく。 

エストレリャは、父親と居ることが好きだった。 ダウジングで水脈を当てるのも父なら当然可能だと思っていた。 父の名付けた、家の前の道"国境"て、父の帰りを待ち、バイクにのせてもらうことが好きだった。 初聖体拝受のとき、右派ファシスト側に付いたカトリック教会だから、来たこともない教会にエストレリャのために来てくれた。 そのとき娘は父に言う。 あきたら外に居てもいいから、ずっと居てねと。 そしてそのあと、父娘二人で、“エン・エル・ムンド”を踊った。 南からアグスティンの母親と乳母ミラグロスがやってきて、お祝いに参加した。 エストレリャにとって、南は、父の故郷であり、ミラグロスの要るところとして具体的になった。

私の最も好きなシーンのひとつが、教会の奥で゛闇の中から浮かぶ父親の姿、そして、二人で楽しそうに踊る姿だ。

そんな父にも別の一面があることをある日知る。 父の机の中に、イレーネ・リオスと書かれた名前がみつかったからだ。 そして偶然、町の映画館のポスターにその名前を見つけ、映画館から出てくる父の後をつける。 父はレストランにはいり、手紙を書いている。 窓ごしにみたエストレリャは、窓をこんこんと叩く。うしろめたそうな顔をした父の顔があった。

この場面は、素晴らしいシーンだ。 イレーネ・リオス、本名ラウラ宛に手紙を書いていたときだから、その恥ずかしさ、後ろめたさが、全身にでている。 名優、オメロ・アントヌッティの名演技といってよい。

ラウラからの返信は、なぜ、今になって手紙などくれるのか。 もう、過去は振り返りたくない、二度と手紙など出さないでくれという冷たいものだった。

アグスティンは、つくづく、ダメな男である。 医師であり、霊力も持っているのだが、上流階級出身のインテリの弱さなのだろうか、内戦で敗れた後、転々として、その敗北から立ち上がれない。 昔の彼女にも手紙をだして、何が望みなのかと問い詰められてしまう。 ほんとに何を望んだのだろうか。 そして、妻といさかいの後、家を出てしまう。 
エストレリャは、家の重苦しさに、早く大きくなり、家を出たいと思っていた。 エストレリャが国境の並木道を自転車で行くと、場面は時が過ぎ、自転車で帰ってきた時は、高校生くらいになっている。 初めてみたときは、この手法は新鮮だったが、今では韓国映画や韓国ドラマが好んで使う手法だ。 

父から誘われてレストランで昼過ごす。 隣では陽気に結婚式のパーティをしているが、この父と娘はぎこちない。 娘は、昔聞きたかったイレーネ・リオスについて尋ねるが、父は詳しいことを何も話すことができない。 その会話が最後の会話だった。

父の死後、エストレリャは、ミラグロスの勧めもあって、南に静養に行く。 



一説には、エストレリャが南に行った後の脚本も用意されていたらしいが、予算が足りずに、ここで終わったという説もある。 ただ、私は、ここで終わった方が良いと思う。 続いていれば、父が死の直前掛けた南への長距離電話の内容がわかっただろう。 しかし、それは、解らなくともよい。 

激しい戦いとなった内戦の影響は、とても大きいようだ。 「誰が為に鐘は鳴る」や「ゲルニカ」に語られるように、どちらの側の攻撃も激しく、悲惨で、親子、兄弟の間も二手に別れて殺しあったのだろう。 その歴史を知れば、エル・スールの父親の想いがもうすこし理解できるのかもしれない。 

エストレリャは、抗議のため、ベッドの下に隠れて、父親が探しに来てくれることを期待したが、アグスティンは、沈黙で答えた。 父の悩みの方が遥かに重いものだと告げるように。 その重さは、なかなか、平和な日本人には理解しがたい。 

ただ、父と娘の視点だけで見ても、とても素敵な映画だ。 いまも、私の好きな映画ベストテンには確実にはいっている。




映画「ミツバチのささやき」(ビクトル・エリセ監督、スペイン、1973)
映画「エル・スール」(ビクトル・エリセ監督、スペイン、1982)






  

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