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zoom RSS ジョン・W・ダワー「忘却の仕方、記憶の仕方 日本・アメリカ・戦争」は読みごたえのある良書だ

<<   作成日時 : 2013/11/29 08:12   >>

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ハーバードで学位取得、MITの名誉教授というダワー氏の書き下ろしの解題と、多くは90年代初出の論文を掲載している。 たいへん読み応えがあり、たっぷり2週間かかったが、歳のせいか読んだ端から忘れてゆく。 つくづく思うのは、日本は不完全なサンフランシスコ講和条約の残滓をいまだ解決できないどころか、米国の戦略に一層組み入れられ、従属してゆくということだ。

「アメリカの冷戦政策への日本の編入」によって、1940年代のおわりころには「アメリカの対日占領政策が、いわゆる「逆コース」を経験し、それまで強調していた「非軍事と民主化」から、「経済再建と再軍備」や、アメリカの「対共産主義封じ込め戦略」への統合に、軸足をうつしたのだった。」 そのため、自衛隊の装備は米軍の提供だったし、朝鮮戦争にも日本が参戦することを要請されていた。 

当時の自民党政治家でも、米国の要請をそのまま受け入れたわけではない。 9条はその口実にもなった。 圧倒的に民意がそれを許さなかった時代背景がある。 

いまは、しかし、どうだろう。 米国の意に沿うことを 主眼としているとしか思えない政治家も少なくない。 米国の意に沿っているかに見えて自身としては民族的自立をはかろうとしている政治家もいるだろう。 しかし、その境目やちがいは微妙だ。 米軍と自衛隊との共同作戦、軍事秘密保護のための立法や集団的自衛権の要請など、次々と米国への従属が強まっている。




「なぜアメリカ人はナチスよりジャップを嫌うのか」という記事もあったが、「米政府は、ドイツ系、イタリア系ではなく、日系アメリカ人を強制収容することによって、日本人を人種上の的に指名することを公認した」。 それは、「ホロコーストは知りつつも無視したか、無関心のことがらに属していた。 他方で日本の侵略行為は、白人優越主義の最も深い奥底まで刺激し、世界の終末論に近い反応を引き起こした」という。 明らかにアメリカ人の日本に対する差別はあった。 

同時に、「日本人もまた人種差別主義者であり、白人の敵にたいし、またそれとはいちじるしくちがうが、彼らの「大東亜共栄圏」に組み込まれたアジア人にたいして、差別的だった」 そして、「日本のネオ・ナショナリストの政治家がどんなに反論をしようとも、帝国日本によってアジアの隣人が経験したことを理解するため、過去を厳正に調査することに真剣な関心をしめした者は、彼らのうちにはほとんどいない。」・・・差別される人間が、自分より下の人間を探し出して差別するという構造が必ずある。

日本人による差別は、神道と結びつく。 「大和」は、天照大神の来孫である神武天皇が、紀元前660年に皇統を開祖したとされる地名にちなむが、これは、日本を神の土地、日本人を選ばれた民とした天与の起源にまつわる古風な神秘性を、ほのかに匂わせる言葉だった。「大和民族」と言う言葉において、人種主義と排外主義が明白に結びつくようになった」。  さらに、

「神道政治連盟での演説で、1937年生まれの森喜朗首相は、日本を「天皇を中心とする神の国」とよぶことで、軍国主義的な過去から、もっとも過激で民族排外的なレトリックを呼び起こすことがふさわしいと考えた。別の機会に彼は、まったく内輪の聴衆に対し、日本の今日の使命について、「国体」の護持という言葉をつかい、戦前の天皇崇拝の中心にあった隠語をよみがえらせた」




第二次世界大戦は、アメリカにとって勝利を得た最後の戦争であって、その後ベトナムや、アフガニスタン、イラクなどロクなことがない。 愛国的なアメリカ人なら、これらの泥沼の戦争の慰めとなる対抗記憶(カウンターメモリー)を放棄しようとはしない。 だから、広島・長崎を否定することは決してない。 「多くの日本人にとって、広島と長崎の被爆は第二次大戦を象徴するものとなり、戦争における日本人に固有の苦しみの象徴となった。それは日本人が他者に与えた苦しみを忘れ、日本人の受苦だけを記憶する様式となったのである。



たいへん示唆に富む論文が集まっていて、戦後の日本の成り立ちが良くわかる。 もちろん、米国側の見かたではあるが、日本からの見かたより、おそらく世界では一般的なみかたなのだろう。 

 





ジョン・W・ダワー「忘却の仕方、記憶の仕方 日本・アメリカ・戦争」(岩波書店2013.8.2 )☆☆☆☆

第一章 E.H.ノーマン、日本、歴史のもちいかた
第二章 二つの文化における人種、言語、戦争 −アジアにおける第二次世界大戦
第三章 日本の美しい近代戦
第四章 「愛されない能力」−日本における戦争と記憶
第五章 被爆者 −日本人の記憶のなかの広島と長崎
第六章 広島の医師の日記、五十年後
第七章 真の民主主義は過去をどう祝うべきか
第八章 二つのシステムにおける平和と民主主義 −対外政策と国内対立
第九章 惨めさをわらう −敗戦国日本の草の根の風刺
第十章 戦争直後の日本からの教訓
第十一章 日本のもうひとつの占領













日露戦争を世界はどう報じたか
芙蓉書房出版
平間 洋一

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