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zoom RSS 中野剛志「保守とは何だろか」・・・今年のベストと言ってもいい良書

<<   作成日時 : 2013/12/22 14:00   >>

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現代の「保守」は、政治的には強い国家を目指しながら、経済的には新自由主義を支持し、国家を極力小さなものとしている、矛盾した存在だ。19世紀の保守主義者、コールリッジの思想を紐解き、真正の保守は何かを問う。 

19世紀も今も、経済の問題は変わらないものだ。ナポレオン戦争後の英国財政やデフレへの対処、自由貿易や農業の自由化などの課題に、コールリッジの主張ははたいへんまっとうだ。新自由主義のような営利精神の過剰は、資本主義を不安定にする。農業は安全保障に関わり、金銭的価値だけで決めてはいけない、財政は債務の大小よりも財政の機能が重要。。。とかとか。

「経済的な自由主義が理想とする競争社会は殺伐としたものであり、そこから社会の連帯感は生まれない。社会の一体感や連帯感がなければ、自由な社会というものもあり得ないというのが、保守の考えである。」

中野剛志氏は「TPP亡国論」も良かったが、この本もいい。 いまの自民、民主の自称保守の人びとに読ませたい本だ。。。。。。



中野剛志「保守とは何だろか」( NHK出版新書2013.10.10)☆☆☆☆
序章 迷走する保守
第一章 財政 なぜ保守は積極財政を支持するのか
1. イギリスはなぜデフレに陥ったのか
2. 国富はいかに増大するのか
3. 機能的財政論とは何か
4. 貨幣とは何か
5. コールリッジのマクロ経済論
第二章 金融 「過剰な営利精神」を抑制せよ
1. 18世紀末の「大転換」
2. 金融市場の変動は何をもたらすか
3. 19世紀と21世紀の金融循環
4. 「営利の過剰」と道徳の危機
第三章 社会 「改革」はどのように行うべきか
1. アグリ・ビジネスの罠
2. 失業・貧困へのまなざし
3. マクロ的視点からの改革案
4. 社会を防衛せよ
第四章 科学 保守が描いた「知の方法論」
1. 機械論哲学と主流派経済学
2. 科学とは「信仰」である
3. 「生の哲学」とは何か
第五章 国家 保守のナショナリズムとは何か
1. 何が国家精神を堕落させるのか
2. 国体の本質とは何か
3. 政治的理性の限界
4. なぜ保守主義必要なのか


そのた、印象に残ったフレーズなど・・・・

・「経済的な自由主義が理想とする競争社会は殺伐としたものであり、そこから社会の連帯感は生まれない。社会の一体感や連帯感がなければ、自由な社会というものもあり得ないというのが、保守の考えである。」・・・いまの保守は、格差を拡大しているが、コールリッジの時代から、「二つの国民」と「一つの国民」論があったとは驚きだ。 

・「国家財政の運営は、債務の大きさではなく、国家財政がどのように機能し、国民経済にどのような影響を及ぼしているかを判断基準とすべきである。これが、「機能的財政」論の含意である。」・・・あまりに債務が大きすぎても行けないようには思うが、内国債なら、大丈夫なのだろうか

・「経済社会の危機の根本的原因は、「営利精神が、それに対する対抗力の不在あるいは弱体化によって、過剰になったことにあります」・・・「資本主義を安定化するためには、営利精神の過剰や市場原理主義の極端を排し、非経済的・道徳的価値を守ることで、社会のバランスを回復しなければならないとコールリッジは考えた」・・・「過剰」という考えは、とてもバランスがいい。 確かにそうなのだ。 要はほどほどなのだ。

・「古典派経済学者たちは、自由貿易によって国富を増やすべきだと主張する。しかし、それは、国家の基礎である農業を破壊するという愚行であるとコールリッジは警告している」・・・・「農業を営利的な価値だけで評価することは、適切ではない。農業を金銭的価値の観点からしか考えようとしない昨今の農業改革の議論は、過剰な営利精神に侵されているのである」・・・いまのTPPを推進している人びとは、保守ではない。 親米の政治家というだけだと私も思う。

・「国を顧みない世界主義の思想、隣人愛または同族愛の欠落した博愛主義の思想に帰着するのであり、要するに、「全体」という幻影の偶像を掲げて個を犠牲にしようとしたフランス革命哲学の欺瞞の思想にほかならないのです」・・・「一般意思は、抽象的な理念に過ぎず、具体的なものとしては現実には存在しえない。」・・・そういえば、「一般意思 2.0」は、どんなトーンだったか? 読む端から忘れてゆくが、一度、このテーマで、東氏と中野氏が討論するところを聞きたいものだ。


・「「便宜(expedience)」とは、具体的な状況や経験に基づいて下される実践的な判断のこと」=「状況に応じた是々非々のプラグマティックな判断」・・・「便宜」の政治に対する評価が、コールリッジとハイエクの境界線・・・「「便宜」の政治には、判断基準となるものがある。 それを保守主義者は「伝統」と呼ぶ。」・・・・便宜という訳語は、あまりいい言葉じゃない。 「便宜をはかる」とか、よい印象がない。 

・保守主義者が反対したもの、反対するはずのもの
 ・ ルソーの「一般意思」という抽象原理を起因とする、フランス革命における急進的な民主化
 ・ マルクス主義という理論による合理主義気な改造による、共産主義革命
 ・ 古典派経済学の自由主義
 ・ 新自由主義に基づく抜本的な構造改革
 ・ グローバル化を推し進める新自由主義
 ・ 世界を画一化しようとするアメリカの一極主義

そして、最後のこのフレーズは、若干の皮肉もあって、とても面白い。

・「現在の政治家、官僚、あるいは知識人たちが新自由主義に固執しているのは、1980年代以降、すなわち、彼らが20代か30代を過ごした頃に、その影響を受けたからなのである。「観察の理論依存性」というが、彼らの観察は、まさに、若い頃に習い覚えた新自由主義の理論に依存している。 だから、現実の世界が新自由主義による矛盾で覆われていることすらも、彼らは観察できない。 そして、「過去のある経済学者」(例えばハイエク)の奴隷であり、「数年前のある三文学者」(例えばフリードマン)から「彼らの気違いじみた考えを引き出している」というわけである」



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