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zoom RSS 映画「エレニの帰郷」は、年寄りには痛いような想いにとらわれる

<<   作成日時 : 2014/02/01 14:10   >>

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「時の埃は誰にでもふりかかる。 大きいものも小さいものも」年老いたブルーノ・ガンツが語りかける。 「私には、もう帰るところがない」とも。  年老いて積もり積もった時の埃は、たしかに誰にでもある。 

1953年、汽車の中で偽装のパスポートを手にしてテミルタウに向かうスピロス。 なぜか、ずっと顔が映らない。 テミルタウのニュース映画館で再会したエレニ(イレーヌ・ジャコブ) 。 そのとき街はスターリンの死でたいへんな騒ぎになっていた。 空っぽになったトロリー車両のなかで愛を交わす二人。 直後に官憲に囚われ、再び、離れ離れになったふたり。 エレニと親しかったというだけで、エレニとともにシベリアに送られたヤコブ(ブルーノ・ガンツ) 。 1956年12月、スピロスとエレナの3歳になった息子は、シベリアから離れ、ヤコブの姉にひきとられていった。

現代、1999年12月、ローマで映画を撮っていた監督A(ウィレム・デフォー)が創る映画は、スターリン時代から、ヴィエトナム戦争、ウォーターゲート事件、ベルリンの壁の崩壊・・・と続く、母親エレニの物語。 だから、昔のシーンは、「昔」の物語なのか、監督Aが作っている映像なのか、定かにはわからない。  

クリスマス休暇、ベルリンに来たエレニとスピロス、ふたりを迎え、再会しにきたヤコブ、3人は、エレニ達の「帰郷」を祝った。 そのころ、息子Aの暮らすベルリンでは、孫のエレニが失踪していた。

テミルタウでも、シベリアでも、エレニを愛し、エレニを守って生きてきたヤコブは、1974年、エレニとともに、シベリアから解放され、オーストリアの地を踏んだ。 そこで、ヤコブの夢であるイスラエルに向かうか、スピロスを探すため、アメリカに向かうエレニとともにいるか、迷って一歩を進めなくなる。

結局、イタリアでアメリカ行きのピザの発給を待ち続けるエレニとヤコブ、ようやくニューヨークに落ち着いたと思ったら、スピロスを探しにゆくエレニに向かって、ヤコブは、行くな、行けば辛い想いをするだけだと留めるのだが、エレニは聞く耳を持たない。 そして、ある日、川のほとりで二人で踊っていた懐かしいピアノの曲を聞く。 ・・・

現代ベルリンに、帰郷したエレニとスピロス、それを出迎えたヤコブ、3人を取り巻く、時の流れが、現代の風景と錯綜する。 ヤコブとエレニが宿泊するベルリンのホテルの一室は、ヤコブにとって、エレニとくらしたニューヨークのホテルにうつる。 ベルリンのバーにはいれば、そこは、結婚していたスピロスを見つけ逃げ帰ったエレニが働くトロントのバーに見える。 すべて、うつりかわる時の埃の錯綜でもある。 

ヤコブのエレニに対する終生変わらない愛情の物語であるとともに、3人の哀しい友情の物語でもある。 歴史に翻弄され続けた3人が最後にほっと息をつく帰郷の物語でもあるし、エレニの哀しみが、孫のエレニに移り変わってゆく物語でもある。

音楽がいい。 ピアノの旋律が胸を打つ。 

新宿バルト9という、なんとなく若向きの映画館にはそぐわない感じの、深いものがたりだった。

 



映画「エレニの帰郷」(テオ・アンゲロプロス監督 "THE DUST OF TIME " 2008 )☆☆☆☆☆

TRILOGIA II: I SKONI TOU HRONOU
THE DUST OF TIME

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