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zoom RSS ジョン・W・ダワー,ガバン・マコ―マック「転換期の日本へ」

<<   作成日時 : 2014/02/28 09:19   >>

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かなり"過激な"マコーマック氏の主張は、日本は米国の属国で、沖縄の民主主義を東京が抑圧している。 沖縄が東アジアの共同体の核になることを期待する、ということだ。 ダワー氏はそこまで楽観的ではない。 サンフランシスコ講和条約から中国、韓国が排除されたことで、極めて歪な形で戦後の体制が進められた。 それは、米国がソ連、中国封じ込めのために構築した東アジア支配の構造だ。 それがいま限界に、転換期に差し掛かっている。

今後も、日米同盟を継続し、米国の核の傘の下にとどまるのがよいのか。 安倍政権や自民党の多くの政治家には、他の選択肢がないと考えるのだろう。 米国から距離を置くだけで、悲惨な最後になった小沢、鳩山の例もある。
しかし、マコ―マック氏は安倍政権を評して、いう。 

 「はたして、衰退しつつある米国との同盟を恒久化することが、愛国心の表現なのだろうか」

両氏は、日本の自民党政権にかなり批判的な立場だ。 だからといって、中国派というわけではない。 中国よりは日本の民主主義の方がまだよいという立場ではある。 しかし、日本の歴史認識や尖閣等のかたくなな態度に批判的なようだ。 




たとえば、尖閣については

・ 1879年、沖縄県が制定されたとき、琉球諸島36島に組み込まれていなかった。1895年沖縄県に編入されたが、根拠はあやふやかもしれない
・ 日本の指導者層とメディアが、中国の立場を正しく評価することも、自らを批判的に顧みる能力も失ってしまったのではないかという懸念がある
・ (石原は)久場島、大正島のことは完全に無視している。この二島は米軍が射爆場として50年以上使用しているが、日本政府も東京都もこの二島を返せと要求したことも、文句を言ったこともない
・ 「尖閣が疑いもなく固有の領土だという日本政府の主張を揺るがす可能性のある証拠になるといけないというので、外務省が1972年の田中、周会談の議事録を書きなおし、1978年の園田直外相とケ小平副主席の議事録を「破棄、焼却」したという」から、本当のところはあやしいものである。

そして、尖閣の二島をふまえ、「外国が島を占領し、爆撃で島を粉々に粉砕しようとも、「外国」が米国である限り、「固有」の概念に適合するらしい。中国には強気に出ても、相手が米国だと勇気が消え失せてしまうようである」と評している。 ありていに言えば、ひどく卑劣で不誠実な態度だ。

尖閣問題の将来は暗い。  「最終的には武力衝突の方向へ向かうしかない。係争地はあると認めることを先に延ばせば延ばすほど、もっとひどく面目を失うことになる。 最終的には、米国の圧力で認めざるを得ない羽目になる可能性が大きい」・・・・私も、そんな気がする。 

 


そして、沖縄である。 

「沖縄が日本のどことも違っているのは、強制的あるいは自発的な歴史体験のなかで、言葉も国旗も、アイデンティティも、複数の経験を持つ点である。琉球王国の船がアジア地域に活躍した時代の記憶は語り継がれ、人々はアジアに親近感を持つ」 ・・・・ 日本よりも、むしろ、台湾や中国の方が親近感があるのではないか。 

「この「二つの日本」政策(“Two-Japan ”Policy)の衝撃は、程度こそ様々だが、現在にも影響を与えている。 もっとも顕著なのは、巨大な基地の周辺では、避けがたく生じる基地被害であり、それには米軍犯罪、騒音、環境破壊などが含まれる。もう少し目につきにくいところでは―(中略)―日米両政府によって制度化された、不透明で二枚舌を弄した偽善的な基地運営がある。

そのなかでももっともたちが悪いのは、その国土の特定の領域を外国による広範な軍事使用に供しておきながら、同時にその住民を二等の市民であるかのように扱ってきた、日本政府の恥ずべき行いの数々である」 

確かに、日本人のなかには、沖縄に対する差別があるとおもう。 アイヌに対するのと同様の人種的なものと、あとから日本に加わった者としの差別と二通りあるように感じる。 

沖縄に、「物理的力」を集めようとする政府は、馬毛島や石垣島など、自衛隊の駐留を勧めながら、沖縄の民主主義的な力を削ごうとしているかに見える。 育鵬社の教科書の押し付けをめぐる闘争はその表れと言えよう。





日本と中国の関係は、1300年もの間、微妙な関係だった。 遣隋使、遣唐使の時代は朝貢していたが、冊封は受けず、、それ以降、確かに友好的な関係はなかった。 しかし、中国から見れば、日本は周辺、東夷の国にすぎなかったのだろう。 

にもかかわらず、「1895年から1945年までのあいだに、日本によって打ち負かされ、版図を切り取られ、侵略を受け、占領されたという恥辱がこれまで中国国内で消えたことはないし、これからも決して消えることはないだろう。他方、一時的な征服者(に加えて、かつて戦前は西洋化に成功し、戦後は経済大国となった者)の傲慢さが日本から消えることもなかった。」

現在のような嫌中の意識はいつごろから芽生えたのだろう。 おそらく、明治維新から日清戦争の頃なのだろう。 この書にも、「日中離間のもう一つの背景には、日本の「脱亜」の心情に付け込んだという人種差別的な意味合いがある」と記している。 

その中国認識は、必ずしも、米国が共有しているわけではない。 むしろ嫌日で知られるキッシンジャー氏は、「「中国人の哲学的な見解は世界一般に通用するが、日本のそれは伝統的に部族的」であり、日本人は「突然に爆発的な変化を起こしやすい」国民だと述べ」た。 

その差別観が、歴史認識を、おそらく、歪めているのだろう。 勿論、中国の認識も、すべて正しいわけではない。 だからといって、日本の認識が許容されるわけではないのだ。 「こうした歴史修正主義の多くは、それが海外からはいかに否定的に見られているかということにはほとんど頓着せずに、日本国内の聴衆と有権者に向けられている。」

よく韓国や中国は、日本はドイツを見習えと言う。 「国民国家を超える地域共同体は歴史に対する共通の理解があってこそ実現可能だと言うことが分かります。ヨーロッパにはその共通の認識があり、ドイツの代表は当然のこととして元敵国の戦争記念行事に参加します」・・・ これは確かに見習う必要がありそうだ。






東アジアの中心となる中国と対立していて、米国には、属国となる。

「「従属」は軍事戦略上の問題にとどまらない。米穀は毎年詳細な年次要望書を日本に送り、米国の利益にとって「障害」となるものを取り除くように指示する。そのようなことは日本以外の国との関係では考えられない」・・・日本の政策の多くが米国の指示としたら、日本の財政赤字の少なくない部分が米国のためだとしたら、にほんの政権は、「売国」の徒と言われても反論できまい。 

「1989年、海部俊樹政権は、米国の要望に沿って向こう十年で430兆円を大規模公共事業に充てることを決定した。1994年の村山富市政権の時には、それは630兆円に膨れ上がった。」

村田良平氏は語っているらしい。 「日本は米国の要求を「属国根性」で、ただ単に受け入れる傾向があるというのだ。鳩山由紀夫首相の下で、それは一旦中断したが、2011年からまた米国追随路線に戻り、2012年12月に安倍晋三首相になるとさらに熱心になった。 アメリカは安倍政権に対し、日本に多面的変革を強いてTPP参加を要求し、集中的圧力をかけている」

新崎盛暉氏の言葉として挙げられている以下は、衝撃的だ。 「(ウィキリ―クスの)米外交公電は推論を、生々しく、具体的に裏付けてくれた。 そこに露呈されたのは、あまりにも無残な、日本の政界や官界の荒廃である。 二言目には「国」を口にし、排外的なナショナリズムを振りかざしながら、アメリカの”国益”と一体化し、アメリカに奉仕する政治家や高級官僚の言動である。」


「日米の相互理解と尊重という言葉の裏には、米国政府のいわゆる日本専門家たち(ジャパン・ハンドラー)の対日蔑視がある」





昨年、ダワー氏の「忘却のしかた、記憶のしかた−日本・アメリカ・戦争」を読み、かなりの衝撃を感じた。 同じダワー氏のこの新書は、より読みやすいだけに、その衝撃度はより激しく、心を落ち着かせないと先が進まない。 この本がベストセラーになっているのに、なぜ世の中が変わらないのかも不思議である。

全ての日本人、特に、自らが右派だと思う人々にお勧めの本だ。





ジョン・W・ダワー,ガバン・マコ―マック「転換期の日本へ」( NHK出版新書2014.1.10)☆☆☆☆☆
第一章. サンフランシスコ体制
1. サンフランシスコ体制の歪な起源
2. 問題を孕む八つの遺産
一. 沖縄と二つの日本
二. 未解決の領土問題
三. 米軍基地
四. 再軍備
五. 「歴史問題」
六. 「核の傘」
七. 中国と日本の脱亜
八. 「従属的独立」
3. 現在の不確実性
4. 恐怖と希望
第二章. 属国 − 問題は「辺境」にあり
1. サンフランシスコ体制が生んだ「根本的問題」
2. 沖縄 − ないがしろにされつづける民意
3. 馬毛島 − 秘密裏に進む軍事基地計画
4. 八重山諸島、与那国島 − 四つの難題
5. 尖閣(釣魚)諸島問題 − 五つの論争点
6. 辺境の島々と北朝鮮 − 「正常化」交渉の挫折と核実験
7. 「辺境」は「中心」へ
第三章. [対談]東アジアの現在を歴史から考える
1. 属国の代償
2. 歴史問題論争 − 戦争の記憶と忘却
3. 朝鮮半島問題 − 核と拉致をめぐって
4. 改憲 − 揺らぐ反軍国主義の理想
5. 領土紛争と東アジアのナショナリズム
6. 台頭する中国の行方
7. 「パックス・アメリカーナ」か「パックス・アジア」か

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