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zoom RSS 出光佐三「マルクスが日本に生れていたら」

<<   作成日時 : 2014/04/10 08:48   >>

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旧版の初版が1966年。70年安保直前のかなり政治的に激動していた頃だ。 そのころ出光興産の社長室で、マルクスの勉強会をしていたと言うから、やはりかなり変わった経営者であることは間違いない。

下衆の勘ぐりで、百田尚樹氏が、出光佐三氏の人となりを都合よく脚色して描いているのではないかと怪しみ、この本を手にしてみた。 勝手に脚色はされてなく、百田尚樹氏の描くような出光氏だった。 出光氏は、まったく、日本と日本人に対する純な信頼があり、天皇と皇室を大事にする家族主義のひとだった。 

出光佐三氏は、自分とマルクスは目的も同じだが、「物の国」の西洋に生まれたマルクスは対立闘争の道を選ぶしかなく、「人の国」の日本に生まれた自分は、和と家族主義で目的を実現した、その違いだけと言う。  マルクスがもし「人の国」である日本に生れていたら、全く出光氏と同じように、和を尊び、人間主義と家族主義でやっていったろうと説く。 

出光興産も搾取はしないという。 出光氏のような傑物に何も異論を唱えるつもりはないが、出光氏のような傑出したリーダーのみが家族主義の経営者として成功できる。 並の人間では、定年も残業手当もなく、金のためでなく仕事を楽しめと、家父長の愛と鍛錬による経営は無理だろう。 日本は、姨捨や間引きの国でもあり、家族主義を守れる層も限られていたのではないか。 出光氏も語るように、明治の商人は大正の証人よりくどくないという。 和、人間主義、家族主義など、日本の商業の世界だって、ほとんどなかった。 出光氏は、自分の思想を日本と日本人に一般化して、普遍的なものと語っているが、それは間違いのような気がする。  出光佐三氏とか、ごく少数の日本人にしかできないことなのだ。  それは「物の国」でも同じことだ。  初期のIBMは、IBM Family と称して、社員・家族が家族的な一体感を形成していたし、馘首のない会社だった。  だから、国の違いではなく、経営者の理念の違いなのだ。 それを国の違いと見なすのは、間違いでもあり、ミスリードでもある。 

マルクスと出光氏は、目的は同じと言うが、どうかな?

出光氏はどうしてそんなに日本と日本人を信じることができるのだろう。 石油業界や政治家から、さんざん妨害や無理解による排除があったと言うのに、なぜ、日本と日本人に一般化できるのだろう。  「本来の日本人」に戻ってと言うが、それはもう、一種の信仰としか言えない。

出光氏も以前読んだ竹田氏も、天皇制や皇室を尊重されている。そして、皇室はずっと民のことを思ってきたという。 しかし、どこにそんな史実があるのだろう。   維新まで700年もの間、天皇は政治権力から離れていたから、確かに民を思うことしか、することはなかったのかもしれない。  しかし、同時に民から見れば何の存在感も影響もなかったのではないか。 その前の皇室は、承久の変をおこしたり、決して平和と民を思っていたとは思えない。  
 

<追記>

・出光氏は、日本は、数千年間、無私無欲で、「大きな愛の手を国民に伸べられて、国民にお互いに仲よくすることを教えられている。 そういう大きな愛情の中で国民は素直に育って、お互いに疑わずに信頼し合って、一致団結するという民族性ができている」という。 ・・・・ たぶん、ここが「肝」だろう。 戦後生まれの私は、こんな教育は受けていないし、日本史がそんな歴史だったと派認識していない。

・給料は仕事の報酬ではないという。 生活の保障だから、ぜいたくをさせるためのものではないし、景気が悪いからといって昇給をやめることはない・・・という。 この考え方は理解はできるが、いまは、納得する若い人はいるのだろうか。  




出光佐三「マルクスが日本に生れていたら」(春秋社 初版1966.6.10 新版2013.7.20)
序論 なぜマルクスをとりあげるのか
一 平和にしあわせに暮らす社会とは具体的にどんな社会か
二 人間解放の道
三 歴史と社会
四 経済と経営
五 労働観と貧乏論
六 道徳と宗教
七 マルクスと私
結び



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