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zoom RSS アンドリュー・ゾッリ「レジリエンス 復活力」は知的好奇心をくすぐる良書

<<   作成日時 : 2014/06/19 04:39   >>

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訳者あとがきによれば、レジリエンスの辞書的な意味は、「外部から力を加えられた物質が元の状態に戻る力」や「人が困難から立ち直る力」らしい。 筆者アンドリュー・ゾッリ氏は、「システム、企業、個人が極度の状況変化に直面したとき、基本的な目的と健全性を維持する能力」と定義する。

だから、情報システムの信頼性の話かと想像していたら(実は私の想像)、えらくちがった。たいへん興味深い、知的好奇心を満たし、ためになる、ネタ話が満載なのだが、どこかとりとめなく感じるのは、「レジリエンス」そのものが、とりとめないからではないだろうか。白か黒かすぐ決めたがる人(私も)には、高尚すぎるかもしれない。

エピソードは、森林火災やインターネットのRYF( robust-yet-fragile 頑強だが脆弱),  ジャマイカのサンゴ礁の崩壊、CDSとリーマンショック、ネットワーク型のアルカイダと潜伏する結核菌の類似性、スマートグリッドから分散型マイクログリッドへ、クレイジーな多様性のひしめく都市、スミッツの熱帯雨林再生プロジェクト「不朽の森」、マインドフルネス瞑想で脳を鍛える、救えなかったリーマンブラザーズと囚人のジレンマ、ケニア大暴動の目撃者「ウシャヒディ」とハイチ大地震時のミッション4636の大成功、リスクのホメオスタシス理論と認識の多様性、バングラデシュの井戸の失敗、シースファイアの成功、パラオのトランスレーショナル・リーダー・・・・・と、好きな人には興味が尽きないだろう

とりとめないレジリエンスを読み進めて、ふと思った。 結局は人なんじゃないかと。ゾッリ氏は、トランスレーショナル・リーダーと称して、こんなリーダー像を提唱している。
「さまざまな場面において、橋渡し役、旗振り役、指導者、行動経済学者、社会工学者の役割を果たさなければならない。 それも公正かつ寛大に、透明性の高い方法で献身的に取り組まなければならない」・・・最初はハブの役割を受け持ち、カリスマ性、品格、立場の違うグループを渡り歩くだけの政治的手腕を駆使し、次いで橋渡し役から旗振り役に移行し、それぞれのリーダーを育てていく・・・・こんなリーダーが必要になるのなら、むやっぱり、レジリエンスはむずかしいわけだ。


レジリエントな組織について、いくつか、共通点がありそうです。

・まず、「レジリエンスが発揮される環境を整えるには、システムをモジュール化し、ネットワークを構成し、オープンで汎用性の高いプロトコルで連携すること、分散された構成要素に人工知能を吹き込むこと、人々に正しい情報と動機を与えること」・・・・ネットワークのイメージが浮かびます。

・次いで、「おそらく最強の組織とは、多様性に富む協力者たちが小さなチームとして強く結びつき、そのひとりひとりが弱いきずなで結びついた多様性に富む大きなネットワークをもっている、いわば二つの世界の強みを兼ね備えたような集合体でしょう。」・・・強いきずなと弱いきずなについて語る

・「異議を唱えられるクレイジーな人々が存在しない組織では、やがて脆弱さが蓄積してしまう」・・・多様性が必要だと言っている。 

・アルビン・トフラーとヘンリー・ミンツバーグの「アドホクラシー」概念も同じことを言っているようだ・・・チームのインフォーマルな役割分担、標準的な業務手順の迂回、即興性、素早い循環サイクル、選択的な分権化、専門家チームへの権限移譲、官僚機構の排除などを特徴とする。

・また、ミッション4636の成功の要因は何だったのか。「間違いなく言えるのは、多くのボランティアを結びつける社会的ネットワークが決定的に重要だったということだ。」・・・これも、ネットワークだ。 

・最後に、ちょっと分かりにくいが、たぶん適切な比喩・・・・「3匹のくま」の女の子ゴルディロックス・・・・レジリエンスは、つぎのような要素がちょうどよく整った場所に育つ・・・接続しているが結びつきは強すぎず、多様であるが拡散しすぎず、それが有益である限り他のシステムと連動するが、むしろ有害と見れば自らを切り離す。




その他、興味を引いたこと

・ニューヨークタイムスは、 なでしこジャパンを レジリエントなチームと評したという

・「レジリエンスと同義で使われることが多い「頑強性(ロバストネス)」は、主としてシステムの長所を強化することによって得られるが、レジリエンスとは別の概念」・・・そう言われれば、全く違うが、つい、混同してしまいやすい

・「オキシトシンは、人間関係から生じる社会的リスクを受け入れる個人の許容度に影響を及ぼす」・・・ケリー・マクゴニガルも、オキシトシンの効果をTEDで語っている。 つまらない政策を実施するより、利害関係者にオキシトシンを注入する方が効果あると言うジョークもあるらしい。

・リスク・ホメオスタシス理論・・・「人間には生まれながらのリスク許容値(リスク温度)が染み付いていて、ある領域でリスクが軽減すると、意識的であろうとなかろうと、自分が快適と感じるリスク温度に戻るまで、他の領域でリスクを引き上げるというのだ。」・・・・シートベルトの例などいろいろな例がある。 ほんとかな?とも思うが。。。。

・「確証バイアスは、自分が賛同できないメッセージを遠ざける原因になるだけでなく、遠ざけることのできないメッセージの解釈を歪曲する原因にもなっている」・・・これはよくあること

・不幸な人々があなたの精神状態に負の影響を及ぼす力には、幸福な人々が正の影響を及ぼす力の二倍の威力がある。しかし、深い間の感染に比べて、幸福感の感染は、2倍の期間にわたって持続する・・・こころしておかないと。 




アンドリュー・ゾッリ「レジリエンス 復活力」( ダイヤモンド社2013.2.21)☆☆☆☆
序章 レジリエンスとは何か
レジリエンスの必要条件
個人と集団のレジリエンス
サステナビリティの落日
第1章 頑強だが脆弱なシステムはどう崩壊するか 漁場・インターネット・金融市場
 漁場と金融市場
 金融業者のための生態学
 リーマン・ショックを引き起こした爆弾
 システム崩壊の予兆
 金融システム全体を見わたす
 システム崩壊に応じて目覚める機能集団
第2章 感知し、拡大し、参集する アルカイダ・結核菌・新しい電力網
 アルカイダの安上がりな戦術
 結核菌はいかに生体を蝕むか
 相手の戦術を模倣する
 呼吸する送電線網
 スマートグリッドの時代
 送電系統後の世界 マイクログリッド
第3章 多様性を密集させる 都市と熱帯雨林
 生物と都市に共通するスケーリング法則
 多様性を凝縮した森をつくる
第4章 人はいかに心の傷から回復するか 個人のレジリエンス
 ホロコーストを生き延びた孤児たち
 個人のレジリエンスを決定づけているものは何か
 感情の”蓄え”を賢く使う  マインドフルネス瞑想
第5章 協力と信頼はいかに生まれるか 社会のレジリエンス1
 リーマンブラザーズは救えたか
 囚人のジレンマ
 協力したいと思う自分の”部族”を拡張する
 ハイチ大地震 ミッション4636
 なぜミッション4636はうまくいったのか
第6章 リスク志向を抑制する多様性と寛容さ 社会のレジリエンス2
 リスク志向の文化がレジリエンスを低下させる
 悪魔の提言者養成学校
第7章 コミュニティの適応能力 社会のレジリエンス3
 バングラデシュの汚染された井戸
 暴力の連鎖を食い止める
 ステップ1 暴力の伝染を防ぐ
 ステップ2 思考を変える
 ステップ3 規範を変える
第8章 コミュニティを支える「通訳型」リーダー 社会のレジリエンス4
 パラオについて
 若きリーダーによる伝統的制度の活用
 仲間の輪を広げる
 ネットワークを織りなす
第9章 レジリエンスの習得
 脆弱性、限界点、フィードバックループをマッピングする
 アドホクラシー
 徹底的にデータを活用する
 将来に向けてリハーサルを積む
 レジリエントな場所に学ぶ


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