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zoom RSS 田中聡「陰謀論の正体」は、哲学的で理解が難しいが、なかなか的確な主張が多い

<<   作成日時 : 2014/07/06 14:59   >>

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せっかく陰謀という面白いテーマなんだから、もっと読み手がわくわくするような書き方をすればよいのにと思いながら読み進めたが、なかなかどうして、哲学書とか思想書のような味わいがあり、幻冬舎新書にしては、難解だ。 

陰謀論(Conspiracy theory )は、○○は「やつら」の陰謀だと決め付けるものを呼ぶのと同時に、どうやら批判的な意味をもっているようだ。 「陰謀論という言葉には、権力の関与を語っていることと、現実味がないということの二つの含意がある」 

陰謀論への批判に対して、いちいち丁寧に反論している。

陰謀論は人をバカにしている、選民思想である、物事を単純化している、、反知性主義、思考停止を招く、被害者意識、根拠ない、差別思想 ・・・ と。 これらの論は、どれも理解がむずかしい。 

フリーメーソン、イルミナティの陰謀論もフランス革命の否定から発しているという。 「革命のすさまじい暴力性やその後の近代社会化への怒りや不安は、フランス革命を導いた啓蒙思想、近代合理主義への嫌悪、台頭したブルジョワ市民への反感、そして伝統的な社会が解体、変容してゆくことへの哀惜や憤怒などとも重なり合って、革命を悪の組織の陰謀によって起こったものとみなす考えを生みだした」という。 

ユダヤ陰謀論の基本文書「シオン賢者の議定書」は、19世紀末ロシア秘密警察のねつ造だったらしい。 

陰謀論の周辺の話題がおもしろい。 陰謀論への批判は、まっとうな時もあれば、怪しいときもあるのだと筆者は言いたいのだろうか。 

例えば、関東大震災のデマの出所は、内務大臣水野錬太郎、警視総監赤池濃、警視庁官房主事正力松太郎。彼らの目的は混乱に乗じて朝鮮人活動家、社会主義者など不逞の者を一掃することを図り戒厳令を布告した。 敵を創りだして恐怖の空間を創りだした。 流言に振り回された大衆の愚かさを強調することは怪しい

オーソン・ウェルズのラジオ番組「宇宙戦争」によるパニック現象は、ハドリィ・キャントリルという社会心理学者の誇張した論文が基になった殆どデマ。「火星人が襲来したと信じ込んでパニックを起こした大衆」という言説こそが、エリートの持つ大衆への不信や不安の感情を表現したものだったということだろう」(エリートパニック)

「陰謀論とは、体制側の陰謀を疑うことを無効化するマジック・ワードだ。だから陰謀論にたぶらかされる大衆というような言い方がされるときには、それこそ陰謀だと思うくらいでいいのかもしれない」

日本の現代の、特に311以降の、現状についての物言いが、たいへん印象的だ。 陰謀論との直接の関係は、私には理解し難いけれども。。。。


「国家は、グローバルな市場からの脅威を媒介しながらも、一方ではそれが国民を直撃することの防波堤ともなってきた。 しかし防波堤の役目はもう捨てられようとしている」

「本来リスクとは計算できる危険のことであり、安定した社会を前提にした概念だった。 しかし世界市場で起こることは、気まぐれで予測も制御もできない。政治は介入できず、そこに起因する脅威には、個人で立ち向かうしかなくなった。 この「個人化」によって、いまや社会は濃密な不確定性の不安、バウマンの言う「液状不安」に侵されている」

「不確定性の不安が他人の不正をただしたい、責任を取らせたいという欲望となって、ローカルな世界を不寛容にし、情緒を破壊して平板化させている」

・・・ グローバル市場に対する防波堤としての国家の役割が薄れ、個人として向きあわなければならなくなった不安、同時に自力で直接的には何もできないもどかしさが、陰謀論にもなり、他人への不寛容にもなっているのかもしれない。 


それを端的に語っている。 「おそらく「誰かが得をしている」ということに我慢がならないのだろう。自分とは関係のない場所でのことであつても、そのしわ寄せが自分にも及ぶのではないかという不安があるのかもしれない。 とにかくこの種の非難は、公正を訴える正義の主張となり、嘲笑や軽蔑などの感情を込めた激しい罵倒となる」



田中聡「陰謀論の正体」( 幻冬舎新書2014.5.30)
第一章 大地震とともに「陰謀論の時代」が始まった
第二章 陰謀論とは何なのか
第三章 陰謀論への批判の検討
第四章 エージェンシー・パニックとコンスピラシー・パニック

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