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zoom RSS 吉村萬壱「ボラード病」は、怖い小説 (ネタバレ注意)

<<   作成日時 : 2014/08/31 08:39   >>

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ヘンな小学生の授業風景など、丹念に描いてヘンな小説だなと思っていたら、さりげない言葉で、すこしずつ明らかになってゆく事実は恐ろしい。 なんとも怖い。

主人公は、海に近い田舎町、海塚市に住む、貧乏な母子家庭の小学生、恭子。 庭の花に「こんにちは」と語りかける恭子に、隣家の目を気にして駄目という母親。 なんとなく、ヘンな親子。 恭子は学校でも変わった子。 やたらと故郷の人々との絆や一体感を強調して、海塚の歌まで強制する授業に違和感を持っていると、養護の先生からも孤独ではないか、病気ではないかと怪しまれる。

質問に答えられなくて立たされていたアケミちゃんしばらく机に伏していたが、その日死んだ。先生も学校から消えた。新学期から、もう7人の生徒が死んでいる。 そして海塚は一時避難して何年かしてから戻ってきた人々の町・・・・ 半分近く読んで、この変わった小説が、ある種の寓話だと察する。その寓意を筆者は隠さない。

最後に明確なメッセージになっている。

「役場は私たちを、家賃の高い監視付きの家に住まわせました。父のせいで、私たちはずっとマークされていたのです」

「海塚だけが何の影響も受けずに済んで、ただ建物が壊れただけで野菜も肉も魚も皆安全で、そして海塚市民だけが健康体でいられるという神話を盲信することに町を挙げて猛進したのです」

「ひょっとすると海塚だけでなく、この国全体が全てを無かったことと看做しているのかもしれません」


・・・震災や原発という言葉はどこにもでてこない。寓意の解釈は読み手次第だが、明らかのようにも思える。


吉村萬壱「ボラード病」( 文藝春秋 2014.6.10)

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