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zoom RSS エドワード・ルトワック「自滅する中国」俯瞰的、戦略的な良本だ

<<   作成日時 : 2014/10/01 14:11   >>

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ルトワック氏は中国問題ではなく、戦略の専門家らしい。 戦略不全症候群という言葉も出てくるが、最大の問題は、中国自身が古代から戦略に秀でていると勘違いしていることだ。 1890年代のドイツと同様に、中国は間違った戦略を変えられない。 軍事拡大に走って、周辺国をみな敵に回しつつある。 共産党つながりのベトナムまで、米国と同盟をしかねない。 

中国が軌道修正できないのは、中国風に語ると、中国の「四つの無理」のせいだという。 四つではなくて、「巨大国家の自閉症」、「歴史の名残」、「恨み」、「人民解放軍の影響力」、「様々な組織による力の誇示」と、五項目ある。

・「他国の気持ちへの感受性が明らかに欠けているという意味で一つの病気であり、これを私は「巨大国家の自閉症」(great-state autism)と呼んでいる」と、筆者は名付けているが、そういう意味なら、中国にはぴったりだろう。

・「歴史の名残」とは、中国の朝貢のことを言っている。 四囲に対する傲慢な態度だ。  しかし、筆者はこうも言う。 漢民族は、ずいぶんと、女真やモンゴルなどに征服された民族なのだ。

・「恨み」は、これは、日本人としては心配だ。 アヘン戦争の英国、日清戦争以降の日本、どれも、一般国民からも、共産党のエリートからも、恨みを買っているだろう。

・「人民解放軍の影響力」、人民解放軍は、国力に応じた軍拡を意図しているだけかもしれない。  しかし、軍拡をしない方が戦略的に良いということは決して理解できない

・「様々な組織による力の誇示」・・・ここは面白い。  人民解放軍のほかにも、農業部の下部組織である漁政漁湊監督管理局、資源部に属する中国海監総隊、交通運輸部に属する海事局、・・・ などが、それぞれ、多くの船舶をもち、その能力をあげながら、海洋に乗り出している。 

自閉症の症候や説明には、いろいろな例があり、興味深い。

・中国は、(インドとの領土問題についても) 「勝手な想像による思い込みにもとづいて領土問題を考えている」・・・「ロシアも他国の動機を、常にロシア人にしか分からない考え方で理解しようとしている」

・「中国の「巨大国家の自閉症」を悪化させているのは、その巨大さから来る内向きの没頭だけではなく、自国が世界の中心であり、最上位の階層にいるという暗黙の前提のせいでもあり、これは漢時代の外交における朝貢の伝統から受け継いだものなのだ」


面白い主張には、以下のようなものもある

・「ルールに対する中国の違反を許す習慣と言うのは、中国がまだ経済的に弱小国だった頃に形成されたもの」・・・米国も、中国に対しては、成長の協力もしているし、封じ込めも始めた。  中国は確かに、いまだにCO2の対策をさぼっている。 

・ドイツは日本と同様、中国に否定的だ。 それはドイツが自分たちの経験に照らしているのかもしれない。 1900年ごろのドイツはイギリスよりもはるかに進んでいたが、自分たちの国力に応じて軍、とくに海軍を強化しようと図ったところから、イギリスの戦略的な包囲にあい、戦略的な無能さから戦争に向かってしまったのだ。 

・「現在の漢民族は、常に「満州族に征服された漢民族以外の土地は自分たちのものだ」と、何のためらいもなく主張するのだ」・・・筆者はインドの例を出して、如何に都合のよい話かと訴えている。 

・韓国だけが中国に好意的で反米的なのは、歴史的に中国への文化的敬意が深いことと、米国から無償の施しを受けた反感があるからだ。 見苦しい媚型の例として「ダライ」の入国拒否がある。



エドワード・ルトワック「自滅する中国」(芙蓉書房出版2013.7.29)
“The Rise of China vs. The Logic of Strategy”
第1章 <反発なき強国化>がまちがっている理由
第2章 時期尚早の自己主張
第3章 「巨大国家の自閉症」を定義する
第4章 中国の行動における歴史の影響
第5章 中国の台頭で生じる地経学的反抗
第6章 中国の強国化とそれに対する世界の反応
第7章 無視できない歴史の比較
第8章 中国は成功を約束する大戦略を採用できるか?
第9章 戦略における古代の愚かな知恵
第10章 歴史の記録から見える戦略面での能力
第11章 避けられない反発の高まり
第12章 なぜ現在の政策は続いてしまうのか
第13章 オーストラリア 同盟の模索 ・・・ スキップ
第14章 日本 離脱からの離脱
第15章 反抗的なベトナム 新たな米国の同盟国?
第16章 韓国 天下システムにおける典型的な従属国?
第17章 モンゴル 反中同盟の最北の前哨基地? ・・・ スキップ
第18章 インドネシア 排斥主義から同盟へ  ・・・ スキップ
第19章 フィリピン 「敵」にまわしてしまう中国
第20章 ノルウェー ノルウェーはありえない! ・・・ スキップ
第21章 アメリカの三つの対中政策
第22章 結論と予測
付録「平和的台頭」の興亡
[解説]ルトワックの戦略の論理と中国の戦略文化

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