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zoom RSS 冨山和彦「なぜローカル経済から日本は甦るのか」

<<   作成日時 : 2015/01/05 18:46   >>

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私には、たいへん勉強になる良い本だった。 中小企業というと大田区の町工場がよくでてくるが、実は中小企業の大半は、非製造業でローカルな経済圏にある。  医療、教育、交通などの公共サービスをはじめ、小売業なども、需要がなくなることはないし、グローバルに対応する必要が無い。  

経済学は、グローバルの製造業のことばかり上げるが、圧倒的多数はローカルの非製造業なのだ。 地方はアベノミクスのずっと前から生産人口の減少で、深刻な人手不足が続いている。 生産性の高い企業だけを残し、ブラック企業などを退出させるためにも、労働市場の規律で、つまりサービス業の最低賃金を挙げるべきだとの提案には、目から鱗の印象があった。  

生産労働人口の人手不足に対する政策は、労働生産性の向上、女性と高齢者の雇用、外国人の雇用、という順番だ。 グローバル経済圏の経営者は逆に考える見かけの生産性が上がるからだ。  


筆者は、コンサルタントの傍ら、東北地方のバス会社経営にも参加している。 JALなど、産業再生機構にも参画している。 経験に裏打ちされた議論は、たいへん説得力がある。 女性は家にいるのが日本的との考え方など、それは侍文化で日本の歴史を知らない、日本の90%は農耕の共働き文化だと喝破したり、いたく現実的でわかりやすい。
グローバルに参加しようが、ローカルに参加しようがどちらでもよいが、ふたつは異なるので、それぞれにあった政策を打ち出さなくてはならない。 この人に「地方創生」を含む産業経済政策をぜんぶ任せてみたいものだ。



そのほかに、興味深かったこと。。。。

・「グローバル経済圏とローカル経済圏とが直結している時代であれば、トリクルダウンは起こる」・・・しかし、いまはそうではない。・・・ この説明は、なぜ容易にトリクルダウンが起こらないかの説明として分かりやすい。 

・「グローバル経済圏が好調でも、そう簡単にローカル経済圏が潤わないのと同時に、グローバル経済圏の企業や人材の足を引っ張っても、ローカル経済圏の労働生産性や賃金が上がるわけではないのだ。 」 ・・・ だから、それぞれ頑張るということだ。 

・「社員が一万人を超え、全国に店舗網を持つ巨大サービス企業がローカル経済圏で勝負し、片田舎の中小メーカーがグローバル経済圏で世界と戦っても不思議ではない。 大企業と中小企業ではなく、これからはグローバル企業とローカル企業という分け方をするべきである」 ・・・ つまり、常識的な政策の立て方は、かなり間違っているか、もしくは、経団連などのグローバル大企業向けの政策ばかりが目立っている。。。

「日本のグローバル企業の多くが三十年にわたり世界で競争に負けてきた真因は、日本国内の法人税率の高さではない。 法人税の引き下げは、あくまでも日本の産業立地競争力を高め、極端な話、企業の国籍はどこでも構わないから、日本列島のどこかで高付加価値の生産活動を行ってもらい、高質な雇用、賃金そして儲かった利益一部を納税してもらう。 これが国家としてのGDPと財政のためにとるべき政策なのである。」  ・・・・ 正論だろう。 

・医療と教育をトップレベルにしないとGモードの高度人材は日本にこない。

「現場力が勝負を決めていた1960年代から80年代までは、日本企業の競争力は非常に強かった。 ところが、今、本社力がものを言うようになると、日本企業は脆弱性を露呈し始めた。 それが、この二十年に起こっている現象である」

・「グローバル経済圏における意思決定のクォリティを高めるためには、ダイバーシティが必要になる」

・「規模の経済性やネットワークの経済性が効くグローバル経済圏の産業は、概ね上位数社に寡占、収れんされる」・・・「しかし、小売業は世界の上位一〇社を合計しても、全世界の小売業売上高の10パーセントにもならない」

・市場の規律には、資本市場、製品市場、労働市場の規律と三種類の規律があるが、ローカル経済圏のマーケットで穏かな退出を促進する鍵は、労働市場。 具体的には、サービス産業の最低賃金を挙げること

・「公共サービスでは多くの場合「主体規制」になっている。 さまざまな補助金も、事業主体に出されるケースが多い」が、公共サービスには、行為規制が望ましい。 参入後の行為規制が無いと退出圧力が働かない

・「規制はするかしないかの二者択一ではなく、どうデザインするかが大事」



冨山和彦「なぜローカル経済から日本は甦るのか」( PHP新書 2014.6.27)
第1章 グローバル(G)とローカル(L)という二つの世界
第2章 グローバル経済圏で勝ち抜くために
第3章 ローカル経済圏のリアル
第4章 ローカル経済圏は穏かな退出と集約化で寡占的安定へ
第5章 集約の先にあるローカル経済圏のあるべき姿
第6章 GとLの成長戦略で日本の経済・賃金・雇用は再生する


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