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zoom RSS 伊東光晴「アベノミクス批判」

<<   作成日時 : 2015/01/10 20:16   >>

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株高は外人投資家の投機のためであり、円安は為替介入が原因であって、安倍・黒田氏のアベノミクスの効果ではない。 第二の矢の公共事業は、財務官僚が無視しているので何の予算措置もなく実現されない。  原発輸出、非正規の拡大など労働市場の政策など、第三の矢は効果もないし、政策自体に問題がある。 

伊東光晴氏の批判は厳しいが、論証や例証が豊富で説得力ある。経済学はずいぶんいい加減な学だと最近思うが、アベノミクスを賛美する経済学者の説はあまり実証的でない。 浜田氏の本もそんな印象があった。

異次元の金融緩和ということで、日銀は銀行から国債を買ったが、その金は、借り手もいないから、各銀行が持つ日銀の口座にたまっているだけで、市中に出ていない。  つまり何も起こっていない・・・・とのこと。

国土強靭化で200兆とぶちあげたが、公共事業費の予算は実はほとんど増えていないらしい。  つまり口先だけ。 伊東氏は、安倍氏は本当は経済なんかどうでもよくて、政治、つまり改憲をしたいだけなんだと見ている。  ただ安倍氏は運にはめぐまれているようだ。  


随所に印象に残る記述がある。  

・利子率が下がった時、投資が増えるのか否かを検証した「オックスフォード調査」があり、長期利子率が低下しても投資に影響がないというもの。 新古典派は投資が増えると考える。  

・日銀による通貨供給量の増加が将来の物価を上げると予想する人の多くは、実質金利の低下予想よりも、将来の物価上昇を見越して消費支出をきりつめるかもしれない。:

・「政府の発行する長期国債を日銀が引き受け、税によらず、財政支出を増やしたのが、第二次世界大戦中の日本の財政であった。」 ・・・ 「安倍政権は増税による財源調達をしたくないために、通貨増発による財源調達に向かったといってよい」 ・・・ これは、結果論じゃないのだろうか? ほんとうかな?と、おもう。 

・「日本の株式市場は、ある意味でウィンブルドン現象である」 ・・・ 会場を貸しているだけで、日本人は参加していない、という意味。  量的には、そういうことなのだろう。 

・「日銀の通貨供給量の増加から内外金利差を求めて比較的金利の高い国に円が流出するという、円キャリーは生じない」 ・・・ 「海外もゼロ金利ないしそれに近いから」 ・・・ だから「この種の要因に基づく円安は考えられない」 ・・・ つまり、為替介入だろうし、黒田氏は、財務官時代から介入のベテランだった。 

・「介入−それによる短期証券の大量発行−その回収−セットオフのための金融大幅緩和」

・「為替安定のための成功法はいまさら書くまでもなく、投機資金のいたずらなる動きを抑えるトービン・タックスである」 ・・・ ほんのわずかの税率でも為替取引に掛ける。 考えていると言うだけで投機資金は日本から流出する。 
・「公共投資が行われると、その分、有効需要の増加となり、所得を増やす。 その増加した所得が支出増となり、さらに需要増加の波となる。 この第二次、三次需要増加は減衰してゆく。 したがって公共投資が景気に与える影響は、それが誘い水となって民間投資を誘発しない限り、景気上昇には結び付かない」  ・・・  ほとんどが維持管理に消えるいまの公共事業では、景気上昇の誘い水にならないのかもしれない。 

・「1998年以降日本経済はデフレにあるという考えは、日銀の従来の考えではない。 政府の見解でもない。 それは岩田規久男氏の個人的考え」 ・・・ 15年デフレが続いている、という言葉は安倍晋三氏も、岩田氏も使うが、この15年の中には好況もあった、それでも物価だけみてデフレというのかと、疑問を呈している。 

・「誰の知的影響も受けていないと信じている実業家でさえ、誰かしら過去の経済学者の奴隷であるのが通例である。虚空の声を聞く権力の座の狂人も、数年前のある学者先生から狂気を描き出している」 ・・・ 経済学者というものは、本当に、いい加減な存在だと思う。 

・「第三の矢の中で意図している、法人税引き下げによって、景気を上向きにし、税収増を図るという考えは、1990年代に試みられ、失敗し、財政悪化をいっそう強めてしまったものである」 ・・・ 社会保険を含み、ほんとうに企業の負担はね外国に比して大きいのかどうか、それを明快に論じたものを知らない。 

・「日本の納税の現実は、極論すれば、法人税は大企業の税になってしまった。法人の七割近くが税を納めないのであり、金額的にはこのように言えないこともないのである。 他方所得税は、これまた極論すれば給与所得者の税になっている。」 ・・・ 自民党と共産党系の団体の節税指導が巧みすぎるのかもしれない。 

・放射性廃棄物をモンゴルにひきとらせようとしているが、モンゴルは同意していないのではないか。  こんな話もあったのか、初めて知った。 

・西欧での非正規雇用との違いは、西欧では同一労働同一賃金が守られていること。 日本はただ人件費を低く抑えたいだけ。  ・・・ この前の衆議院議員選挙では、生活の党だけが、同一労働同一賃金を主張していた。 

・有償による職業紹介を禁じた、職業安定法32条を、時間をかけて無意味なものにしていったのは、誰がデザインしたのだろうか。 

・戦争責任のとりかた ・・・ ドイツはナチスの責任とし、ナチスの復活を国民も政府も警戒した。  日本は、一億総懺悔をしたので、結局、誰も責任を取らなかったのだ。  








伊東光晴「アベノミクス批判」( 岩波書店2014.7.30)
第一章 日銀の「量的・質的緩和」は景気浮揚につながらない 第一の矢を折る
1. 実証に欠ける理論
2. 消費が増えるとは限らない
3. 目的は財源調達
第二章 安倍・黒田氏は何もしていない なぜ株価は上がり、円安になったのか
1. はじめに
2. 株価の上昇
3. 円安を解剖する
4. アベ・クロノミクスの評価
5. 複合不況
第三章 「国土強靭化政策」にかわるもの 第二の矢を折る
1. 「第二の矢」は予算上実現されることはない
2. 東北の被災地で起こっていること
3. 南海トラフ巨大地震に対処する道は
第四章 人口減少化の経済 第三の矢は音だけの鏑矢
1. 本論に入る前に
2. 生産年齢人口減少社会での景気
3. 今後に向けて
第五章 予算から考える
1. 三本の矢は予算に具体化されているか
2. 第一の矢の真のねらいは
3. 日本の財政の現実
4. 忘れられているもの 不公平税制問題
5. 今後はどうなっていくのか
6. 高齢化が日本の財政を圧迫する
第六章 三つの経済政策を検討する
1. 安倍首相のこだわる原子力発電
2. 労働政策の逆転
3. いま、国際経済政策で重要なことは何か
第七章 安倍政権が狙うもの
1. 安倍政権の政治軸
2. 尖閣列島問題には冷静な心を
3. 戦争責任
4. アメリカの右派外交のもたらしたもの
5. 安倍政治を批判する

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