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zoom RSS 藤井聡「<凡庸>という悪魔 21世紀の全体主義」日本社会の問題を的確に解説した良本

<<   作成日時 : 2015/09/26 07:41   >>

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いまの日本社会を覆う問題には、思考停止とその結果もたらされる全体主義的な思潮がある。 その全体主義的風潮を、ハンナ・アーレントなどを引用して解説する、たいへん分かりやすい、入門的、初歩的な本として優れている。 

しいて悪口を言えば、理系の素人が、基本的な理屈を比較的荒っぽく現実の課題に対応付けて解説しているという見方もできる。  ただ、素人で別に悪くないし、素人の方がプロ学者より、端的に指摘、解説できるという長所もある。 別に間違ったことほ書いているわけでもないし、じゃっかん、文系の人間の醸し出す香りには欠けるが、それが逆にストレートで理解しやすくていい。 


筆者も触れているが、昨年、映画「ハンナ・アーレント」を見た。 ユダヤ人社会から激しい批判を浴びながらも、アイヒマンは決して邪悪な責任ある存在ではなく、出世だけを夢見て命令に従っただけの普通の凡庸な官僚、人間だとアーレントは評した。 

凡庸が罪であり、「政治においては服従と支配は同じものなのだ」とアーレントは言う。 
この言葉の解説は、わたしは、補っておきたい。 服従があっての支配なのだから、どちらも同じものなのだ。

筆者は、全体主義をひとつの現象、運動とみていて、その要素に、以下をあげている。 

・凡庸・つまり思考停止、死ななけりゃ治らないばかも多いが、インテリも少なくない。
・俗情・つまりルサンチマンなどのエネルギー、
・テロル・暴力、一応理論づけたり、正当化したりする、似非科学、新自由主義もアーリア優性も
・あらゆる種類のプロパガンダ、小泉のワンフレーズも
・暴力も含めて効率的に実行する官僚組織
・必ずたどり着く破滅


そして、ナチスの全体主義と同次元ではないにせよ、日本社会の、いじめ、事業仕分け、小泉郵政民営化・・・などを実例として挙げている。 

似非科学として、新自由主義の果たす役割の解説もしている。 
ここのところは、似非科学でもあり、同時に、「新自由主義」全体主義としても、みている。
捉え方は別としても、内容は、とてもいい。

日本の全体主義的風潮の例としては、ちょっと物足りない気がしないでもないが、書かれたのは2年前というから、安倍政権についての空気は、書くタイミングではなかったのだろう


以下、そのほかに印象に残ったフレーズを引用しておこう。

・「人間の思考停止に導かれる現象は、マクロな社会的側面から見れば、「全体主義」と呼ばれ、ミクロな心的側面から見れば「凡庸な人間」と呼ばれる」 ・・・ そうなのかな。 

・「帝国主義を通して外国に暴力を働いてしまった民族は、その行為を「正当化」したいという強い動機を潜在意識下に持つことになります」 ・・・ これは、日本にあっては、中韓に対する蔑視の一つの理由かもしれない。

・「この「カラッポ」さ(つまりニヒリズム)故に、全体主義は「何でもあり」となっていきます」 ・・・ 左も右もなく、全体主義が起こりえるということですね

・ハンナ・アーレントの言葉とされる、「一般には全体主義運動の性質を、特殊にはその指導者の名声の特質を最も特徴的に示しているのは、それらの運動や指導者が驚くほどすぐに忘れられ、驚くほど容易に他のものに取って替わられえることである」 ・・・ そうなのかなあ ?

・「誰の知的影響も受けていないと信じている実務家でさえ、誰かしら過去の経済学者の奴隷であるのが通例である。・・・ 思想というものは、実際には、直ちに人を虜にするのではない、ある期間を経てはじめて人に浸透していくものである」 ・・・ これはケインズだったか、経済学者は、たしかになんの存在価値があるかとおもうくらい、人によって正義が異なる。 新自由主義の影響は、それと知らずに、多くの人が骨の髄まで浸透しているる

・ノーベル経済学賞は、ノーベル賞ではない。スエーデン国立銀行の賞 ・・・ 自由主義の浸透のためという説があるのは初耳だった。 

・「日本国中の弱者達を失業や貧困といった境遇に送りこみ続けている思考停止に陥った人々は、こぎれいなスーツを着こなす日本の一流大学の経済学部の教授達なのであり、彼らこそが似非科学にしか過ぎない新自由主義経済学に対する権威づけに日夜励み、「新自由主義」全体主義運動をその根幹部分で回し続けている「凡庸な悪魔」にほかならないのです」 ・・・ これは全くその通り、筆者もいちばん腹にすえかねていることなのだろう

・「ワシントンコンセンサスとは、発展途上国には、「カネを貸してほしいなら市場を自由化して、私たち先進国のビジネスマン達が自由に商売できるような状況を作りなさい」と強要しましょうという、先進国側の合意事項だったわけです」  ・・・ マレーシアのマハティールは偉いね。 これは、スティグリッツやクルーグマン、センなども、前から主張しているね。 







藤井聡「<凡庸>という悪魔 21世紀の全体主義」(晶文社2015.4.30)
序章 全体主義を導く「凡庸」な人々
第1部 全体主義とは何か? ハンナ・アーレントの考察から
第1章 全体主義は、いたって特殊な「主義」である
第2章 ナチス・ドイツの全体主義
第3章 “凡庸”という大罪
第2部 21世紀の全体主義 日本社会の病理構造
第4章 いじめ全体主義
第5章 「改革」全体主義
第6章 「新自由主義」全体主義
第7章 グローバリズム全体主義
おわりに 「大阪都構想」と「全体主義」

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