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zoom RSS 鄭大均編「日韓併合期ベストエッセイ集」

<<   作成日時 : 2015/10/25 10:28   >>

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浅川巧氏のエピソードを知りたく探していたら、この本を見つけた。いわゆる日帝時代の経験・出来事について、日本人、朝鮮人の書き手による43編の随筆・エッセイを集めている。場所は朝鮮も内地もあるし、当時書かれたものも、戦後のものもある。編者は政治的な話ではなく、日常の人びとの生活に関わるエッセイを意識的に集めている。だから日帝時代といえ、いいこともあった。日本人にもいい人間もいた。

読んでいて朝鮮に溶け込み、朝鮮の墓に眠った浅川巧氏を除いては、日本人は殆ど朝鮮の事も朝鮮人もよく知らなかったと言うことに気づく。為政者である宇垣氏の言葉が象徴的である。

「朝鮮のような特殊な境地に置かれた地域では、赤化思想がしょうけつを極めることは当然だが、朝鮮民族全体としては、素朴純情で、教うるに道を以てし、導くに法を以てすれば、立派に仕上げることができる、我々が日本で聞き且予想していた様な、ひがみ荒んだ思想の持ち主ばかりでないということがかってきた」個人的には余計なお世話で酷い言い方だと思うが、当時の日本人の典型的な認識なのだろう。


書き手は、五木寛之、安岡正太郎、田中明、任文桓、金素雲、森崎和江、日野啓三、金史良、金鎭植、森安蓮吉、石島亀治郎、安倍能成、藤田亮策、宇垣一成、李孝石、浅川巧、柳宗悦、谷崎潤一郎、佐多稲子、島木健作、泉靖一

本論とは関係ないところで興味を引いたものもある。

・ 「朝鮮米が日本一の品質をもち、日本のすし米の上等品は皆朝鮮白米の一等品であったことを知る人は少ない」 と宇垣氏は言う。 日本酒もうまいらしい。 しかし、おしなべて、酒も料理も、当時の日本人には評判良くない。

・ 「姓が朝鮮では家を現さずに祖先を現すものなので、姓を創り変えるということはつまり祖先の抹殺になる」・・・これは、創氏改名に対する反応の一つかもしれない

・ 総じて日本人は朝鮮の天候には好意的だ。 じめじめしている日本より乾燥した空気が好ましい。 
「乾燥した京城の空気は確かに身体と頭脳とには好適である」

・ 柳宗悦氏の陶磁器に対する感想である。 なかなか味わいがある。 「支那のものは、吾々が待っても待たないでも、いつも向こうから来る。朝鮮のものは、こちらが訪ねても訪ねずとも、いつも吾々を待っている」

・ 安倍能成氏は、焼物をいろいろ探しているが、朝鮮では実用品であって、「朝鮮では、日本の様に焼物を愛玩する風習はない」から、日本の陶磁器のように、役に立たないものが無い。 

・ 安倍氏のおもしろい印象がある。 「世界の文明国人で脚部を平気で出すこと日本人のごときものはあるまい」朝鮮人でも決してしない、脛を出して歩く男女に、日本の生活様式はごくごく地方的なのだと、文明論になってゆく

・ 中国人も朝鮮人も、日本人よりは、生活が西洋人に近く、日本人の生活は特殊で地方的だ。 その日本人が西洋的なものを一挙に採り入れたのだから、異常に特殊性が増している、と。 日本の生活様式はせせこましく、小さな額縁の中にしか合わない。 奉天など広い大陸に出るとそれわ痛感するらしい。 ちなみに、朝鮮の若者は、日本の文化はとりいれず、日本を通じて西洋の文化を取り入れようとする。  これも地方、特殊なものより、一般的な西洋の方が魅力あるからだろう。 





鄭大均編「日韓併合期ベストエッセイ集」(ちくま文庫 2015.7.10)
第一章 子どもたちの朝鮮
第二章 朝鮮の少年たち、日本へ行く
第三章 こんな日本人がいた
第四章 出会い八景
第五章 作家たちの朝鮮紀行
第六章 街と風景と自然
第七章 朝鮮を見て、日本をふり返る

書き手と、初出の年度だ。 戦後に書かれたものが多い。

1. 子どもたちの朝鮮
    ・五木寛之(2003)、安岡正太郎(2005)、田中明(1979)、任文桓(1975)、金素雲(1979)、森崎和江(1982)、日野啓三(1995,1974)
2. 朝鮮の少年たち、日本へ行く
    ・任文桓(1975,1975)、金素雲(1989)、金史良(1940,1941)、金鎭植(1993)、
3. こんな日本人がいた
    ・森安蓮吉(1936)、石島亀治郎(1921)、安倍能成(1931)、藤田亮策(1958)、宇垣一成(1950)
4. 出会い八景
    ・安倍能成(1932,1937)、李孝石(1936)、金素雲(1954,1988,1981)、浅川巧(1934)、柳宗悦(1953)
5. 作家たちの朝鮮紀行
    ・谷崎潤一郎(1918)、佐多稲子(1940)、島木健作(1940)
6. 街と風景と自然
    ・安倍能成(1927,1928,1928,1938,1939)、李孝石(1937,1937,1938,1939)、泉靖一(1967)
7. 朝鮮を見て、日本をふり返る
    ・柳宗悦(1932)、安倍能成(1928,1932)、



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