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zoom RSS 山中恒「「靖国神社」問答」

<<   作成日時 : 2015/11/06 19:59   >>

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戊辰戦争から現在まで、靖国神社の成り立ちから、関係する東アジアおよび太平洋の戦争の歴史をひもとき、平易に解説している、たいへん良いお薦め本だ。もっとも評価は靖国に対する考え方に依存するだろうが。

戊辰戦争の戦死者を祀るために明治天皇は大村益次郎に命じて東京招魂社をつくった。復古神道によって天皇の国家を純化してゆくには、神道を国民の宗教として強制してゆくのが一番だった。そこで、東京招魂社を別格官幣社靖国神社として国家が管理し、「天皇の思し召しで戦死者を靖国神社の神にする。これを、ありがたい、もったいない、こんな名誉なことはないと、国民に思わせ信じさせて、(徴兵を血税と思う)危険な血税感覚を消し去った」

もともと官軍戦死者だけを祀り、朝鮮侵略(江華島事件)で死んだ一名の水兵も合祀、空襲で死んだ市民などは合祀しない靖国は天皇と政府の戦争のための軍事施設であるともいえる。 「戦前は靖国神社は宗教ではないのに、宗教のような信仰をすべての国民に強制しました。今日の靖国神社は正真正銘の宗教なのに、宗教の枠を超えていると思わせる」と、閣僚の参拝や国家護持を推す人々、それを受け入れる空気を批判している。 


そのほか、興味深い話には、以下のようなものがある。

・日本の神は、一節(上説)には、「上とは、人間以上の不思議なもの」であって、神には、正しい神も邪な神もあり、秀でた神もあれば、劣ったつまらぬ神もある。 「その気になれば何でも「神様」にして祀ることができる」 という性格を持っていた。 

・明治維新まで神社は伝統的神祇官の家柄である吉田家の許状をもらって神社は創立していた。 神社行政をしていたのは朝廷の時代であって、ある意味では、明治維新で一挙にそこまで戻る必要があったわけだ。

・1879年(明治12)、東京招魂社は別格官幣社靖国神社に生まれ変わり、国家の祭祀施設になった。

・いったん神として祀ったものを何人も批判することはできないから、A級戦犯も神になったら、批判しにくいわけだ

・廃仏毀釈運動が荒れ狂って、仏教関係の重要な文化財や国宝級の美術品が消失・散逸した。 「よく日本人は歴史と伝統を重んじる民族だといいますが、このとき、歴史や伝統をなんのためらいもなく、憎しみをこめて一気に破壊したことを記憶しておく必要があります」 ・・・ ここに至るまで、神仏習合、「聞法思想」、本地垂迹説、、、と、神道と仏教は、密接にからんできた。 

・神道は、神社という施設があるだけで、僧侶・信徒・経典に相当するものが無い。

・「靖国神社に参拝して拝礼して崇敬することは、「私もあなた方戦死者に習って、あとに続きます」と誓うこと」

・1889年10月30日に教育勅語を渙発。 「軍人勅諭」と「教育勅語」に「唯神の道」の理念を盛り込んだ。「軍人勅諭」や「教育勅語」というのは軍人や子どもが守るべき道徳や倫理ではなく、「唯神の道」の教えであるということをはっきりと認識する必要があります。教育勅語を復活させることは復古神道の唯神の道の復活

・「国家神道は、国家が神社参拝や崇敬を強制できます。この点が、教派神道と違う点です」

・「東京招魂社には、立派な社殿や境内がありました。崇敬者は陸海軍と皇室です。 それでこの際、神社明細帳に登録して神社にすることにしました。神社になるために足りないものは、「神霊」だけです。 そこで、これまで祀った戦没者の霊を神霊として、別格官幣社靖国神社が誕生しました」

・対中国の政策に失敗した陸軍省は、「1939年4月、パンフレット「支那事変の真意義」を出しました。そこで持ち出してきたのが「唯神の道」の「八紘一宇の権現」という神懸かりなスローガンでした」・・・聖戦に勝てないのは米英のせい

・「戦争状態が終了すると国家間の関係は平和な状態に戻りますが、政府も国民も戦争の終了=敗戦前の日本に戻ることと解釈したようです。 たちまち明治以来の「唯神の道」が復活します。講和後初の例大祭に首相の吉田茂は、モーニング姿で昇殿して参拝しました。(中略)戦前の正式参拝そのものでしたが、誰も何も言いませんでした」

・1991年1月10日、仙台高裁は天皇・首相の「公式参拝」は憲法20条3項が禁止する宗教的活動に該当する違憲な行為であると結論付けた




山中恒「「靖国神社」問答」(小学館文庫 2015.8.11)
第一問 靖国神社はなぜ戦災死者を祀らないのですか
第二問 靖国神社はいつ頃できたのですか
第三問 靖国神社の神と八百万の神はどう違うのですか
第四問 過激な国家神道とは
第五問 復古神道と靖国神社の関係は
第六問 教派神道と国家神道とのちがいは
第七問 靖国神社は宗教ですか
第八問 靖国神社は軍事施設ですか
第九問 靖国神社と徴兵制度の関係は
第十問 なぜ西郷隆盛は靖国神社に祀られないのですか
第十一問 韓国と靖国神社との関係は
第十二問 日清戦争と靖国神社との関係は
第十三問 日清戦争で靖国の神は変わりましたか
第十四問 靖国神社の例大祭とはどういうものですか
第十五問 なぜA級戦犯が靖国神社に合祀されたのですか
第十六問 中国と靖国神社の関係は
第十七問 靖国神社の祭神はなぜ増えたのですか
第十八問 戦後の靖国神社と公式参拝問題の関係は
第十九問 なぜ靖国神社に祭り続けたのか





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