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zoom RSS エリック・ブリニョルフソン他「ザ・セカンド・マシン・エイジ」

<<   作成日時 : 2015/11/09 11:01   >>

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産業革命を第一機械時代、指数関数的な高性能化、デジタル化の「目的に向けて環境を制御する頭脳の能力」、組み合わせ型イノベーションの現代を第二機械時代と名付け、「人間は馬と同じ運命をたどるのか」つまり、技術革新のために用なしになるのかという簡単な問いに対する答えが400ページにわたる。流行に流されない真っ当な内容で読みでがある。格別新しい知見はないが、整理や集大成といった印象がある。

デジタル化されたモノやサービスの市場は、勝者総取りになりやすい。限界費用がゼロで、複製が無制限にできるからだ。つまり1%の勝者を生みながら、それ以外は馬と同じく、仕事を失う。 ただし、それなりのスキルがあったり、「新しいアイデア」を生み出すことができるひとは別だ。そこで、教育が見直される。ラリー・ペイジ、セルゲイ・プリン、ジェフ・ペゾス、ジミー・ウェールズをはじめ、優秀なイノベーターの多くがモンテッソーリの教育を受けていたという。 もっとも教育の話は本論ではない。

 この本は、ビジネス書とも言いにくいが、真っ当な論は以下の例でもわかる。「単にシステムを導入しただけでは生産性は上がらない。 新技術を活かすために組織や経営のあり方を見直すことが必要になる。 IT投資には、創造性と組織変革・再設計が欠かせないのである」。まったくその通りだ。導入後数年たたないと生産性の向上は実現しない。 そこには補完的イノベーションが必要なのだ。その代表的なものは、組織やプロセスである。



その他にも、なかなか興味深いエピソードが豊富だった。


・「人間は非線形処理のできる最も安価な汎用コンピュータ・システムである。しかも重量は70キロ程度しかなく、未熟練の状態から量産できる」という文は、1965年のNASAの報告書にあったらしい。 

・SLAM (Simultaneous Localization and Mapping ) 問題 の解決も近い? らしい 

・「デジタル情報固有の二つの経済特性」とは、「一つは有限でないこと、もうひとつは複製の限界費用が限りなくゼロに近いことである」・・・意外にシンプルな特性だが、これだけ? 

・1991年、ヨクト、ゼプト、ゼタ、ヨタが承認された 度量衡は、すでにゼタの時代に突入らしい。 プラスの方向はまだなじみがある。 
K → M → G → Tera(12乗) → Peta(15乗) → Exa(18乗) → Zetta(21乗) → Yotta(24乗) → ?

しかし、マイナス方向は馴染みがない。 
Mili → Micro(-6乗) → Nano(-9乗) → Pico(-12乗) → Femto(-15乗) → Atto(-18乗) → Zepto(-21乗) → Yocto(-24乗) 


・「国が豊かになる方策として唯一実行可能なのは、企業と労働者が同じインプットからアウトプットを増やし続けること、言い換えれば、同じ数の人間でより多くのモノやサービスを生み出すことである」 つまり、生産性の向上だ。 

・「汎用技術という名称に値するのは、広く浸透し、継続的に向上し、新たなイノベーションを生み出せるような技術である。」 蒸気機関、電力、デジタル技術などが、そうだ。 

・「イノベーションとは、一連の小さな発明に続いて小幅の改善が行われ、それが積み重なった結果として最初の発明の潜在性が十全に発揮されるにいたるプロセス」・・・ロバート・ゴードン

・「アイデアの中でおそらく最も重要なのは、メタ・アイデアである、メタ・アイデアとは、アイデアの創出や伝播を促すアイデアをさす」(ローマー)

・「近年では多くの組織がNASA方式を採用し、自社が抱える課題を公開して「たくさんの目玉」を求めている。この方式には「オープン・イノベーション」とか「クラウド・ソーシング」といった名前がつけられている」・・・ 「オンライン・スタートアップ」のカゲルもやはりクラウド・ソーシング・サービス」

・「同じくオンライン・スタートアップのQuirkyは、新しいアイデアを生み出すことと、それを選別して組み合わせること、すなわちウェイツマンの言うイノベーションの二段階の両方に広くユーザーの知恵を募る」

・「ダニエル・マクファデンの離散選択理論に基づいた」離散選択モデルを使うと「選択肢のセットを示して好きなほうを選んでもらうことを繰り返すやり方で、人々の選好を短時間で探り当てることができる」

・「汎用技術は補完的イノベーションを必要とする」から、それが出現するまで、技術の導入から生産性の向上までにはタイムラグがある。   「補完的イノベーションとして最も重要なのは、おそらく仕事のやり方や組織のあり方の変革だろう」

・「ソフトウェア投資を行った企業では、5〜7年後に生産性が顕著に伸びていることがわかった。 補完的イノベーションによってIT投資が実を結ぶまでにには、それだけの年数が必要だと言うことである。」

・公式統計からは、今日の経済で現に生み出されている多くの価値がすっぽり抜け落ちている。

・公式統計には入らない四種類の無形資本財・・・知的財産、組織資本、ユーザー生成コンテンツ、人的資本

・国連開発計画(UNDP)の人間開発指数・・・健康や教育などの指数を用いて社会の豊かさや進歩の度合いを計測する

・多次元貧困指数(MPI)・・栄養、衛生、安全な飲料水など10の指標から開発途上国の貧困の状況を評価する複合指数

・1838年以来、人類が撮ってきた写真の数は3.5兆枚。 そのうち10%は2012年1年間のもの

・「インスタグラムやフェイスブックなどが雇う人間の数は、かつてのコダックの十分の一以下だ。にもかかわらず、フェイスブックの時価総額はピーク時のコダックの七倍を上回っており、結果的に少なくとも七人の億万長者を誕生させた。この七人は一人ひとりが、ジョージ・イーストマンの十倍以上の純資産を保有している。」

・「単にシステムを導入しただけでは生産性は上がらない。 新技術を活かすために組織や経営のあり方を見直すことが必要になる。 IT投資には、創造性と組織変革・再設計が欠かせないのである」

・「CEOの報酬と平均的従業員の報酬を比べると、1990年には70倍だったのが、2005年には300倍」

・市場のデジタル化が進むにつれ、勝者総取り経済が幅を利かす

・勝者総取り市場が増えてきた理由・・・デジタル化、通信・輸送技術の進歩、ネットワーク効果と標準化

・いったんデジタル化されたモノやサービスの市場は、勝者総取りになりやすい。限界費用がゼロで、複製が無制限にできるからだ。

・「上位1%や最上位0.01%の所得層は我が世の春を謳歌している」・・・「注目すべきはロングテール現象」・・・「需要の小さいモノやサービスへのアクセスが容易になることで、そうしたニッチ商品の売り上げが一握りのヒット商品の売り上げを凌駕する現象」・・・「テクノロジーは限界費用を押し下げるだけでなく、多くのケースで固定費用、在庫費用、検索費用も圧縮した。その結果、従来は無視してきた多種多様なニーズを拾い上げもニッチな需要に応える商売が成りたつようになっている」

・「そうなれば、スーパースターに真っ向勝負を仕掛けるのではなく、自分の「売り」に特化し、ニッチ市場を拵え上げて世界のナンバーワンになってしまうという戦略が成り立つ」

・「スーパースター市場の分布は、べき乗則またはパレートの法則に従うと考えた方がうまく説明できる」

・ゆたかさは格差を上回ることができるのか、技術は不平等を拡大するのみならず、構造的失業を出現されるのか、グローバリゼーションは賃金と雇用率の低下の原因なのだろうか

・グロン・アセモグル「国家の命運を左右するのは、私有財産制、法の支配といった制度だという。これらを整備した国家は繁栄するが、経済や社会のルールがエリート層に有利になるように定められている歪んだ国家は貧困に向かう」

・「外国の安い労働力よりもインテリジェントな機械の方が、コスト効率の良い「労働力」になりつつある」例 コールセンター、メディカル・トランスクリプション

・「「新しいアイデア」を生み出すことこそ、コンピュータがまだできないことの一つ」

・「モンテッソーリ教育は、自発的な学習、さまざまな教具や動植物との感覚的なふれあい、自由な環境を特徴とする」近年では、ラリー・ペイジ、セルゲイ・プリン、ジェフ・ペゾス、ジミー・ウェールズをはじめ、優秀なイノベーターの多くがモンテッソーリの教育を受けていた


・1980年のマリエル事件でキューバからマイアミに12万人が渡ったが、丁スキル労働者の賃金にも失業率にもほとんど影響なかった。 移民政策への反対意見は意外に実際と違う。

・(厚生経済学のアーサー・)ピグー税・・・公害など、促進したくないものに課税する

・ベーシック・インカムはトマス・ペイン以来の考えで、ラッセルやキングも支持していた考え方だ。しかし、筆者は、仕事が大切だと考え、ベーシック・インカムより負の所得課税の方がよいと言う

・「クラウド・ソーシングは経済全体における失業の抑制と雇用の創出にさしたる役割をはたしていない」









エリック・ブリニョルフソン他「ザ・セカンド・マシン・エイジ」(日経BPマーケティング2015.8.3)
人間は馬と同じ運命をたどるのか
第1章 人類の歴史の物語
第2章 機械とスキル
第3章 ムーアの法則とチェス盤の残り半分
第4章 デジタル化の大波
第5章 組み合わせ型イノベーション
第6章 人工知能とデジタル・ネットワーク
第7章 セカンド・マシン・エイジのゆたかさ
第8章 GDPの限界
第9章 セカンド・マシン・エイジの格差
第10章 最強の勝ち組はスーパースター
第11章 ゆたかさと格差は何をもたらすか
第12章 個人への提言
第13章 政策提言
第14章 長期的な提言
第15章 テクノロジーと未来


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