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zoom RSS ミシェル・ウエルベック「服従」 フランスがイスラム化?興味深いが小説としてはどうか?

<<   作成日時 : 2015/11/12 12:20   >>

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小説であるのに佐藤優氏の解説が付されている。宗教と政治について語れる人は多くないからだろう。2022年大統領選挙の第一回投票で、フランス国民は、第一党の極右ファシスト政党の国民戦線か、第二党イスラーム同胞党かの究極の選択を迫られた。主人公フランソワは、19世紀の作家ユイスマンスの研究者で、パリ第三大学の文学部の教授だが、政治的立場も特になく、若い女子学生との情事を楽しんでいる。


内戦の危機や多少の銃撃戦もあったが、社会党、中道右派などが、ファシストではなくイスラームを支持すると表明してイスラーム政権ができそうな情勢だ。 イスラム党の関心は人口と教育であって、経済などではない。イスラム政権ができたらイスラム教徒しか大学教授になれない ・・・・・・ ほかに、イスラームの教育といえば、男女共学はありえない、女性に開かれているのはいくつかの教科だけ、給食の食事制限、毎日五回の礼はい時間の確保・・・これだけでも、大きな変化だ。  ヨーロッパの女性が受け入れるとは思えない。


佐藤優氏の友人によると、この小説「服従」は、ヨーロッパで相当話題になったらしい。いま、EUが分解する危機に直面していて、解体すれば、独仏の戦争の危険がささやかれている。その危険よりも、イスラーム教のもとでのヨーロッパの統一の方がよいと、作者が仮説を提示したのではないかとの説もあるらしい。

主人公がフランス文学の教授だけあって、政治小説というよりは、文化的・宗教的内容が多く、率直に言って理解しにくいところが多い。恥ずかしながら作家ユイスマンスも初めて知った。 ランボーではたくさんありすぎて博士論文にしにくいらしいのがおもしろい。 

題名の「服従」は、映画にもなった「O嬢の物語」から来ているようで、それも私には奇怪に思える。 なんか、無理やり、女性の話を組み込んだんじゃないかと詮索してしまう。  「「O嬢の物語」に描かれているように、女性が男性に完全に服従することと、イスラームが目的としているように、人間が神に服従することの間には関係があるのです」 ・・・ あまり、関係があるるとは思えないんだが。。。。

イスラム党の党首、ベン・アッベスはたいへん大きなビジョンをもった希有な人物で、彼の狙いは、ヨーロッパと湾岸諸国、北アフリカを統合するヨーロッパ国だという。  ローマ帝国の再生だ。 気宇広大な話だけれど、フランスにはそういう野心が潜在的にあるのだろうか。  

ここまで、ヨーロッパが救いようのない状況に陥ったのは、知識人やキリスト教の責任も大きい。 

知識人に対しては、「二十世紀にはあれほど多くの知識人がスターリンや毛沢東、ポル・ポトを支持したが、彼らはそれを非難されずに来た。フランスではそもそも責任という観念は、知識人には無縁なのだった」

そして、カトリックにたいしては、「カトリックの教会は、進歩主義者たちに媚び、おべっかを使い甘やかすことで、恥ずべきことに、頽廃的な社会の傾向に対抗不可能になり、同性愛者の結婚や、妊娠中絶や女性の就労の権利をきっぱりとそして厳格に否定できなくなったのだ」


テーマはたいへん興味深いが小説としては私にはつまらなかった。 



<2015/11/15 追記>

11/13 パリでイスラム国による同時多発テロで数百名が死傷した。
決して、移民とは関係ないけれど、国民戦線(FN)の排外主義が一層強まりそうだ。
国民議会はまだひとけたのFNだが、最近の選挙では第一党になっている。
そしてオランドの社会党は、支持を失うだろう。
いよいよ、ウエルペックの予測の一部が確実になる。
ただ、イスラム党は、まだ影も形もないし、アッベスのような卓越したリーダーがいるともおもえない。

<追記終了>


ミシェル・ウエルベック「服従」(河出書房新社2015.9.20)



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