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zoom RSS ジェレミー・リフキン「限界費用ゼロ社会」

<<   作成日時 : 2015/12/26 10:32   >>

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封建時代の囲い込み、蒸気機関と印刷技術の第一次産業革命、石油と中央集権型コミュニケーションに裏打ちされた垂直統合型製造業の第二次産業革命、そして限界費用ほぼセロの現在、再生可能エネルギーと分散型コミュニケーションのIoT・・・・と、歴史的にも壮大で、コミュニケーション、エネルギー、ロジスティックスの三分野のセットで文明を語る幅広い内容は、最新の教養を得たい人にはたいへんありがたい内容だろう。再生可能エネルギーがすぐにでも主流になる見通しや、GNU GPLの話題 ・・・などなど、なんとも守備範囲の広い人だ。


しかし私の印象では、筆者の論はあまりにも楽観的かつアバウトだとおもう。文明評論家というのは、こんなものだろうか。

もうひとつ大きなテーマは、社会主義はもちろん、資本主義も終わり、コモンズの世界になるということだ。限界費用がゼロになり、利益がなくなり、資本主義がたちゆかなくなる。ここが、楽観的なのだ。SF映画のように、世界はディストピアになると私は思うが、筆者はコモンズの社会になると言う。


概要は以上だが、いろいろ気になることは多い。

筆者が繰り返し、くどい程主張しているのは、インフラに必要な三つの要素は、コミュニケーション媒体、動力源・エネルギー、輸送の仕組みであって、IoTの稼働システムのかなめは、コミュニケーション・インターネット、エネルギー・インターネット、輸送インターネットを緊密に連携した稼働プラットフォームにまとめること、という。 この論に疑問を持ち始めると、この本全体が成り立たなくなる。 しかし、そうかもしれないが、それほど納得感が強いわけではない。


もうひとつの柱がコモンズである。 「資本主義市場は私利の追求に基づいており、物質的利益を原動力としているのに対して、ソーシャルコモンズは協働型の利益に動機づけられ、他者と結びついてシェアしたいという深い欲求を原動力としている」 ・・・ 確かに、コモンズはあるだろう。  しかし、これほど格差社会になって、コモンズに期待することはむずかしい。 格差が固定するディストピアという読みのほうが、哀しいがありうるような気がする。


日本に関する特別賞が追加されている。   筆者の意見は、原発に依存する政権に対して厳しい。  このままでは、日本の衰退も予測している。



あまり、本質的な話ではないが、気になったハナシがたくさんある。 以下に、取りとめなく、挙げておく。

<再生可能エネルギーについて>

・サンパワー社のスワンソンの法則・・・太陽電池の価格は業界の生産能力が倍増するごとに2割下がる

・レイ・カーツワイル(グーグル)・・・「倍増をあと八回繰り返し、世界のエネルギー需要をすべて太陽エネルギーで賄うようになったとしても、我々は地球に降り注ぐ太陽光の一万分の一を利用しているにすぎない」・・・「2028年までに、我々は太陽エネルギーの時代に突入していることになる」

・「カーツワイルはいくぶん楽観的かもしれない。だが、不慮の事態にでも陥らないかぎり、2040年よりはだいぶ前に再生可能エネルギーによる電力がほぼ8割に達するだろうと、私自身は見ている」

・「分散型・協働型・水平展開型でピアトゥピアのコミュニケーション媒体は、再生可能エネルギーを管理するのにうってつけだ」


<3Dプリンターとメイカ―について>

・「ゼロックスの銀インクプロセスはまだ実験段階だが、3Dプリンティングによって切り拓かれた、新しいインフォファクチャリングの可能性を如実に物語っている」・・め太陽電池内に半導体として使われている

・メイカームーブメントの原理・・・新しいイノベーションのオープンソースによる共有、協働型の学習文化の促進、コミュニテイの自給自足という信念、持続可能な生産手法への傾倒

・「3Dプリンターによる臓器の作製は、順調に進んでいる。ノースカロライナ州のウェイク・フォレスト再生医療研究所は最近、生細胞を使用してヒトの腎臓を3Dプリンティングにより試作した」



<コモンズ、シェアについて>

・「IoTによって可能になったビアトゥピアの分散型・水平展開型の経済活動を管理できる、21世紀のハイテクのコモンズだ。 ネットワーク化されたコモンズが新たな協働型経済パラダイムの統治母体になる」

・「衣類でさえも、所有物からサービスへと変容しつつある」・・・タイ・ソサエティ「加入者は、月額11ドルの料金で、箱詰めされた消毒済みのネクタイを受け取って使用し、月ごとに違うネクタイを利用できる」


<そのた>

・キックスターター、ベネフィット・コーポレーション、

・「世界の先進工業経済の多くでは、非営利の領域はすでに、雇用の拡大が最も著しい部門となっている」

・ガンディー「地球はあらゆる人の必要を満たすほどのものを提供してくれるが、あらゆる人の強欲を満たすことはできない」

・ティム・カッサー・・・「冨と財産の追求を非常に重視する人が報告する精神的充足度は、そうした目的にあまり拘泥しない人と比べて低い。物質主義的な価値観が生活の中心になるにつれて、生活の質は低下する」

・「資本主義体制においては、生命に対する特許権に反対しても無駄なのだ」






ジェレミー・リフキン「限界費用ゼロ社会」(NHK出版2015.10.30)
<モノのインターネット>と共有型経済の台頭
 第1章 市場資本主義から協働型コモンズへの一大パラダイムシフト
第T部 資本主義の語られざる歴史
 第2章 ヨーロッパにおける囲い込みと市場経済の誕生
 第3章 資本主義と垂直統合の蜜月
 第4章 資本主義のレンズを通して眺めた人間の本性
第U部 限界費用がほぼゼロの社会
 第5章 極限生産性とモノのインターネットと無料のエネルギー
 第6章 3Dプリンティング
 第7章 MOOCと限界費用ゼロ教育
 第8章 最後の労働者
 第9章 生産消費者の台頭とスマート経済の構築
第V部 協働型コモンズの台頭
 第10章 コモンズの喜劇
 第11章 協働主義者は闘いに備える
 第12章 インテリジェント・インフラの規定と支配をめぐる争い
 第W部 社会関係資本と共有型経済 
 第13章 所有からアクセスへの転換
 第14章 社会関係資本のクラウドファンディング、民主化する通貨、人間味ある起業家精神、労働の再考
第X部 潤沢さの経済
 第15章 持続可能な「豊穣の角」
 第16章 生物圏のライフスタイル
 特別章  岐路に立つ日本


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