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zoom RSS 森達也「私たちはどこから来て、どこへ行くのか」・・・おもしろい

<<   作成日時 : 2016/02/27 07:28   >>

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「私たちはどこから来たのか。私たちは何ものか。私たちはどこへ行くのか」という、ポール・ゴーギャンの絵に掲げられた言葉を、映画監督・作家で、子どものころから問い続けている森達也氏がそれぞれの専門家を訪ね、インタビューする。 

おもしろい。勿論、この問いに対する答えなど得られるはずもないし、理解しにくい話が殆どなのだが、生命の起源の話あり、宇宙のインフレーションの話あり、利己的な遺伝子の話あり、進化論の話あり・・・と、盛りだくさんだ。 

かなり読むのに時間はかかったし、それでも理解を超える内容だが、科学者というもののバラエティにも興味を持つ。 少なからずの科学者が「人間原理」を言下に否定しないのは驚きだ。この世界や宇宙は、人類を誕生させるために設計されたのだとおもいたくなる原理だ。 宇宙が生まれてから、現生人類へと進化する確率は10の-1230乗(どういう計算か知らぬが)というから、信じられない奇跡なのだろう。

なかでも、団氏の次の言葉は妙に印象に残った。 「擬人化を排除したら生物はわからないというのが私のスタンスです。物理の言葉で生物は語れません。当たり前のことなのに「サイエンスとは再現性がなくてはいけない」とか「証明できなくてはいけない」という物理や化学の手法が、生物学に押し付けられている」 ・・・・ 最近、「科学的」という言葉があやしい。 証明されていないこと、実績のないことを、非科学的と呼ぶ習慣があるのを、私もおかしいとおもっていた。  フクシマで放射能の危惧を語ると、すぐ非科学的と言われる。 これも、証明されていないものは科学的い゛ないといわれる例だ。 


本論に必ずしも関係ない話題にも興味深い話題が満載だ。 象は個体識別ができるとか、鏡で自己が解るマークテストをクリアーしているとか、ヒトとチンパンジーの遺伝子の差は2%しかないが、差異である2%の遺伝子をすべてヒトの遺伝子に置き換えたとしても、その発現の順番やタイミングが異なる限り、チンパンジーはヒトにはならない・・・・・とかとか。

つい最近話題にもなった2割のアリの話もある。 「集団において二割くらいのアリは忙しい振りをしてしているだけでサボっていると述べています。進化論的に説明すれば、二割のアリが遊軍として労働力を温存しているからこそ、例えば外敵が襲ってきたときに戦える」



そのほか、エピソードとして、興味深い話が多い。

たとえば、 
 
・地球は46億年前、最古の単細胞生物は38億年前で、その間は8億年、化学進化で、DNA, たんぱく質、細胞膜など、最初の生命のサイクルができるには8億年は短すぎる

・進化でなければ、宇宙から種が飛んできた・・・・のか、パンスペルミア説

・実際には一つの遺伝子が一つの機能だけを担っているのではなく、その機能は他の遺伝子も代替できるし、複数の遺伝子が雲のように一定の機能を暫定的に担っている

・ヒトの歴史には、ラミダス・ルーシー・猿人 → 原人・ホモ・エレクトス → 旧人 ホモ・ネアンデルターレンシス → 新人 ホモ・サピエンス ・・・・ とか、いろいろ種類がある

・「獲得形質は遺伝しないとしても、獲得形質を実現するような遺伝的変化はあり得る。 生物は別のニッチ(ある生物が生態系の中で占める位置)へ少しずつ変わっていく、あるいは替えてゆく」

・インドネシアのフローレス島のフローレス原人は身長一メートル前後のホビット

・「競争原理を強調するダーウィニズムは資本主義を正当化するときは非常に都合のいい根拠になります」

・「社会改良家も社会進化論を標榜したし、人種差別主義者の理論的背景にも使われてナチの優性主義の根拠になります。 だから社会科学者はいまだに、ダーウィニズムに対して強い抵抗感を示している」

・レミングの集団自殺の映像は、ディズニーのフィクションで崖から落としている。 動物の映像は殆ど編集によるもの

・「ヒト以外の生き物で、種のために自分を犠牲にするという行為はありえない」

・人間の脳は体重の2%だが、カロリー消費は20%。 燃費の悪い器官。条件がよくないと脳は進化しない。協働繁殖社会だから脳が進化できた

・リン・マーギュリスは、進化は競争ではなく共生によって進行するとする細胞共生説を主張した

・「私たちのコドン(遺伝暗号の最小単位)も、いちばん最初の細胞から次々と細胞分裂を重ねながら、ここまで運ばれてきた」

・死がプログラムされた理由・・・「ある傷を持った親というのを、ある時間内で遺伝子ごと全部消去しなければならない。個体ごと消去すれば、古い遺伝子も全部消去されますから、悪い遺伝子がどんどん下に蓄積していく状況を回避できる。」
 
・「一年前と一年後の今、私たちは物理的には別の人」・・・だから、一年前の約束は守らなくていい

・”Why is there something rather than nothing” なぜ。なにもないではなく、あるのか

・我々は何ものか・・・「宇宙創世期に物質と反物質が殆ど消える中で残されたほんのわずかな物質の末裔である」

・ヒトはどこかから来るのではない。有機物として再構成されながら「そこに存在し続けている」・・・われわれはなにものか・・「世界の一部ですね。個というものはない」

・わたしたちの存在はエントロピーの増大という形で宇宙全体に貢献している









森達也「私たちはどこから来て、どこへ行くのか」( 2015.10.22)
第1章 なぜ人は死ぬのだろうか 福岡伸一
第2章 人はどこから来たか 諏訪元
第3章 進化とはどういうものか 長谷川寿一
第4章 生きているとはどういうことか 団まりな
第5章 死を決めているのは誰か 田沼靖一
第6章 宇宙に生命はいるか 長沼毅
第7章 宇宙はこれからどうなるか 村山斉
第8章 私とは誰なのか 藤井直敬
第9章 なぜ脳はこんな問いをするのか 池谷裕二
第10章 科学は何を信じるのか 竹内薫
第11章 私はどこから来て、どこへ行くのか 森達也


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