Dora_PaPa_san's_Pages

アクセスカウンタ

zoom RSS アン・ヴァン・ディーンデレン他「誰がネロとパトラッシュを殺すのか」

<<   作成日時 : 2016/03/15 16:56   >>

トラックバック 0 / コメント 0

イギリスの作家ウィーダが19世紀後半に書いた短編小説「フランダースの犬」は、フランダースではまったく知られていないし、113年後にようやくフランダース語で翻訳された小説も、フランダース人からまったく評価されなかった。 
フランダース地方およびアントワープ市は、若くエネルギッシュな革命者というルーベンスのイメージを大切にしたいし、最新のファッションの街として観光客を迎えたいのに、日本人観光客は、大聖堂にネロとパトラッシュのイメージを求めているのだ。「大聖堂で絵を照らす月の光が入ってくる窓を観たいと言う日本人観光客が多い」。 そんなことは構造上無理なのに。

日本人観光客や日本人社会の要望を受けて、2003年、アントワープ市は仕方なく大聖堂の前に記念の石を設置したが、目立たないもので殆ど維持されなかった。

原作のなかの名もない村は、位置的にホーボーケンとみなされ、一応ネロとパトラッシュの銅像が造られたが、小さなもので、わざわざ訪れた日本人は、田園風景とはまったく異なる街の景色と銅像のみすぼらしさにがっかりするらしい。 なによりもフランダース人がこの話を知らないか、好きでないことにも失望するらしい。筆者は、もうすこし日本人観光客のためにベルギーもなんとかできないかと提案はしている。

フランダース人にとっては、古臭くてみじめな話にすぎないのに、日本人にとっては、貧しくて誠実な少年の高貴な失敗と自己犠牲の感動的な話であって、子どもたちに人々への共感を教えたい親にとっても、よい話なのだ。1975年、TV番組として52回にわたって放送されたアニメは大ヒットとなり、97年の劇場版アニメ映画は傑作であって、アラブ諸国やフランダースでも上映された。

一方、日本よりずっと前にアメリカでは5本の映画が作られたが、すべてハッピーエンドの結末に変わっていたという。アメリカのネロはアメリカンドリームと体現しているし、自分自身への信頼と自国の価値観に対する信念をアメリカの観客が失われないようにするためだ。



アン・ヴァン・ディーンデレン他「誰がネロとパトラッシュを殺すのか」(岩波書店 2015.12.10)
第1章 悲劇を描いたウィーダの悲劇
第2章 ハッピーエンドに変えるアメリカ人
第3章 アニメに涙する日本人
第4章 ネロとパトラッシュはどこにいる? プロダクトとしての「フランダースの犬」
第5章 悲しい結末を愛する日本人 パッチワークとしての「フランダースの犬」

1

テーマ

関連テーマ 一覧


月別リンク

トラックバック(0件)

タイトル (本文) ブログ名/日時

トラックバック用URL help


自分のブログにトラックバック記事作成(会員用) help

タイトル
本 文

コメント(0件)

内 容 ニックネーム/日時

コメントする help

ニックネーム
本 文
アン・ヴァン・ディーンデレン他「誰がネロとパトラッシュを殺すのか」 Dora_PaPa_san's_Pages/BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる