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zoom RSS 上野千鶴子「生き延びるための思想 新版」

<<   作成日時 : 2016/03/12 14:11   >>

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上野千鶴子氏といえばフェミニズムの代表格であって、その類まれな言説で近寄りがたい雰囲気があるが、実はきちんと読んだことはない。 文庫本ではあるが、どちらかといえば学術の本、いわゆる「女性学」の本で、硬派の本だ。

フェミニズムは、リベラルフェミニズムとか、日本の国策フェミニズムである「男女共同参画」とか、一見して、男ができることは女もできるようにするという、男女同権の思想だと考えられている。  しかし、 女も兵士になって敵を殺す、軍隊・戦争への男女共同参画もフェニミズムなのか。  

上野氏は、この問いに、明確に、否と答える。 全米女性会議は女性兵士の戦闘参加禁止の解除を要求した。 しかし、フェミニズムとは男ができることは女もできるという闘いではない。最も愚かなことを男と共にすることではないし、支配者になることでもない、あくまでも「弱者が弱者のままで尊重される思想」だったはずだ。」

「フェミニズムはたんに国家が占有し国民に恣意的に与えてきた市民的諸権利の「分配平等」を要求する思想ではない。フェミニズムが「国民」や「市民」概念の男性的構築をあきらかにしてきたのは、その男性性の解体を通じて、国家による諸権利の占有そのものを疑問に付すためではなかったか



この本は、この結論をサポートするために、ああでもない、こうでもないと、世界の人権論やフェミニズム論を俎上に載せ叩いて、上野氏独自の結論に導いたようにみえる。 

確かに、国策フェミニズム「男女共同参画」には、「男性を範型とした市民権の内容を疑わない、という前提がある」
 
日本のテロリストも、「武装闘争の正当性そのものを、きっぱりと否定する。暴力はどのような「正しい目的」によっても正当化されない。なぜなら暴力そのものが「抑圧し、破壊するものだから」ち、語っている。  国家暴力であり、対抗暴力であれ、それに参画することは、フェミニズムのゴールじゃない。

だったら、弱者は、逃げて、生き延びよ、ということだ。

戦争は魅力的だ。 ファシズムの言葉は魅惑的だ。 しかし、生き延びる思想はかっこわるい。 



その他

・ 「パトリオティズムと意図的に混同されることでその自然性を強調されるナショナリズムとは、契約にすぎないものを運命だと隠蔽するためのノスタルジックなイデオロギーにすきない」

・ 「原爆は残虐兵器とは言えない」が日本政府の公式見解

・ 国家暴力と私的暴力、このふたつの暴力に関してはどうやら犯罪化は行われていない

・ 「フェミニズムがジェンダーの差異を相対化し、錯乱することを通じて差異の秩序そのものを解体しようとするのに対して、ナショナリズムはレイシズムと同じく、差異を絶対化し、差異を維持し再生産することに利益を見いだす」

・ 「「ネオ・リベ」とは「優勝劣敗」「自己決定・自己責任」の論理」・・・「しかも土俵とそのルールが、最初から「勝ち組」に有利に設定されている欺瞞的なゲームときています」

・ 「原発のような事故に直面して、そこから学ぶべき教訓とは、誰もが逃げ出したときに制御不可能になってしまうような、そのような巨大なリスクを、わたしたちは人間の手でつくり出すべきではないということです」






上野千鶴子「生き延びるための思想 新版」(岩波現代文庫 2012.10.16)
T 女性兵士という問題系
1. 市民権とジェンダー
2. 女性兵士の構築
3. 対抗暴力とジェンダー
4. 「プライバシー」の解体
U 戦争の犯罪化
1. 戦争は「魅力的」か
2. 沖縄戦の記憶
3. フェミニズムから見たヒロシマ
4. 戦後史という思想
V ナショナリズムを超える思想
1. フェミニズムとナショナリズム
2. ナショナリズムを超える思想
3. 「国民国家」論の功と罪
W 「祈り」に代わるもの
1. インタビュー 死ぬための思想/生き延びるための思想
2. 「祈り」にかえて
X 3.11の後に
1. 生き延びるための思想




 

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