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zoom RSS 矢部宏治「日本はなぜ、「基地」と「原発」を止められないのか」

<<   作成日時 : 2016/05/05 15:33   >>

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孫崎氏の「戦後史の正体」で有名になった「戦後再発見」シリーズ。 これは孫崎氏の著述ではなく、矢部氏のもの。 全体的に、衝撃的ではあるが、多くの公開された米国の資料にもとづく分析で、かなりの部分は、おそらく正しい歴史事実なのだろう。 ただ、憲法制定過程は、ちょっと単純化しすぎているのではないかと、根拠はないが、そう思う。


「日本は米国の「同盟国&属国」というよりも、より本質的には「同盟国&潜在的敵国」」 であったと考えると、いろいろなことがわかってくると筆者は語る。  なかなか複雑だ。

ドイツは、同じ「敵国」だが、周辺国に心からの謝罪や譲歩を続けながら、対米従属よりも、ヨーロッパの中で生きつづける方針で、努力を重ね、「独立」を獲得、「敵国条項」を無効にすることができた。 

一方、日本は、米国の言いなりになることで経済大国になったが、いまさらゼロから努力するつもりもなく、やり方もわからない。 だから「外務省が中心になって、米軍の駐留継続をみずから希望し、ありもしない「アジアでの冷戦構造」という虚構を無理やり維持しようとしている。 それが現在の「戦後日本(安保村)の正体」なのです」。 

このあたり、 内田樹氏がよく言う、「米国への従属を通して米国からの自立」論に近い者がある。 白井氏の永続敗戦論も同様だ。 

現在のようなボタンの掛け違いは、マッカーサーの駐留と昭和天皇によって作られた。 マッカーサーの作った日本国憲法の9条2項は、国連の理想主義が潰れる前、安保理事会のみが世界政府として国連軍をもち、各国は軍事力を持たない前提だった。 天皇の人間宣言も、日本国憲法も、英文原本をもとに、マッカーサーが押し付けたものというのが、筆者の主張である。  国連の理想主義をもとに、このような平和主義なら、天皇の戦争責任を強く主張する他国から昭和天皇を守り、占領政策を円滑に進めたいという理由だ。

一方、筆者の卓見は、天皇もなかなか大した力量である。  広島の原爆でもまだ降伏を決断しなかった昭和天皇はソ連の参戦で日本が共産主義化することを恐れ、降伏を決意、更に沖縄に米軍がが駐留することを依頼し、そのためのトリックまで天皇が考えだしたと。 ・・・・

真偽のほどは別にしても、日本人必読の書であることは間違いない。


矢部宏治「日本はなぜ、「基地」と「原発」を止められないのか」(集英社インターナショナル 2014.10.29)
はじめに
PART1 沖縄の謎・・・基地と憲法
PART2 福島の謎・・・日本はなぜ、原発を止められないのか
PART3 安保村の謎1・・・昭和天皇と日本国憲法
PART4 安保村の謎2・・・国連憲章と第二次大戦後の世界
PART5 最後の謎・・・自発的隷従とその歴史的起源
あとがき


その他に、アトランダムに、目を引いて主張を挙げておく。  


・「安保法体系」が、砂川裁判の最高裁判決によって、日本の国内法よりも上位に位置することが確定してしまった。 つまり裁判になったら、絶対にそちらが勝つ。 すると官僚は当然、勝つ方につくわけです。 官僚というのは法律が存在基盤ですから、下位の法体系(日本の国内法)より、上位の法律系(安保法体系)を優先して動くのは当然です。 裁判で負ける側には絶対に立たないというのが官僚ですから、それは責められない。」

・司法への違法な介入が繰り返された結果、国家の中枢にいる外務官僚や法務官僚たちが、オモテ側の法体系を尊重しなくなってしまったのです。

・砂川判決によって、「少なくとも「国家レベルの安全保障」については、最高裁が絶対に憲法判断をせず、その分野に法的コントロールが及ばないことは確定しています」・・・原子力基本法に「わが国の安全保障に資する」が付加されたので、もう法的コントロールの外になった

・統治行為論、裁量行為論、第三者行為論・・・どれも、内閣の裁量に任せるべきという、司法判断を避ける・・・「司法における人権保障の可能性を閉ざす障害とも、また行政権力の絶対化をまねく要因ともなりかねず」、「司法審査権の全面否定にもなりかねない」

・311のあと、環境基本法第十三条は丸ごと削除された。放射性物質にかかわることは原子力基本法で決めるとあつたため、決めろと言われると困るからだろう・・・これが削除されたため、ほかの汚染物質と同じく、政府が基準を定め、国が防止のために必要な措置を取る・・・ことになったが、何も決めていない

・戦後ずっと、「まずアメリカ側が基本方針を決める。それにあわせて日本側がアレンジする。アレンジして、実は自発的にやったんだ、だから対等なんだというフィクションをつくる」・・・アメリカはしばらくすると情報公開するが、日本では隠蔽したまま、虚構のままの合意をつづける

・United Nationsを「国際連合」と「連合国」と翻訳で分けているのは日本と韓国だけ。 国連の本質は戦勝国連合。 中国は特権的な五大国のひとつだが、日本は最低の敵国

・日本国内で有事、つまり戦争状態になったとアメリカが判断した瞬間、自衛隊は在日米軍の指揮下に入ることが密約で合意されている。 このために、日米合同委員会があり、官僚のエリートは、日米合同委員会から育ってゆく




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