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zoom RSS 白井聡「「戦後」の墓碑銘」・・・とにかくお勧めの本

<<   作成日時 : 2016/06/27 09:23   >>

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「週刊金曜日」の連載を中心に、2013年から2015年夏までの新聞・雑誌等の論評を集めたものである。そのため主張の重複もあり、それだけ白井氏の主張が理解しやすいともいえる。


持論である「永続敗戦論」が繰り返し展開されている。

太平洋戦争は始めから勝てないと分かっていた戦争であって、支配層は、ミッドウェー、ヤルタ宣言等収拾の時期を失し、国体護持に逡巡して、死ななくても良い200万の死者を増やし、二発の原爆まで投下させた。しかし、冷戦の環境で反共の砦にするため、米国は支配層を温存した。彼らは、敗戦を終戦と言い換え、いい加減な戦争運営の責任も曖昧にして生き残った。米国によって救われた彼らは、天皇の代わりにワシントンを掲げて新たな国体にした。

氏の言葉では、「国内およびアジアに対しては敗戦の事実を最大限に曖昧化する一方で、このような状態を可能にした米国に対する敗北を無制限に認める、つまり対米従属を際限なく認めざるを得ない」ということになる。

安倍晋三氏とその仲間たちは、ポツダム宣言も読まず、侵略戦争の定義もないとうそぶき、東京裁判も否定し、みっともない憲法と嫌い・・・つまり米国による占領統治を否定するので、米国と決裂必至のはずなのに、実際は、米国への従属を強めてゆく。それは彼らが戦後のレジームを理解していないことと、米国によって延命された人々の末裔だからだ。

内田樹氏の「のれん分け理論」に共通するが、彼らは、自衛隊の若者が血を流せば、対等の関係になり、自主独立につながると考えているが、地位協定一つ変えられないのに笑止な発想だと、白井氏は、それを親子のような甘えという。 



白井氏の安倍晋三氏とその仲間たちへの批判は激しい。

米国議会での安倍演説については、米国の占領政策全般に異を唱えながら、「その「勝者の裁き」の張本人の目の前で言えたのは、実質的には「私たちだけが悪うございました」ということでしかなかった。主人の赦しを乞い、愛を乞うその姿は、実に哀れで卑屈である」・・・「新ガイドラインから安倍演説に至る過程で、我々が受け取ったのは、「安倍首相が満足したこと」以外には何も見当たらない。つまり、「国益上の犠牲」と「安倍の私益」が、事実上等しいものとして交換されたのである」

アーミテージレポートへの忠実な実行である集団的自衛権行使容認など、「アメリカとの約束を守るためならば、日本国憲法などどうでもよい」のが彼らの態度だ。

フクシマについては、・・・ 「放射能によって人々の生活を破壊し国土を傷つけても、恬として恥じることなく、原子力利権の存続のために原発依存を続け、あまつさえすでに実質的に破綻している核燃料サイクル事業をやめることすらしない。あるいはTPPによって、産業の多様性や諸々の安全、国土の田園等々、有形無形の国富を多国籍資本に売り飛ばす。 これらの行為は、自己保身のために膨大な数に上る国民を死に追いやった連中の後継者たちによってなされていると見るならば、驚くべきどころか、当然」のことだと。

「事故の発生経緯、不誠実な情報提供、責任の不追及、なし崩しの政策回帰、これらすべては、この国があの敗戦から本質的には何も学んでいないという事実を突き付けている」・・・国は電力会社の事業と言い、電力会社は国策に協力しているだけと、互いに責任をなすりつけるエリートには便利な体制なのだ。

9条の改憲については、失敗しないためには、すでに戦争している状態をつくれば、現状追認となるだけだと。 つまり改憲よりも、早期に戦争に参加するはずだと警告している。



そして、われわれ大衆にも手厳しい。

これほど愚弄されていても大衆は殆ど怒らない。たまに怒りに立ちあがる人が出ても、「この国の大衆の最大の娯楽の一つは、こうした正当にも腹を立てる人、侮辱を許さない誇り高き自由人を、からかい嘲ることだ」・・・「なるほど、奴隷のなけなしの楽しみとは、主人に反抗して痛い目に遭うほかの奴隷を辱めることであるに違いない」

戦後の日本人は、原爆投下を (国体護持のための「天佑」だと) 感謝するような「自分たちを徹底的に愚弄する権力を喜んで支持してきた救い難い間抜けである」

そして、それでも選挙に行かない人々は、「お買い物感覚をそのまま政治に持ち込む愚昧な行為が消費者化である。消費者化した有権者にとっては、気に入った候補者・政党が一つもなければ、投票に行かないのは賢い選択ですらある」・・・その結果を自業自得だと笑っていられなくなった。



とにかく、お勧めの本である



白井聡「「戦後」の墓碑銘」(金曜日 2015.10.15)
第1章 「戦後」の墓碑銘
第2章 「永続敗戦レジーム」のなかの安倍政権
第3章 「戦後」に挑んだ者たち
第4章 生存の倫理としての抵抗

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