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zoom RSS 東山彰良「流」(りゅう)

<<   作成日時 : 2016/10/25 13:27   >>

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なかなかおもしろかった。

祖父に可愛がられた主人公葉秋生は、17歳のとき、殺された祖父の第一発見者となった。祖父の死の謎を気に掛けながら、生きてきた。替え玉受験がばれて高校を退学になり、ワルばかりの高校に転校、幼馴染のワルと一緒に喧嘩三昧の日々。偶々出会った幽霊の想いを叶えたら、祖父を殺した犯人の示唆を得たらしい。大学受験にも失敗し、陸軍学校も途中で帰って来てしまった。幼馴染の毛毛と恋人になるが、ワルを助けるためにヤクザと喧嘩して・・・・と、なかなか出来事に富んでいる。

その祖父は抗日戦を戦い、日本軍に味方した漢奸一家を惨殺した過去を持つ。その後、共産党軍に敗れ台湾に逃れたのだ。祖父の死は、その頃の事件に源があるに違いない。

40年代の歴史、70年代の台北の喧騒が目に浮かぶようなにぎやかさ、そして、80年代の日本など・・・舞台も懐かしい雰囲気がある。そして、なかなか気の利いたセリフも少なくない。 

そんなセリフをいくつか挙げておく

日本統治時代を懐かしむ公園の岳さんが言う 「苛立ちや焦燥感は、希望の裏の顔ですから」

陸軍軍官学校に入学してすぐに知る 「この学校でわたしたちが学ぶのは絶対服従の精神や、ともにいじめを耐えぬいた仲間たちに対する連帯感と帰属意識だ。 そして次の世代へと受け継がれるのは、怒りの鉾先をなんの恨みもない人たちへとすりかえる、その巧みな自己欺瞞である。 わたしたちは他人を模倣し、その欲望を取り入れることでしかわたしたち自身になりえないと説くジャック・ラカン。 彼は正しい。 そうやって戦争までもが模倣されることになるのだ」

緑一色ができあがっていたのにあがれず流れた 「明泉叔父さんの人生は一事が万事、こんな調子なのだ」

刑務所の宇文叔父さん 「おれたちの心はいつも過去のどこかにひっかかってる。 無理にそれを引き剥がそうとしても、ろくなことにはならん」

失恋の苦しみを日本語にぶつけた秋生 「わたしの日本語は、卑屈で不穏な表現のなかから産声をあげた。 「思い知ったか」「ざまあみろ」「いまさら遅い」「悪いけど、それはできない」」

最後 「あのころ、女の子のために駆けずりまわるのは、わたしたちの誇りだった」



 


東山彰良「流(りゅう)」(講談社 2015.5.12)
第一章  偉大なる総統と祖父の死
第二章  高校を退学になる
第三章  お狐様のこと
第四章  火の鳥に乗って幽霊と遭遇する
第五章  彼女なりのメッセージ
第六章  美しい歌
第七章  受験の失敗と初恋について
第八章  十九歳的厄災
第九章  ダンスはうまく踊れない
第十章  軍魂部隊での二年間
第十一章  激しい失意
第十二章 恋も二度目なら
第十三章 風にのっても入れるけれど、牛が引っぱっても出られない場所
第十四章 大陸の土の下から

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