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zoom RSS アンソニー・ドーア「すべての見えない光」 映画化すれば大ヒット間違いなし。

<<   作成日時 : 2017/01/17 08:11   >>

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520ページもの長い小説の450頁まで来たあたりでは、想像はつくとはいえ、ハラハラドキドキの展開で読み進めるのが怖いから少しずつ読んでいた。 少しずつ読むのに大変便利なのは、この小説の独特の構成だ。 1,2頁、長くても4,5頁で、場面が変わる。  まるでモザイク細工のような、パズルのような、細かな、緻密な切片が、すこしずつ進み、1944年8月に向かってゆく。

ドイツ人少年ヴェルナーは、炭坑の街で両親を亡くし、妹と二人で孤児のための「こどもの館」で暮らしていた。 ヴェルナーはふと手にしたラジオに夢中になり、天才的な電気通信の技術が開花したようだ。 付近の家のラジオ修理を引き受けると物理の本などをもらい独学で勉強する。  

短波ラジオで耳にしたフランス人による光の物語と音楽を、妹と毎日聴いて楽しんでいた。 たまたまナチスの将校のラジオを直したことから、ナチスの学校の推薦を受ける。 


フランス人少女、マリー=ロールは、幼くして失明し、自然博物館の錠前主任である父親は、パリの街の精巧な模型を作り、博物館と家の間を少女が歩いて通えるように覚えさせた。 誕生日のプレゼントは、高価な点字の「海底二万哩」などを与え、想像力豊かな情操を育んできた。  

自然博物館では「炎の海」と呼ばれた伝説的なブルーダイヤモンドがあった。 ナチスの侵攻に際して、博物館では個の宝石を守るため、錠前主任を含む四人が、本物と3個の偽の石を分担して、パリから持ちだした。 

本来宝石を渡すべき人が逃げてつかまらず、しかたなく錠前主任とマリー=ロールは、サン・マロの祖父の家にたどりついた。 そこには、心を病んだエティエンヌとマネッタ夫人が住んでいて、二人を快く迎えてくれた。 

錠前主任は、ここでも、サン・マロの街の模型を少女のために作って、宝石をそのなかに隠したのだ。


1944年5月、もう一週間もすれば、アメリカ軍がやってくるサン・マロの街で、レジスタンスの無線を追ってきたヴェルナー、ヴェルナーがこどもの館で妹と聞いていたフランス放送の発信元、それはエティエンヌの発信機だったが、 秘密の暗号がしこまれているパンを求めて、パン屋と家を往復するマリー=ロール、パリ自然博物館から宝石を探し求めてたどりついたフォン・ルンベル上級曹長・・・彼らが一同に邂逅するドラマティックな展開となっている ・・・。


絶対に映画にすべきだ。  大ヒット間違いなし。

「すべての見えない光」は、その含蓄はよくわからないが、ヴェルナーと妹ユッタが、よく聞いていたフランスの放送で、よく語られていた、光の話の中にある。  

「脳は頭蓋骨の内部で透明な液体のなかに浮いていて、光が当たることはない。それでも、脳が作り上げる世界は光に満ちている。」

「一億年前の日光が、今夜は君の家を暖めている」

「目を開けて、と男は最後に言う。 その目が永遠に閉じてしまう前に、できる限りのものを見ておくんだ」

「目に見える光のことを、我々は何と呼んでいるかな? 色と呼んでいるね。 だが、電磁波のスペクトルは、ゼロから無限まで広がっているから、数学的にいえば、光はすべて目に見えないのだよ」





アンソニー・ドーア「すべての見えない光」(新潮社 2016.8.25)





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