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zoom RSS マッケンジー・ファンク「地球を「売り物」にする人たち」

<<   作成日時 : 2017/02/08 15:21   >>

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若干読みづらいのは、場面がよく変わるのと、淡々と取材対象者を記述しつづけ、筆者の意見がほとんど語られないからかもしれない。 しかし、400ページ余にもわたって、それだけ,広汎な分野で取材を重ねたエピソードが豊富だということでもある。

筆者は、地球温暖化を原因とする融解(第一部)、旱魃(第二部)、洪水(第三部)などの異常気象を、それらをなくそうとする運動ではなく、ビジネスチャンスととらえる人々および企業の動きを追いかけ、現地で丁寧な取材を重ねている環境報道ジャーナリストである。


モルディヴ諸島、ツバル諸島、キリバス、マーシャル諸島、セーシェル諸島、バハマ諸島、カーテレツト諸島、バングラデシュ国土の五分の一、マニラ、アレクサンドリア、ラゴス、カラチ、コルカタ、ジャカルタ、ダカール、リオデジャネイロ、マイアミ、ホーチミン・・・の大半も水没するだろう。これらの土地を水浸しにするだけの水量が、世界最大の貯水槽であるグリーンランドの氷床に貯えられている。 

北極海の資源に群がる人々、国家(グリーンランドがデンマーク領と初めて知った)は、石油ばかりかレアメタルなど鉱物資源を、通行しやすく、採掘しやすくなった北極海の利権を探る。

山火事が頻発するアメリカには富裕層向けの住宅専門の民間消防会社があるという。保険会社と連動しているのだ。なんという格差社会。  「AIGのプライベート・クライント・グループは、最低でも100万ドルする住宅しか保証して守らない」

氷がなくなれば水もなくなる。水不足必至に向けて世界中の水利権を買い占めようとする人々、でも水は重すぎて運送に適さない。水に注目しているうちに実は農地が狙われていることに気づく筆者。南スーダン、ウクライナ、ルーマニア・・・

セネガルでサハラ砂漠を食い止める「緑の壁」を作るため植樹している主な団体は、なんと、日本の崇教真光、でも緑の壁ができると誰も信じていないらしい

10年から20年の間に、バングラデシュは、国土の5分の1を潮位の上昇で失い、2000〜3000万の人々は生き場を失う。それを見越して、インドはいま難民防止のための塀を作っているという。トランプばりの仕事だが、切実だ。土地、水、食料を求めて紛争が起きるのは必至だ。

壁といえば、オランダはいまでも海面下でGDPの7割を稼いでいる。オランダの防潮堤は売り物になるほど素晴らしく、彼らは、ニューヨークに売り込みをかけている。しかし、マンハッタンがその壁で助かれば近隣が浸水するだけだ、水が減るわけではない。

バイオテクノロジーは、穀物の増産ばかりでなく、流行するデング熱のために媒介する蚊を遺伝子操作技術で撲滅しようとする企業もある。ゲイツ財団は、莫大な資金を投入している・・・・。



気候変動はたいへんな危機を招こうとしているが、筆者は、声高に問題を主張することなく、淡々と、それによってビジネスを起こそうとする人々を語っている。   原題は"Windfall"  ・・ たなぼた を期待する人々を密かに揶揄しているのかもしれない。

しかし、ある意味、人間はたくましい。 結局、儲かるのは金持ち企業で、  その反対に、一人当たり日本の30分の1もCO2を排出していないバングラデシュやツバルなどが、致命的な被害を蒙る仕組みになっている。 

そのあたりを、筆者は最後の最後、エピローグで、こう語っている。

「気候変動は他の様々な災害とは異なり、人間によって引き起こされたもの」

「長年の温室効果ガス排出にもっとも大きな責めを負うべき人々はまた、この新たな現実の中でもっとも大きな成功を見込める人々であり、進む温暖化がもたらす命にかかわる脅威をもっとも感じそうにない人びとでもあるのだ」

「不公平な世界では、合理的な利己主義は私たちが望むようなものとなるとは限らない、ということだ」

「気候変動は科学や経済、あるいは環境の問題と位置づけられることが多く、人間の正義の問題と位置づけられることが少なすぎる」

つまり、本心では、筆者は、ガタガタ儲けることばかり言うんじゃねえ、正義の問題だろうが・・・と、言いたいのだ。





マッケンジー・ファンク「地球を「売り物」にする人たち」(ダイヤモンド社 2016.3.10)
プロローグ
第1章 コールドラッシュ
第2章 シェルが描く2つのシナリオ
第3章 独立国家「グリーンランド」の誕生は近い
第4章 雪解けのアルプスをイスラエルが救う
第5章 災害で利を得る保険ビジネスの実態
第6章 水はカネのあるほうへ流れる
第7章 農地強奪
第8章 「環境移民」という未来の課題
第9章 肥沃な土地に「逆流」する脅威
第10章 護岸壁、販売中
第11章 地球温暖化の遺伝学
第12章 テクノロジーですべて問題解決
エピローグ







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