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zoom RSS 早川英男「金融政策の「誤解」」

<<   作成日時 : 2017/02/10 08:04   >>

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経済学は苦手なので、この筆者の主張が正解なのかどうかはさっぱりわからないが、なかなか理論的、常識的で、説得力がある。 ただ、どうすればよいかという点は、あまり賛同したくないけれども・・・。 


簡単に結論的に言うと、デフレが日本経済不振の原因ではなかった。 日本の潜在成長率が低いから、実力の問題であり、人口減が主要な原因だ。 日本は生産年齢人口当たりで見れば、結構頑張っている。 QQEで2%の物価上昇は果たせなかったけれど1%程度上がった時点で成功として止めればよかった。 しかし、長期戦になってしまって、マイナス金利は自然な政策だが、QQEの補完というのではなく、方針転換というべきだ。 いずれにしても出口は早くデザインすべきで多大な国民負担は必至だ。 忘れられているが財政健全化は重要だ。 


ポイントをいくつか引用することで内容の傾向は伝わるだろう。 つまり、アベノミクスにも、日銀にも、そして日本の実力にも、たいへん悲観的である。 
 
「筆者のQQEに対する基本的な理解は「実験的政策であり、それが成功するとすれば短期決戦のケースに限られる」ということにある」

「物価が基調的にプラスに転じてもなかなか経済成長につながらないのは、潜在成長率が0.5%未満に下がっているためだが、その背後には労働人口の減少だけでなく、日本企業の競争力劣化、生産性鈍化がある」

「筆者の見るところ、QQEの実験が明らかにした最も本質的な認識は、「日本経済の長期低迷の原因はデフレではなかった」ということだと思う」

「加えて、物価目標達成=QQEの「出口」までに財政健全化の目処が立たなければ、2010〜12年の欧州債務危機の経験のように、国際の金利が5%を大きく超えて上昇するリスクがある。そうなれば、政府財務残高/名目GDP比率でギリシャをも上回る日本にとっては、本格的な財政・金融危機の引き金となりうる」

「そもそもこのような巨額の国民負担につながるような政策を選択することが所詮専門家の集団にすぎない中央銀行に許されるのか」

「消費者物価がマイナスに転じたのは、金融危機後の98年からだった。デフレの結果長期低迷に陥ったというより、長期低迷と金融危機がデフレを招いた面は否定できない」

「しかし、前述のとおりアベノミクスの下でも大した成長は実現していない・ それではなぜ完全雇用が実現したのかといえば、基本的には高齢化に伴う労働供給減少の結果である」

「せっかくの原油安の好影響を円安が部分的に打ち消してしまったことは否定できない。このように円安、原油安双方の恩恵を企業部門がブラックホールのように吸収して、設備投資や賃金への波及が極めて限定的であったということは、トリクル・ダウン戦略の破綻以外の何者でもあるまい」

「過去15年間の物価下落は年率僅か0.3%だった。 果たして、その程度のデフレが本当に「失われた20年」と呼ばれる日本の長期低迷の主な原因だったのかは、自然に湧いてくる疑問だろう」

リフレ派は「みずからの政策効果への信念を持たないから、効果が出ないのだ」といって批判するが、まるで「旧帝国陸軍の主観主義・決断主義をほうふつさせるものだ」

「筆者がリフレ派の議論で不思議に思えてならないことの一つに、彼らが日本経済の成長余力を過大に評価し続けていることがある」

「つまり、低成長は人口減少の結果であって、今やデフレ・ギャップはほとんどないと考えているのだ」

安倍政権下の平均成長率はわずかプラス0.7%にとどまっている。 しかし、政府の「骨太の方針」において、実質2%,名目3%の成長が続くことを「目標」というより「前提」とした。・・・「一体どう考えたら近い将来実質2%成長の軌道に乗るといった空想的なストーリーを「前提」にできるのか」

「消費の伸び悩みは、基本的には賃金上昇が円安に伴う物価上昇に追いつかず、13年5月から15年4月まで丸2年間実質賃金が前年比で低下を続けた結果とみるべきだろう」

「潜在成長率は、安倍政権成立当初の0.8%から16年春時点で0.4%まで低下している」にもかかわらず、内閣府の経済再生ケースは、20年には潜在成長率が2.3%まで高まることが想定されている。「本当にこんな想定が実現するとでも思っているのだろうか」

「海外で問題になっているのが需要不足である一方、日本の問題は潜在成長率の低さという実力不足」だから財政出動などを求めるのは、問題のはき違え。

「安倍政権下で急増した公共事業は抑制する必要があるが、(略) それには限界がある (逆に、2020年の東京オリンピックに向けて巨額のインフラ建設を進める余裕など到底ないと思う)」




早川英男「金融政策の「誤解」」(慶應義塾大学出版会 2016.7.25)
序章 QQEの実験から見えてきたもの
第1章 非伝統的金融政策:私論
1. 「普遍化」する非伝統的金融政策
2. QQEの実験的性格
3. 非伝統的金融政策の倫理的側面
第2章 QQEの成果と誤算
1. QQEがもたらした成果
2. QQE(アベノミクス)の誤算
3. QQEが明らかにした課題 潜在成長率の低下
4. ハロウィン緩和の「誤射」
第3章 「リフレ派」の錯誤
1. 「リフレ派」的思考法:主観主義・楽観主義・決断主義
2. 期待一本槍の政策論:主観主義の錯誤
3. さまざまな「期待」:市場と企業・消費者の温度差
4. 成長余力の過大評価:楽観主義の錯誤
5. 「出口」なき大胆な金融緩和:決断主義の錯誤
第4章 デフレ・マインドとの闘い
1.「デフレ・マインド」とは何か
2.「日本的雇用」とデフレ・マインド
3.物価の「アンカー」
4.マネタリーベースの誤解
5.QQEの行き詰まり
6.短期決戦から持久戦へ マイナス金利の導入
7.マイナス金利政策の功罪
第5章 「出口」をどう探るか
1.「出口」の必須条件:財政の維持可能性への市場の信認
2.「成長頼み」の財政再建計画
3.経済成長優先の幻想
4.財政健全化の柱は社会保障改革
5.QQEは市場を殺す政策
6.市場とのコミュニケーション再建を


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