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zoom RSS 町山智浩「最も危険なアメリカ映画」 町山氏の博識に脱帽

<<   作成日時 : 2017/03/08 16:31   >>

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かなり古い、しかもマイナーなので、知らない作品が多い。作品の紹介よりもその周辺、ハリウッドの関係者をとりまく町山氏の知識に脱帽である。

「国民の創生」(D・W・グリフィス1915)・・・KKKを賛美して蘇らせた差別まるだしだが、映画としては素晴らしいので「史上最悪の名画」といわれる。  「クエンティン・タランティーノは自作「ジャンゴ 繋がれざる者」のインタビューで、アメリカ映画が今までほとんど奴隷制度を描いてこなかった事実について「奴隷制度はアメリカの汚点だからだ。どの国にも触れたくない歴史の恥部はある」と答えた」

「滅び行く民族」(ジョージ・B・サイツ1925)・・・先住民ナバホ賊を描いた映画の中では最高のもの。「砂漠の白いバラ」の勧めもあって戦争に従軍するが帰ってきたら失ったものばかり。また騙されたと・・・

「空軍力による勝利」(ジェームズ・アルガー1943)・・・航空機を使った新しい戦略で勝利をという、ディズニーの提案も、当時の陸海軍からは相手にされず、ウォルト・ディズニーは自費で製作してPRに努めた。

「光あれ」(ジョン・ヒューストン1946)・・・陸軍の要請で作った戦争参加兵士のインタビュードキュメントだが、あまりにも精神的ダメージを受けた兵士の話が多く、お蔵入りになってしまった

「クーンスキン」(ラルフ・バクシ1975)・・・「クーン」は黒人の蔑称で、「南部の唄」をニューヨークに置き換えて挑戦したが差別的と抗議される
「南部の唄」(ウィルフレツド・ジャクソン1946)・・・スプラッシュ・マウンテンは「南部の唄」をテーマにしたアトラクション。リーマスおじさんが賢い兎の物語などの民話を語るという原作の映画化で、南部の実態とはかけ離れたユートピアを描いて批判された。

「バンブーズルド」(スパイク・リー2000)・・・アメリカショービジネスの汚点とされるミンストレル・ショーとブラックフェイスに真正面から切り込んだ。
「ディキシー」(エドワード・サザーランド1943)・・・南部の奴隷農場のような背景で、顔を黒く塗った(ブラックフェイス)は人たちが、黒人たちの音楽を演奏しながら黒人を愚弄するショー。「ジップ・クーン」(オラホマ・ミキサー)は黒人蔑視の唄。

「4リトル・ガールズ」(スパイク・リー1997)・・・1963年、黒人教会爆破事件によって亡くなった4人の少女。そこから始まったキング牧師らのセルマ大行進と犯人、ダイナマイト・ボブ。

「ゼア・ウィル・ビー・ブラッド」(ポール・トーマス・アンダーソン2007)・・・シンクレアの「石油」にインスパイアされた映画。貧乏人が自ら石油を掘り当ててからあくどいやり方で石油王になってゆく
「エルマー・ガントリー魅せられた男」(リチャード・ブルックス1960)・・・ひょんなきっかけから福音派のラジオ伝道師になってゆく流れ者で口のうまいヤクザ、エルマーガントリー。ビリー・サンデーがモデル。 


「何がサミーを走らせるのか?」(デルバート・マン1959)・・・貧しい少年サミーのサクセス・ストーリー。MGMのサミー・ゴールドパークが映画化の邪魔をしつづけた 


「群衆」(フランク・キャプラ1941)・・・新聞編集者のアンが捏造したキャラクター、ジョン・ドーに名乗りを上げたハンサムな労働者の人気を利用して大統領になろうとする男

「摩天楼」(キング・ヴィダー1949)・・・アイン・ランドはティーパーティーにつながる新自由主義・反共主義者で、トランボを追放したハリウッドの赤狩りにも参加した。そのアイン・レッドが製作した超個人主義の建築家の成功を描いた。

「群衆のなかの一つの顔」(エリア・カザン1957)・・・ホームレスの「普通の男」ローズがメディアの力で大衆の圧倒的支持を得て上り詰めてゆき富豪になっても貧乏人の味方と欺き続ける。ウィル・ロジャーズがモデル 

「影なき狙撃者」(ジョン・フランケンハイマー 1962)・・・原作”Manchurian Candidate”戦争捕虜中の催眠術で埋め込まれた指示を、中ソのスパイである義母からのトリガーで上院議員や大統領暗殺に向かう英雄

「オール・ザ・キングスメン」(ロバート・ロッセン 1949)・・・実在のヒューイ・ロングをモデルに、カリスマ性のある貧しい男が州知事になり、徐々に独裁者になって大統領をめざす 

「侵入者」(ロジャー・コーマン1962)・・・どこからともなく町に訪れた男が煽動して黒人を襲撃させ教会に爆弾を投げ込んだりする 


「バック・トゥ・ザ・フューチャー」(ロバート・ゼメキス1985)・・・ロバート・ゼメキスはひどく政治的だ。黒人のロックを白人が教えたことにし、ヒルヴアレーは黒人の街になっていたのを最後は白人の美しい町に取り戻した。PART2で富士通に勤めて社長に媚びるマーティや日本製品にあふれたけれども、50年代の美しい米国を取り戻そうとしたレーガンと同じだ。

「フォレスト・ガンプ」(ロバート・ゼメキス1994)・・・ベトナム戦争に行ったガンプは無垢な善人として描かれ、ベトナム戦争に反対したジェニーはまるで天罰のようにエイズ?にかかって死ぬ。ジェニーの世界、ヒッピー、反戦運動、ロック、黒人公民権運動などは、徹底して悪く描かれる。そして、あのアラバマの60年代なのに、キング氏もセルマも出てこない。さらに、流れるテーマソングはレイナード・スキナードのニクソンとウォーレス知事を支持する歌。ベトナムの僚友バッバは「マジカル・ニグロ」つまり、白人が善人に見えるように劇の中だけでつくられたキャラ。・・・・ガンプのようになればいいというのは、キリスト教福音派の根幹である反知性主義を奨励するものだ。 



町山智浩「最も危険なアメリカ映画」(集英社インターナショナル 2016.10.31)

第1章 KKKを蘇らせた「史上最悪の名画」「国民の創生」
第2章 先住民の視点を描いた知られざるサイレント大作「滅び行く民族」
第3章 ディズニー・アニメが東京大空襲を招いた?「空軍力による勝利」
第4章 封印されたジョン・ヒューストンのPTSD映画「光あれ」
第5章 スプラッシュ・マウンテンの「原作」は、禁じられたディズニー映画「クーンスキン」「南部の唄」
第6章 ブラックフェイスはなぜタブーなのか 「バンブーズルド」「ディキシー」
第7章 黒人教会爆破事件から始まった大行進「4リトル・ガールズ」
第8章 石油ビジネスとラジオ伝道師 「ゼア・ウィル・ビー・ブラッド」「エルマー・ガントリー魅せられた男」
第9章 金はやるから、これを絶対に映画化しないでくれ 「何がサミーを走らせるのか?」
第10章 ポピュリズムの作り方 「群衆」
第11章 リバタリアンたちは今日も「アイン・ランド」を読む 「摩天楼」
第12章 「普通の男」から生まれるファシズム 「群衆のなかの一つの顔」
第13章 マツカ―シズムのパラノイア 「影なき狙撃者」
第14章 アメリカの王になろうとした男ヒューイ・ロング 「オール・ザ・キングスメン」
第15章 インディの帝王が命懸けで撮った「最も危険な映画」 「侵入者」
第16章 なぜ60年代をアメリカの歴史から抹殺したのか 「バック・トゥ・ザ・フューチャー」「フォレスト・ガンプ」

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