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zoom RSS 斎藤貴男「戦争のできる国へ 安倍政権の正体」

<<   作成日時 : 2017/05/02 09:47   >>

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ちょっと話が回りくどく長いけれど、たいへん豊富な情報量(資料、インタビュー)とユニークな視点におどろく。 間違いなくお勧め本。 

繰り返し語られる、以下のような言説を読むだけで、この本のポイントはわかる。

吉田茂の言説に、こんなものがあるという。 「日本は二流の帝国主義であるということを自覚せよ」・そして、「アメリカやイギリスの帝国主義の許容する範囲で帝国主義としてふるまうべきだ」。  安倍晋三氏は、祖父の岸信介を敬うが、行動は吉田茂の立場に近い。 安倍政権が目指す国家ビジョンとは、米国に従属する「衛星プチ(ポチ?)帝国」に他ならない。 しかし、「ステージの高い、盟主にとっては理想的な、言わば超一流の属国を目指している」。 

「積極的平和主義」などという美辞麗句で飾ってみても、所詮は超一流の属国への道でしかない現実を熟知しているから、大日本帝国時代の”輝かしい栄光”に縋っては、酔い痴れたがる。 一方、「骨の髄まで染みついた屈辱が、だからといって反発を許されない分だけ、日本よりも遅れていると思い込んでいる相手」、中国、韓国に対する蔑視となって顕われる。 これらの、かつて「植民地支配した相手国に対してはやたら居丈高に振る舞いたがり、いわゆるネット右翼の若者たちとどこがどう違うのかよくわからない」

靖国などバランスを欠き、「必要のない怒りを買って、それを埋め合わせるためにまた媚びる。 米国への媚態の最たるものが、集団的自衛権を認める解釈改憲を優先させたシナリオだ」

しかし、別の一面もある。 帝国主義的な動きをしたい人々は、原発や鉄道などのインフラ輸出に精を出すため、他国と同様、「必然的に海外での武力行使の問題と絡み合ってくるのである」 

軍事に前のめりになる政権は、同時に国民の監視統制に血道を上げる。

「現場レベルでは、すでに専守防衛の範など有名無実化していると言っていい。 2003.11月には既に北朝鮮と中国を想定した周辺事態法が発動された設定で演習している。 B52戦略爆撃機の爆撃援護訓練も行って」いて、「自衛隊は米軍と合同で戦略爆撃を視野に入れた戦争の準備まで進めていることになる」。 

米軍と自衛隊一体化の証拠の一つは、横田、横須賀、厚木に、自衛隊の司令部も同居していることだ。 「米国の戦争にはいつでもどこでも参加する、そうしなければおかしいような体制がいつの間にか築き上げられている」

ひとつは機密の管理や監視だ。

2007.5に日米安全保障協議委員会で要求された、秘密保護法を2013.12.6に成立させている。 「「秘密」に触れる機会の多そうな官庁や企業では、職員の家族や親族にも身辺調査の手が伸びていく」 そのうち「そうした職場は、有力者に近くない人間には、近づくこともままならなくなっていくのではないか」 ・・・ そして、密告を奨励する共謀罪。 「己の一挙手一投足が絶えず政府や巨大資本に監視・統制され、何かあれば密告される可能性を想定しながらでなければ他人と交際できない日常がやって来るまでに,さほどの時間は遺されていない」

ひとつは、グローバルビジネスに比べて相対的に軽くなった国民の生存権

生活保護利用率は、ドイツ 9.7% (2009) フランス 5.7% (2010.9) 英国 9.3% (2010.3) 比べ、日本は、1.6% (2012) と低いのに関わらず、さらに「適正化」に邁進する。  生活保護の基本である「生活扶助費」の支給額引き下げが2013年8月から始まった。16年度までに平均6.5%、最大10%という、前例のない大幅削減が予定されている」・・・兵庫県小野市にいたっては、「ギャンブルや贅沢な酒食に興じる生活保護受給者を発見したら直ちに通報せよ、とのお達しである。 密告の奨励と言っていい」

「国は国民を個人としては尊重しなくてよい。 生存権も軽視する。 貧困は自己責任か家族・親族の連帯責任、公的扶助は理念ごと溶解へ、ということは社会の側の責任は問われないのが当たり前。 19世紀の資本主義が復活するようなもの」

そして、「世界で一番企業が活躍しやすい国」へ、「目的のための犠牲(コラテラル・ダメージ)」などいかほどのものか、とでも言いたげな気負いばかりが伝わってきた」 ・・・・ 結果として、「人口の一定程度を貧困層が占めれば、どんなことが起こるか。たとえば志願して軍隊に入ろうとする人が増えます」 

ひとつは、愛国心をあおる教育だ。 

「安倍政権は学校現場に”愛国”を持ち込み、また政治の介入を強める方針を次々に打ち出してきている」・・・「近現代史における歴史的事実や領土問題について政府の統一的見解の重視」、「改正教育基本法の尊重を求める事実上の国定教科書化」、「教育委員会の権限の主張への移行」、「道徳の教科化」等々

「教育の目的に「人格の完成」と「国家及び社会の形成者としての国民の育成」の両面を挙げており、愛国心の涵養が強調された改正教育基本法といえども、この基本を逸脱しようとはしなかった。 だが自民党の改憲草案(第三条3項)は、敢えて後者のみを取り出し、前者を退けた。安倍政権にとって教育とはあくまで統治機構に貢献できる人材を養成するためだけのものであり、個人の人格のごときは二の次、三の次の意味しか持ち得ないということではないのか」




斎藤貴男「戦争のできる国へ 安倍政権の正体」(朝日新書2014.3.30)
第一章 戦争のできる国を目指してT
第二章 戦争のできる国を目指してU
第三章 主権在権
第四章 生存権<グローバル資本+国家の利益
第五章 高揚するネトウヨ・ナショナリズム
第六章 臣民の”生き方マニュアルを否定せよ”



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