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zoom RSS 早川タダノリ「「日本スゴイ」のディストピア 戦時下自画自賛の系譜」

<<   作成日時 : 2017/06/19 19:16   >>

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安倍政権が「美しい国」を言い始めたころから、”クール・ジャパン”は、「日本にこんなスゴイものがある」だったアプローチが、「こんなスゴイものがある日本はスゴイ」という語り口に変化し始めた。 黄文雄氏、竹田恒泰氏、藤岡信勝氏らが代表的な「日本人スゴイ論」のベストセラーを作りだしている。 

早川氏に言わせれば、1933年ごろの自画自賛の系譜の焼き直しであって、愚行が繰り返されているにすぎない。たわごとである。 しかし、たわごとが政策になってゆくのは安倍政権でも同じであって、たとえば「「日本の美」総合プロジェクト懇談会」座長の津川雅彦氏は、奥深き日本人の美意識、価値観を表すために「天孫降臨」のアニメをつくると表明した。 結局神がかり、天皇を中心とした神の国なのだ。

たとえば、「「こんな日本人がいた!すばらしい日本がわかる86のエピソード」とあけすけにその目的を語る「教科書が教えない歴史」シリーズは、<昔の教科書で教えていた歴史>というタイトルこそがふさわしいといえるだろう」。

日本スゴイ論は、「別に自分がスゴイわけでも何でもないのに、なぜか自分が褒められているかのように感覚してしまう「日本スゴイ」現象」(大きな勘違い)で、「その快感のなかで、みすぼらしい自分の現実の姿を忘れ、<日本人としての誇り>とか<皇国民としての使命>といった大義を担う存在へと動員されていく」、そんな役割がある。 誇りを持たせるようでいて、結局のところ、国家に奉仕、奉公させるためのものになっていく。 

いくつか、例を挙げておこう。

現防衛大臣がよく教育勅語は道義大国としての日本を謳っていると語るが、「13歳から20歳までの少年・少女を「日本国民産業軍隊」として組織化するという恐るべき計画である 彼らを「道義大亜細亜建設の義勇軍」として迎え「八紘一宇の真精神のもとに奉公」させるスゴイ計画」を建てた論客もいる。

現在でも万世一系の同じ論理が使われている。

「世界に、国はたくさんありますが、神様の御ちすぢをおうけになった天皇陛下様が、おをさめになり、かぎりなくさかえて行く国は、日本のほかにはありません。 いま日本は、遠い昔、神様が国をおはじめになった時に大きなみ心にしたがって、世界の人びとをただしくみちびかうとしてゐます」

日本スゴイ論だけにとどまらない。神国日本らしく礼法を国民に徹底させようと謀る御気も多い。 「自由主義・個人主義の撲滅を、というテーマで出発した交通道徳実践隊の取り組み」もあり、その内容といえば、順番を守らない、待合室で大の字に寝る、唾、痰を吐く、タバコや紙くずを所構わず捨てる・・・など、「日本人はお互いになんとか、もう少し立派にならないでせうか」という、「苦渋に満ちた情けない言葉が引かれている。立派とはとうていいえない「日本人」が翌年には世界を相手に戦争を仕掛けてアジアの盟主を自称するのだから、そのもとに支配された人々にとってはまつたくもって悲惨極まりないことだった」と早川氏は笑っている。

40年代以降になると、戦況厳しく、もう臣民はタダ働きしろという本が多い。

「有給休暇は、日本精神にふさわしい勤労観を体得させるためのものであり、そのために休日を国家的祝祭日に充てるばかりでなく、その休日でさえも「神社参拝」の奨励などを企業の労務管理担当がプログラムする。なんというディストピア」


早川タダノリ「「日本スゴイ」のディストピア 戦時下自画自賛の系譜」(青弓社 2016.6.30)
第1章 「日本主義」大ブーム到来
第2章 「よい日本人」のディストピア
第3章 礼儀正しい日本人 国民礼法の時代
第4章 よく働く日本人 勤労哲学の教化と錬成
第5章 神がかり日本に敗戦はない



「日の出」編集部「世界に輝く日本の偉さはここだ」(1933)
井乃香樹「日本主義宣言」(1934)
中山忠直「日本人の偉さの研究」(1933) ・・・「日本人の底力・粘り強さは米食からくる」
「「納豆を食べているから日本人は粘り強い」系の食べ物の状態から民族性を特徴づける不可解な理論

新居格「支那在留日本人小学生綴方現地報告」(1939)・・・日本人に生まれてよかった
永井煕「週刊単位尋六の学級経営」(1939)・・・学校教師を「ミニ天皇」化する「日本的学級経営」
野瀬寛顕「新日本の学校訓練」(1937)・・・学校は児童を日本的に鍛える道場である
土方恵治「行の訓育」(1939) ・・・ 「根本指導原理は八紘一宇の肚に常在するものでなければならぬ」

草場弘「皇民錬成の哲理」(1940)・・・小学生の裸乾布摩擦に目を細める文部省視学官
下村寿一「聖戦完遂と女子教育」(1944)・・・聖戦を担う皇国女子を育成せよ
鈴木源輔「戦時国民教育の実践」(1942)・・・日本が世界の中心でなければならない
和歌山県女子師範学校付属小学校「皇道日本教育の建現」(1935) ・・・宇宙的スケールをもった「皇国教育」

竹下直之「師魂と士魂」(1943)・・・護国の英霊をつくるための「師魂」・・・神様の御ちすぢをおうけになった天皇陛下

葉山英二「日本人はどれだけ鍛えへられるか」(1943) ・・・日本の少国民は、世界でいちばん知能がよいのですよ」
関西急行「参宮の栞」(1942)・・・修学旅行で「神国日本」を実感
柳澤利喜雄「決戦体力の目標」(1944) ・・・勝つために今日も体力向上の実践をしよう

藤井本三郎「昭和国民作法書」(1928) ・・用便は便所にすべきで、庭や路傍にすべきではない
大日本聯合婦人会「女性非常時読本」・・・四大節とは「四方拝」「紀元節」「天長節」「明治節」

東京府中等学校保導協会「保導パンフレット」・・・よい子の諸君 カツアゲと痴漢には気をつけよう
大日本少年団連盟「少年団研究」(1940) ・・・自由主義を撲滅し、交通道徳を守りましょう 
東京高等師範付属国民学校「国民科終身教育の実践 国民学校礼法教授要綱案」(1941)・・弁当箱は左の手に

牧野靖史「国民学童 礼法の実践 国民礼法詳解」(1942) ・・・朝礼は心をこめて
川島次郎「学校礼法 儀式編」(1942)・・・御真影はどのように並べるのが正しいか
東京高等師範付属国民学校「研究紀要」(1943) ・・学校掃除は錬成組織から

甫守謹吾「国民礼法 産報版」(1942)・・・服従は美徳である  日本が自動的に「隣組長」になって「彼等の世話をし、彼等を指導」するという任務を帯びている

原了「決戦下の青少年」(1943) ・・・兵士は戦場に死し、工員は職場に斃る
難波田春夫「日本的勤労観」(1942)
1940年11月8日閣議決定「勤労新体制確立要綱」
小島徳弥「働く女性の力」(1942)・・・報酬を求めるのは日本固有の精神ではありません
上野x一「み国のために働く小産業戦士の道しるべ」(1943)・・・金銭のために働くのは、金銭の奴隷にすぎないいやしい根性

笠原正江「働く婦人の生活設計」(1942)・・・「お国のため」は「自分のため」 「あざやか!と思わず感嘆してしまうほどの屁理屈だ。
全国産業団体連合会「勤労管理研究」(1942)・・・神国日本の有給休暇

三平将晴「共栄圏発展案内書」(1944)・・・海外に羽ばたく大東亜就活

桑原玉市「大東亜皇化の理念」(1942) ・・・大東亜皇道楽園の出現
大串兎代夫「大東亜戦争の意義」
塩沢元次「日本必勝論」(1943) ・・・神の国には敗戦はない





「日本スゴイ」のディストピア: 戦時下自画自賛の系譜
青弓社
早川 タダノリ

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