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zoom RSS 辺見庸「完全版1★9★3★7(上下)」

<<   作成日時 : 2017/06/19 19:49   >>

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今年は盧溝橋事件、南京事件から80年になる。

以前品川に仕事があったとき、品川図書館に通って週刊金曜日の連載を読んだ。数ヶ月前最近では珍しく、自分で文庫版を購入した。それから少しずつ再読してきた。買わずにはいられない本である。読まずにはいられない本である。南京事件はなかったと思いたい人も読むべきである。ただ、辺見庸の言葉は、読むのに簡単ではない。切り取って引用することもむずかしい。どっぷり浸ってもらうしかない。

「いったい、天皇ヒロヒトや安倍晋三氏をふくむニッポンとニッポンジンは、これまでみずからを「戦争加害者」として認識したことがあっただろうか。 そのことの罪と恥について身も世もなく慟哭して、被害者たちに心底わびたことがいちどでもあったであろうか」

もちろん辺見庸はその場にいたわけではない。歴史学者でもない。だから、なんだ、みな伝聞かフィクションじゃないかと反論したとしても不思議ではない。しかし、私は、そう反論する人はあまりにも想像力の欠けた人だと思わざるを得ない。ついこの間まで南京虐殺は誰もが事実と認めていた。もちろん死者の人数は異論がある。しかし日本の公式見解だって少なくとも数万人以上は虐殺されたと認めていた事件だった。しかし、いま、それがすこしずつなかったことにされつつある。

辺見庸氏が語る中国における日本人兵士の所業は、まさにナラズモノだ。 虐殺、掠奪、強姦、それも尋常ではないやりかたで繰り返しながら進軍した。 なぜ、そんな所業ができたのか。 そしてなぜそれを忘れることができるのか。 辺見庸氏は、深く深く、天皇制ファシズムと日本人そのものについて掘り下げてゆく。

「「真善美」の極致たる「神国」ニッポンは、本質的に悪をなしあたわざる(と妄信する)がゆえに、明治維新以来の琉球処分、朝鮮併合などナラズモノ的過去をふりかえり反省することもなく、それゆえ、もちまえの「ナラズモノ性」を1937年にさっそく南京で再現した」と丸山真男の言説をベースに、天皇制ファシズム自体が持つ危うさを指摘する。
「「皇軍」とそれを生んだ天皇制ファシズムの底しれない美学。危うい静謐と癇症、どこまでも残忍で胆汁質の情動」、そう、そこに底知れない病性があるのだ。

辺見庸氏の指摘の範囲は広い。つまみ食いに過ぎないが、いくつか挙げてみよう・・・

「学徒出陣のさいにもちいられた行進曲と自衛隊・防衛大学校の観閲式の行進曲が同じ(「抜刀隊」作詞外山正一)というのは、不思議どころかまことに異常ではないか。戦争の反省もなにもあったものではない」

「そりゃ進め そりゃ進め 一度に攻めて 攻めやぶり つぶしてしまえ 鬼が島」という「桃太郎」は、まるで南京大虐殺を先取りしたようだ。 「「暴支膺懲」には、手前勝手な「鬼が島征伐」のひびきがある」ばかりでなく、「非ニッポンジンへの「いわれのない暴力」と差別とを」誘いだしている。

下品な愛国風の傷痍軍人の歌を「朝鮮人傷痍軍人にまでうたわせた無神経はどうだ。 駅前の傷痍軍人をニセモノ→朝鮮人ときめつけた敗戦後ニッポンの手のつけられない差別と身勝手はどうだ」

「ニッポンは、侵略し、殺し、姦し、奪い、破壊しつくした国のひとびとに、とおりいっぺんの詫びをいれたのみで、原爆を投下した国にはひたすらどこまでも卑屈にすりよっていった」

「元慰安婦たちに、死にたきゃ死ねよ、というような輩に勲章と終身年金をあたえる。 ニッポンとはそんなクニである」

日本軍が敗戦で中国の捕虜となったとき、捕虜たちは「大演芸会」など寛大にゆるされていた。「逆のことを「皇軍」が中国人捕虜にやらせたなんてはなしは聞いたことがない。揩スけた大人としつけのなっていない悪ガキ―少なくともそのくらいのひらきがある」





辺見庸「完全版1★9★3★7(上下)」(角川文庫2016.11.25)
序章 いま記憶の「墓をあばく」ことについて
第一章 よみがえる亡霊
第二章 屍体のスペクタル
第三章 非道徳的道徳国家の所業
第四章 かき消えた「なぜ?」
第五章 静謐と癇症
第六章 毛沢東と三島由紀夫と父とわたし
(以下下巻)
第七章 ファシストと「脂瞼(しけん)」
第八章 過去のなかの未来
第九章 コノオドロクベキジタイハナニヲ?
終章 未来に過去がやってくる


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