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zoom RSS 映画「否定と肯定」

<<   作成日時 : 2017/12/23 08:40   >>

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緊張が持続する映画だ。 女性でユダヤ人の歴史学者で大学で教鞭をとるデボラ・E・リップシュタットは、自身の著作中で、ホローコストの歴史を否定する論者、デイヴィッド・アーヴィングを批判したために、1996年、英国で名誉棄損の訴訟を起こされた。 この映画は、その訴訟の経緯を描いた法廷実録ドラマだ。 

この映画には、いくつかのテーマがある。 

ひとつは、ホロコーストが歴史的事実かどうか、という、とんでもなく哀しい争いを、しかもユダヤ人学者がしなくてはならなくなったという事実である。 歴史的事実を証明するなら、アウシュビッツの被害者を証言させればよいではないかと誰もが考える。 しかし、プロに徹した英国の弁護士はそうは考えなかった。 

二つ目は、歴史を否定するものはおしなべて差別主義者であり、嘘つきで、何かあればすぐ逃げるという事実である。 日本でも沖縄の人は基地で飯食おうと基地の周りにやってきたとか語った某作家をみればわかる。 デイヴィッド・アーヴィングが、いかに嘘つきで、歴史に対して素人かを証明してゆく。

三つめは、イギリスの裁判は、推定無実がなく、被告が原告の主張の誤りを、自分の正しいことを証明しなければいけない、という、これまたとんでもない制度だということであり、それに通暁したプロの弁護士でないと勝てないということだ。 アメリカのような、エモーショナルなプレゼンで陪審員の心を打てば勝てるなどという生易しいものではない。 そこには徹底した論理と事実の積み重ねによる渾身の努力と説得力が必要なのだ。

そして最後に、もし、間違った歴史観やまちがった歴史的事実を、そうと知らずに100%信じて行動していたら、その人間は虚偽をしたといえるのだろうかと、そういう疑問も投げかける。


さて、なんと8週間も続いた裁判の行方は? 五分五分と言われた結末は?

それは映画を見てもらうことにして ・・・・



歴史修正主義について、考えてみよう。

ホロコーストの否定は、ヒトラーはそんな命令を出していない、ユダヤ人の死者600万人は嘘。  ユダヤ人が死んだ原因はチフス ・・・  などという説だ。 

歴史修正主義の方法は、どうも、まず、数字の否定から始まるような気がする。 600万人なんて推定だから、当然、100%正確であるはずがない。 しかし、そこをまずつくのだ。  南京虐殺が30万人なんてありえない。 関東大震災の時の朝鮮人虐殺6000人なんてありえない・・・も同様だ。 30万人が4万人であっても、6000人が1000人であっても、虐殺の事実が消えるわけでも、罪が減るわけでもない。

しかし、否定論者、修正主義者は、そこから一挙に、そんな事実はなかったにもってゆくのだ。 30万人は中国の捏造だ、から、南京事件は中国の捏造だに、一挙に変わるのだ。 

ユダヤ人が死んだのは毒ガスじゃなくてチフスだ。 日本軍が殺したのは一般人ではなくて、戦闘をしていた便衣兵だ。 朝鮮人が死んだのは、実際に暴動をしたからだ ・・・ そういう論を証明しそうな、話を意識的に集め、創り上げてゆくのだ。 論理矛盾がしょうじれば、そこでまた嘘を作る・・

ヒトラーも指示していたように、日本軍の司令官や参謀も捕虜の処理を指示していた、そういう事実は、頬かむりする。 もともと、嘘つきなのだ。





映画に戻ろう。

レイチェル・ワイズは、ユダヤ人の運命を受け止め、自分の良心だけを信じて一人で生きてきた強い女性を良く好演している。  トム・ウィルキンソンは、いい加減なジョンソン大統領にもなれるし、このランプトン弁護士のような信念の人も演じられる。 さすがだ。 

邦題の「否定と肯定」は、ひどく不可思議な題名だが、自信を持ってお勧めできる映画。




映画「否定と肯定」(ミック・ジャクソン監督 DENIAL 2016)



オフィシャル・サイト
http://hitei-koutei.com/




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