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zoom RSS 瀬戸内寂聴「源氏物語 新装版 巻十」

<<   作成日時 : 2018/07/12 10:46   >>

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「浮舟」から最後までは、読み進めるのがやや胸苦しい。 匂宮の大胆で不条理な、情熱に任せた勝手な行動にドキドキする。 いくらなんでも、もっと自制するべきでしょ。 どうせ、すべてを捨てて浮舟のところにゆくわけでもないんでしょ。

また薫の君のクールさにもじれったくなる。浮舟は匂宮の情熱に心が動かされている。しかし同時に、今あるのは薫の君のおかげと、打算というほどでもない常識的判断はある。 いうなれば、二人のタイプの異なる愛情に心が引き裂かれて、それから逃れるのは、出家か死かしかない、出家は許されないから、死を願うしかないのだ ・・・・。

しかし、なんとなく疑問がある。 源氏物語では一貫して、男たちが言い寄り、女がそれに応えないと、どうして非難されるのだろう。男が文句言うのはまだしも、周囲の女房、尼までもが非難して、返事くらいすべきだとか、遭うべきだとかいうのが、なんとも不条理だ。 

宇治十帖の、そして源氏物語の最後として、この終わり方は一体何なんだろう。もうすこし、まともな終わり方があるだろうに。映画だったら、非難を浴びそう。薫の大将も浮舟も、紫式部はひどく突き放したような冷たさだ。  
光源氏や紫の上に対する温かなまなざしとは、かなり異質なものだ。宇治十帖の作者は別人だという説はないのだろうか。あるいは、紫式部が本当に遠慮なしに書きたかったのは、こちらで、男の身勝手さ、冷たさ、男女の関係の虚しさなどを、残酷なまでに語りたかったのかもしれない。


さて、念願の「源氏物語」を読み終えた。 確かに、これが1000年も前に書かれたとは思えないくらい、傑作で、豊穣で、ある意味現代的な小説でもある。それだけ人の心は変わらないということか。生きているうちにまた読み返すことはないだろうが、もし機会があれば谷崎源氏に再挑戦してみたい。





瀬戸内寂聴「源氏物語 新装版 巻十」(講談社 2002.6.7)
浮舟
蜻蛉
手習
夢浮橋


浮舟
薫の君がなにかと宇治に行くのを知り、さてはかの君を隠しているかとにらんだ匂宮は、調べて確信を持った。そして薫の君が京にいる間、宇治に行き、薫の君になりすまして浮舟の寝所に潜り込む。浮舟も匂宮の情熱に心が傾く。暮らしには薫の君が頼りだが、匂宮の情熱は忘れられないという、ひどく打算的な結果になってゆきながら、そういう自分が恥ずかしく情けなく、物笑いになる恐れに打ちひしがれてゆく。
匂宮が浮舟から来た手紙を読んでいるのを遠くから見かけた薫の君は、宇治から来た使者の話と合わせて、匂宮と浮舟の関係を感づいてしまう。捨ててしまうのもかわいそうで、とりあえず宇治の警備を厳しくし、浮舟の手紙に返事も書かない。薫の君が感づいたに違いないと知った右近などは、匂宮のもとに心を決めればいいと無責任に勧める。浮舟は、もうただただ哀しく恥ずかしく死んでしまおう、宇治川に入水しようと心に決める


蜻蛉
浮舟の姿が消え、女房達や母親が書置きなどを調べて、きっと宇治川に身を投げてしまったのだろうと、あってはならないことを早く隠すために、あわただしくも粗末な葬式を挙げてしまう。田舎だからとか、正妻でないとか、自殺は忌まわしいからとか、盛大な葬式を避ける意味があったのだろうが、なんともおかしな話だ。次の章あたりで、浮舟が死に損なって生きているとわかるのではないか。知らされなかった匂宮も薫の君も浮舟の葬儀を知るところになり、驚愕の想いと悲しみに打ちひしがれている。
匂宮も薫の君も、それぞれ、喪失の哀しみに打ちひしがれていながらも、匂宮は式部卿の宮を父親とする宮の姫君に、薫の君は、明石の中宮の女一の宮に、惹かれ始めている。ふたりとも、なんともどうしようもない病気だ。

手習
予想通り、浮舟は、死に損なって倒れているところを、尼君に助けられる。体力が戻るにつれ、記憶も戻ってゆく。尼君の婿であった中将は、尼君の娘、つまり妻の死をまだ乗り越えられない。ふと浮舟の姿を認めて言い寄り始める。
いよいよ絶望する浮舟は、尼君の留守の時、たまたま訪れた横川の僧都に頼んで、髪を落とし出家してしまう。その後ある機会に僧都は中宮に会い、宇治のこの不思議な物の怪と女人の話をする。中宮は確かな話ではないと慎重ながらも、一年忌をおこない悲しみも癒えない薫の大将に、小宰相を介してその女人のことを伝える。場所も時も符合するので薫の大将は浮舟の可能性を考えるが、死にたいほどに自分から去った浮舟はそっとしておくべきかもしれないと思いつつ、いつか僧都を訪ねようと思い立つ。


夢浮橋
薫の大将から話を聞いた僧都は、浮舟を出家させたのは間違いだったかと後悔する。薫の大将が浮舟の罪障のもとになってもいけないと、薫の大将を案内することに躊躇する。薫の大将はいきなり行くのも軽々しいと思い、浮舟の弟を使者とする。僧都の手紙や弟の小君の訪問で、やはりそんな事情が隠されていたかと、尼君は浮舟に小君と会い、返事を書けと促すが、浮舟は、このような姿になり、恥ずかしさと情けなさで、何から何まで忘れてしまったのだと偽りを語って会おうとしない・・・





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