夜明けの洗足池にいる不思議な人々と犬と猫

 夏の五時半はすっかり陽はあがっているのに、冬では真っ暗だ。 冬の池畔は、犬と猫とおじさん、おばさんの不思議な世界がひろがる。 

 「猫おばさん」 図書館横にある勝海舟屋敷跡の看板のあたりで待っている猫に、毎朝エサをあげている。 こちらをシマとしているのは、白っぽいぶちの猫だ。 神社階段下の草むらにいる茶髪の猫も、その時だけ出張している。
 「知床旅情のおじさん」 リコーダーのような音楽を流しながら散歩している。 海外の民謡が多いようだが、かならず知床旅情が流れている。 知床に青春の思い出があるのかしら。
 「若いほおかむりランナー」 方仮スタイルで、めちゃくちゃ速いし、力いっぱい走っているので、息せき切って呼吸が荒い。 走ったまま、ずっと家まで帰っている、かなり遠いようだ。 
 「ひたすら歩き続けるロマンスグレー」 昔は、かなりもてたのではと思わせる、ハンサムで品の良い、歩く姿勢もすっきりした素敵なおじさん。 口ひげがなんとも金持ちそう。 ただ、歩く量は半端じゃない。 
 「珍しい若い娘のスピードランナー」 洗足池を歩いているのは殆ど爺さん婆さんなのだが、めずらしく若い、完璧なランニングスタイルの娘が私の二倍のスピードで走っている。 しかも神社裏の急坂を上り下りしているので、膝を壊さないか、他人事ながら心配である
 「中年の不思議なおじさん」 ウエイトを持ってひたすら歩き続ける。 若いのに毎朝ということは、失業中か、遊んで暮らせる身分か、なにかのリハビリか、出勤時間が遅いだけか・・・・よくわからないが、一周だけ、歩を速めてジョギングになっている。

 ところで、洗足池の朝には、いろんな種類の犬がいるが、散歩中、犬同士が出会ったとき、お互いに犬族だとわかっているのだろうか。 足の折れそうな小さな細い犬も、大きくて優雅なゴールデン・レトリバーも、同じ犬と思っているのだろうか。 人間でさえ、皮膚の色が違うだけで、人間扱いしないのに、「あんな犬は犬の風上におけない」とか「仲間にいれない」とか言ってはいないか・・・・








洗足池で逢いましょう
楽天ブックス
柏艪舎文芸シリ-ズ 著者:松倉すみ歩出版社:柏艪舎/星雲社サイズ:単行本ページ数:282p発行年月:

楽天市場 by ウェブリブログ商品ポータルで情報を見る

この記事へのコメント

この記事へのトラックバック