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zoom RSS 玄田有史編「人手不足なのになぜ賃金が上がらないのか」

<<   作成日時 : 2017/08/23 08:20   >>

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玄田氏は労働問題に通暁している社会学者、玄田氏の依頼で、「人手不足なのになぜ賃金が上がらないのか」というイシューに対する16本の論文を掲載している。学問的な内容なので、データの紹介・解釈、推論・・・と、限定的な前提の内容ばかりだから、玄田氏の「結び」だけ読めば時間の節約にはなる。いちおう各論文にも目を通したが、当然、賃金が上がらない理由は単純な一つの理由だけではなかろう。


統計のトリックもしくは、統計でみれば人手不足ではないという議論すらある。賃金は上がっているが、平均すると下がるのは、高齢者、女性の比率が上がった、つまり構成バイアスのため、という議論もある。 賃金は上がっているのだが、社会保険料の負担の伸びが大きく、手取り収入がその結果減少しているだけだという議論もある。 根本的な原因は、非正規労働市場における弾力的な労働供給曲線にあったという議論もある、人手不足であっても、外部でも内部でも労働者のスキルが上がらず、マッチしないから上げられないという議論もある。中小企業などは、もう限界なので、人手不足でもこれ以上上げられないんだという議論もある。 一度上げると不景気な時下げにくいから、分かっていても上げないんだという議論もある。 また、就職氷河期の世代が中堅になって来て、全体の足を引っ張っているからだ、という議論もある。


議論の中で強く印象に残ったことがある。 非正規の賃金が正規の60%にも満たないのは、日本に特有な現象だと。 おとなり韓国でも、欧米でも、1割か2割減ていどなのに、日本は、同じ人間でも正規から非正規に変わると大きく減収になるのは、労働者のカテゴリ、身分のようなものだと。


更に、共産主義が崩壊して、資本主義でも「豊かな労働者」が実現できることを証明しなくてよくなった、というのも、意外に、経営者や社会の底流の意識として、大きいのかもしれない。 



玄田有史「人手不足なのになぜ賃金が上がらないのか」(慶應義塾大学出版会 2017.4.20)
序 問いの背景
第1章 人手不足なのに賃金が上がらない三つの理由
第2章 賃上げについての経営側の考えとその背景
第3章 規制を緩和しても賃金は上がらない バス運転手の事例から
第4章 今も続いている就職氷河期の影響
第5章 給与の下方硬直性がもたらす上方硬直性 山本勲・黒田祥子
第6章 人材育成力の低下による「分厚い中間層」の崩壊 梅崎修
第7章 人手不足と賃金停滞の併存は経済理論で説明できる 川口大司・原ひろみ
第8章 サーチ=マッチング・モデルと行動経済学から考える賃金停滞 佐々木勝
第9章 家計調査等から探る賃金低迷の理由 企業負担の増大 大島敬士・佐藤朋彦
第10章 国際競争がサービス業の賃金を抑えたのか 塩路悦朗
第11章 賃金が上がらないのは複合的な要因による 太田聰一
第12章 マクロ経済からみる労働需給と賃金の関係 中井雅之
第13章 賃金表の変化から考える賃金が上がりにくい理由 西村純
第14章 非正規増加と賃金下方硬直の影響についての理論的考察 加藤涼
第15章 社会学から考える非正規雇用の低賃金とその変容 有田伸
第16章 賃金は本当に上がっていないのか 疑似パネルによる検証 上野有子・神林龍
結び 総括―人手不足期に賃金が上がらなかった理由 玄田有史



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