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zoom RSS 伊藤詩織「BlackBox ブラックボックス」 何とか応援したいものだ

<<   作成日時 : 2018/02/10 16:41   >>

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なんとも読み進めるのが辛くなる本で、ちょっと読んでは休み休みしている。 いくつもの強い印象がある。

まず、筆者の伊藤詩織氏は、信じがたいほどの勇気を振り絞って、事に当たってきたということだ。 それは、「あったものをなかったことにはできない」と、歪められた行政を正したいと声を挙げた元役人と同様の考え方のように思える。

この本によって、またつらい過去を反芻することになっても、「あったことの真実をあきらかにしたい」と、歪められた司法と、この国の性犯罪を取り巻く司法のシステムを変えて、同じことを繰り返したくないと考えたのか、真の動機なのだろう。

また、警察・検察というところは、加害者は誰かによって、捜査や逮捕など、態度や対応を変えるということがはっきりした。 加害者が有名人・マスコミ・権力に近いものは当然過度に慎重になるか、初めからやる気がない。 しかし、被害者にはちゃんとゆやっていると嘘をつき続ける。

次に、性犯罪に対する日本の警察・社会のお粗末な認識・対応は、従軍慰安婦への認識・対応と通底している、ということだ。 商品としての性、人権とかけ離れたところにある性、男社会で男の視線で扱われることだ

そして、日本社会は、昔から、「必殺仕事人」にでてくるような悪徳の「越後屋」の世界が、変わらなくつづいているんだ、ということだ。 権力にぶら下がっているものは、何があっても助けられる。 決して、仕事人は現れない。

空港で逮捕する直前、それを止めた中村格刑事部長に、筆者は取材を試みているが実現しない。 「なぜ元警視庁刑事部長の立場で、当時の自分の判断について説明ができず、質問から逃げるばかりなのだろうか」と、素直に疑問を呈している。

しかし、ほんとは、みんな、わかっているのだ。 あの元TBSジャーナリストは、実際に準強姦の犯罪を犯し、官邸の警察官僚に泣きついた。 そして、指示か忖度か、介入して逮捕を止め、所轄から本庁に事件を回し、ロクな捜査もせず握りつぶした。 だから捜査報告書も出てこない。 そして検察審査会でも結論をリードした。 そういう筋書きだったことは、みんな知っているのだ。 みんな知っていて、子の日本の男社会では、女の遠吠えなんか、何とでもなると、馬鹿にしているのだ。 大手メディアを抑えてさえいれば、いくら、国会で森ゆうこ議員が騒いだって、握りつぶせるのだ。 そんなことはみんな知ってい、わかっている、それが日本なのだと。

いみじくも、同刑事部長がこんな発言をしている。 これか、伝統的日本社会の男の本音だ。

「「女も就職の世話をしてほしいという思惑があったから飲みに行ったのであって所詮男女の揉め事。 彼女は二軒目も同行しているんだしさ」 これが元警視庁刑事部長の発言なのか、と耳を疑う」

確かに、私だって耳を疑う。 私だって、今だったら、パワハラやセクハラと受け取られかねないような、飲みの誘いだって、したことはある。 しかし、飲みに行ったって、そんな犯罪的行為にむかうわけはない。 しかし、NHKの「あさイチ」でこんな調査をしていたという。 「性行為の同意があったと思われても仕方がないと思うもの」として、二人きりで食事(11%)、二人きりで飲酒(27%)、二人きりで車に乗る(25%)、露出の多い服装(23%)、泥酔している(35%) ・・・だって。 こんな社会、異常じゃないか。 男と一緒に飲みに行ったら同意したと勘違いされても仕方ないって、一割の人が思う社会だ。 泥酔したら35%の人がそう思うって。 泥酔していて、どうやって合意するんだ。

伊藤氏の指摘する通り、日本は、異常だ。


伊藤詩織氏は、子どもの頃からなんと行動的な人なのだろうと感心する。 ジャーナリストの夢をかなえるために、一人でカンザスの田舎にホームステイしたり、ドイツの大学に行き、シリアにも行こうと計画したり、それも親の金ではなく、自分が働いたお金と工夫で。 はっきり言って、権力者のご威光で甘い汁を吸いたがる怪しい自称ジャーナリストとは対極にいる人だ。 そして、現在も、主として外国のジャーナリズムの仕事に勤しんでいる。

応援したいものだ。



後、追記として、いくつか、気になったものをアトランダムに挙げておく。

・ 強姦事件の場合、主な争点となるのは、大きくいって、@行為があったか A合意があったか の二点だが、今回は@は先方も認めている。 問題はAの合意だが、筆者はこう書いている。 「密室の中で起こったことは第三者にはわからない、と繰り返し指摘された。 検事はこれを「ブラックボックス」と呼んでいた。 しかし、意識の無い状態で部屋に引きずりこまれた人が、その後、どう「合意」するのだろうか? こんなことを克明に証明しなければならないなら、それは法律のほうがおかしいと思う」。 ビデオで意識ないと認めたら合意がないと考えるのに合理性があるだろう。

・ 「被害者が13歳以上であれば、「暴行・脅迫」の証明が必要だ。 それが難しい「準強姦」事件では、さらに高く「合意の壁」がそびえている状況に変わりはない」

・ 「レイプはどの国でも、どんな組織でも起こり得る。組織は権力を持つ犯罪者を守り、「事実」は歪められる」


・ そして、会見後、知人のジャーナリストからも連絡があったという。 
 「政府サイドが各メディアに対し、あれは筋の悪いネタだから触れない方が良いなどと、報道自粛を勧めている。各社がもともと及び腰なのかは想像がつくが、これでは会見を報道する社があるかどうか・・・」
 「なぜ政府サイドがここまで本件に介入する必要があるのか、不可解」

・ 「会見を経て、強く感じたことがある。 それは、人はなぜ物事のメリット、デメリットばかりに注目するのか? ということだ。 私の会見に対する批判的な声を見ると、そこには「個人的なメリットがなければ、こんな行動をするはずがない」というものの見方が、はっきりと感じられる。 だから、売名、ハニートラップ、政治的意図などについての憶測が出て来るのだろう」 ・・・ この考え方は、まったく、私も賛成である。  要するに、世の中の人は、得をすることしかしないはずという、抜きがたい信仰がある。 金まみれの信仰と言ってもよい。 







伊藤詩織「BlackBox ブラックボックス」(文藝春秋 2017.10.20)
第1章 あの日まで
第2章 あの日、私は一度殺された
第3章 混乱と衝撃
第4章 攻防
第5章 不起訴
第6章 「準強姦罪」
第7章 挑戦
第8章 伝える






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