Dora_PaPa_san's_Pages

アクセスカウンタ

zoom RSS ナオミ・クライン「NOでは足りない トランプ・ショックに対処する方法」これは国民必読本

<<   作成日時 : 2018/11/19 12:09   >>

トラックバック 0 / コメント 0

これは素晴らしい本だった。 「素晴らしい」内容は、これでもかと続くトランプ批判の舌鋒の鋭さであり、同時に、「No」というだけでは勝てないと、「リープ・マニフェスト」なる「みんなの綱領」をつくり、真正面から来るべき世界を主張しているところだ。 筆者が支持したのはバーニー・サンダースであり、ヒラリーのようなウォール街にどっぷり浸ったアイデンティティ政治では、トランプに勝てなかったのだ。

 

トランプとその周辺に対する激しい批判には、小気味良さも感じるが、毎ページ読むごとに怒りがこみあげてきて、なかなかページが進まない。この本のために、かなり読書量が減った。

その一例を列挙してみよう。

・いまワシントンで起こっていることは、「剥き出しの企業による政府乗っ取り」・・・公益を任務とする政治家という仲介者を経ずに直接自分でやっている

・「トランプは極端な人物ではあっても、異常と言うより、ひとつの論理的帰結−過去半世紀間に見られたあらゆる最悪の動向の寄せ集め―にすぎないということだ。 トランプは、人間の生を人種、宗教、ジェンダー、セクシャリティ、外見、身体能力といったものを基準にして序列化する強力な思考システムの産物に他ならない」

・「彼は金と権力さえあれば、自分の意思を他人に押し付ける権限―(中略)―を得られるという信念の権化であり、また、法律も規制基準も無視することによって財をなす「破壊的革新者」を崇め奉るビジネスカルチャーの落とし子である」

・「トランプと企業幹部出身の閣僚たちは政府を、自分たちのビジネスや、自分と同じ高額納税者全体の利益にかなうよう、驚異的な速度で作り変えている」

・「トランプは選挙戦を通じてアメリカの製造業の職が失われていることを訴え、ホワイトハウスへの道を勝ち取った。 しかし彼はこれまで、まさにそうした職を事あるごとにアウトソースしてきた」

・トランプもイヴァンカも、会社は別の人に委ねた。しかし、利益は今まで通り得ている。「これは縁故主義などという生易しいものではない。アメリカ政府が営利目的のファミリービジネスになっているのである」

・プロレスは、「人が苦しむのを見ても安心して笑っていられる」フェイクだ。 トランプは、フェイクビジネスモデル、フェイク・リアリティ番組、フェイク・プロレス、フェイク・ニュース・・・など、あらゆるフェイクを繋ぎ合わせて登場してきた

・「どんな厳然たる事実もトランプの世界では問題ではない」、「何よりめまいを覚えるのは、「もう一つの事実」Alternative factと称して、次から次へと連続的に嘘を繰りだしてくることである」

・「地球温暖化は中国によるでっちあげだと言ってはばからない人物が、いまや世界最大の権力を手にし、自国が導入した化石燃料の使用制限を廃棄しようと躍起になって、他国政府にも同調を促している」

・「気候変動を否定するのは、気候変動対策によって脅威にさらされる莫大な富を守ろうとするからだけではない。 彼らはそれよりもっと大切なもの ― 新自由主義というイデオロギー・プロシェクト − を守ろうとしているのだ。 すなわち、市場は常に正しく、規制は常に間違いで、民間は善であり公共は悪、公共サービスを支える税金は最悪だとする考え方である」

・「ショック・ドクトリンの論理は、トランプの世界観と完全に重なり合う。トランプは、人生を他者を支配するための闘いだと見なし、誰が勝者かに偏執的なまでにこだわる」

・「トランプは、2008年の金融危機を受けて導入された最も実質的な金融規制法制であるドッド=フランク法を解体する構想を公表している」

・「最も品性卑しい人間が最も高い地位に引き上げられたことで、最大限に採取/搾取し、際限なくつかみ取っては捨てるこの文化は、ある限界点に達した」


このように、いくつかピックアップしただけで、うんざりするような、トランプとその政権の特徴が滲み出て来る。 もっともこのように抽出すると、根拠に基づかない、たんなる悪口・罵倒のように聞こえるかもしれないが、ナオミ・クライン氏は、殆どのことに、きちんと事実でもって根拠を示している。 ここに付記しないだけだ。 だから、ただ悪口に同調しているのでなく、怒りとなって噴出するのだ。 

トランプ政権の他の人びとについては、どうか。

・バノンは、2017年11月、保守派聴衆を前にして、トランプ政権がめざすものは、「行政国家を解体すること」と語っている。 閣僚を見れば解体の意味が分かる。 国務長官・・エクソンモービル、国防総省・・ゼネラル・ダイナミクスとボーイング、残りの多く・・ゴルドマンサックス、規制や社会福祉などを削減し、「国家の解体と、政府の仕事を最大限、営利事業体である企業にアウトソース」することになるのだろう

・「トランプが任命した面々のなかには、地球上の最も脆弱な人々、あるいは地球そのものに―多くの場合、危機のさなかに―故意に害を及ぼすことで富を築いてきた人たちが驚くほど多く含まれている」

・「トランプ政権は一体となって、石油、天然ガス、石炭関連の企業にさまざまな面で便宜を図っている」。 メタンガス排出量の報告義務付けという、オバマ政権末期に制定された規制を撤廃したこともそのひとつ

・マリーヌ・ルペンは、「グローバリゼーションとは、「失業者に売る商品を奴隷が製造すること」」という

・「進行中の戦争から直接利益を上げている集団を選び出し、ほかならぬその集団のメンバーを政権の中枢に配置している」例として、L1・アイデンティティ・ソリューションズ、チャートフ・グループ、パランティア・テクノロジーズ・・・らを挙げている

・ペンスは、ハリケーン対策という名目で、メキシコ湾岸の環境規制を撤廃し、アメリカ国内における新規石油精製施設の建設や、「北極圏野生生物保護区での石油掘削」にゴーサインを求め、ブッシュは採用した。

・カトリーナでの「思惑はただ一つ。かれらがイラクとアフガニスタンで提供していたような民営化サービスの市場が、アメリカ国内にも存在すると証明すること、そして総額34億ドルの随意契約を獲得すること」・・・彼らとは、ベクテル、フルーア、ハリバートン、ブラックウォーター、CH2Mヒル、パーソンズら、イラクにいた民間請負企業

・「レックス・ティラーソンが1989年に旧エクソンの中央生産部門本部長に就任した時は、残された時間はすこししかないという不都合な真実は社内で長く認識されていた。 彼は気候変動の問題を認識していながら、それに反する経営を続けていたのだ



つまり、トランプ政権は、政治家の集団ではなく、大企業、それも、化石燃料やウォール街企業、軍事や惨事便乗企業そのものだ。 それらが、新自由主義の巧みな口舌で規制撤廃を続けてきた帰結でもあるのだ。 それに抗するには、新自由主義にどっぷりつかったヒラリーではなく、真正面ら世界を変えるサンダースのような戦いでなければならない。

サンダースの過激すぎるとして拒否されている考えは、地球上の資本主義各国で何百万もの人々に支持されると証明した。 国民皆保険、銀行分割、学生ローン返済免除、公立大学授業料無償化、再生可能エネルギー100%達成 ・・・ 民主党幹部も、伝統的リベラルも、「現実」「という言葉で、サンダースを否定したが、むしろ、サンダースの方が現実に即していたかもしれない、と私は思う。 



「私たちの社会は今、私が何年も前にニューオーリーンズとバグダットで垣間見たような将来に向かって、猛スビートで突き進んでいる。 グリーンゾーンとレッドゾーン、そして協力しない者はだれでも押し込められる暗黒の場所とに峻別された世界である。行き着き先はブラックウォーター式の経済であり、そこでは民間業者が、壁の建設や市民の監視、民間セキュリティや民営化された検問所からせっせと利益を上げるのだ」。 つまり、・・・・

SFディストピア映画の世界だ。 私たちの多くは、明日は今日よりきっといい世界だと、何の疑いもなく信じ切っているが、それが大きな間違いだと、ディストピア映画の世界は、本当に実現する世界なのだと、肝に銘じておかないと、いけないだろう。


 


ナオミ・クライン「NOでは足りない トランプ・ショックに対処する方法」(岩波書店2018.7.27)
序章
第一部 なぜこうなったのか スーパーブランドの台頭
第1章 なぜトランプは究極のブランドになることで勝利したのか
第2章 ファースト・ブランドファミリー
第3章 マール・ア・ラーゴ版「ハンガー・ゲーム」
第二部 今どうなっているのか 不平等と気候変動
第4章 気候時計は真夜中を打つ
第5章 グラバー・イン・チーフ
第6章 政治は空白を嫌う
第7章 経済ポピュリズムを愛せよ
第三部 これから何が起きる恐れがあるか ショックがやってくるとき
第8章 惨事の親玉たち 民主主義をすりぬける抜け道
第9章 危険な政策リスト 危機に備えて予期しておくべきこと
第四部 今より良くなる可能性を探る
第10章 ショック・ドクトリンが逆襲さるとき
第11章 「ノー」では十分でなかったとき
第12章 スタンディングロックから学んだこと
第13章 跳躍のとき
終章 「ケア」する人々が多数派になるときは近い




テーマ

関連テーマ 一覧


月別リンク

トラックバック(0件)

タイトル (本文) ブログ名/日時

トラックバック用URL help


自分のブログにトラックバック記事作成(会員用) help

タイトル
本 文

コメント(0件)

内 容 ニックネーム/日時

コメントする help

ニックネーム
本 文
ナオミ・クライン「NOでは足りない トランプ・ショックに対処する方法」これは国民必読本 Dora_PaPa_san's_Pages/BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる