星亮一編「「朝敵」と呼ばれようとも」

官軍と戦い戦死したか、もしくは投降した幕府側の人々で、筆者グループは「殉国の志士」と呼ぶ。確かに、薩長土肥の人々や浪人たちが維新の志士なら、こちらも志士だろう、負けると分かっても戦わざるを得ない殉国の志士。 目の付け所は、とてもいいし、私もかなり興味あるから手に取ったのだけれども、全体的に記述が薄く、経歴を記すだけでページが尽きて…
コメント:0

続きを読むread more

林えいだい「筑豊・軍艦島 朝鮮人強制連行、その後」

以前、長崎軍艦島が世界遺産に登録されるという話があり、韓国から抗議があったと聞く。そのときはずいぶん細かいことに文句言うものだと思ったが、この本を読むと、これなら私でも抗議したかもしれないと思いなおす。それほどに、軍艦島(端島)は朝鮮人、中国人の犠牲が大きい。筆者も言う。 「端島は観光資源ではなく、炭鉱犠牲者、とりわけ朝鮮人、中国人の追…
コメント:0

続きを読むread more

辻村深月「朝が来る」

佐都子と夫の清和は武蔵小杉のタワーマンションの高層階に住む、しつかりとした、きちんとした生活を築いている。それでも、息子、朝斗の通う幼稚園でトラブルが起こり、孤立してしまうこともあった。しかし、二人は朝斗を信じることで乗り越える。きちんとした人生だ。 一方、片倉ひかりは、ピアノ発表会の都度、家族で行くレストランを楽しみにしていた普…
コメント:0

続きを読むread more

宮下洋一「安楽死を遂げるまで」

日本でも早く安楽死法が成立して欲しいと思う。筆者宮下洋一氏が取材した患者の中にも、安楽死法が成立して何時でも死ねると思った時から、安楽死の選択をしないで済んでいるという人がいる。選択肢があるということはとても意味のある事だ。 筆者宮下洋一氏は、とくに安楽死の専門家でも、長らくこの問題を考えつづけたというわけではなさそうだ。だからな…
コメント:0

続きを読むread more

ジョセフ・E・スティグリッツ「世界に分断と対立を撒き散らす経済の罠」

スティグリッツ氏の主張がたいへんよくわかるたくさんのレポートをテーマによってまとめ、それらに氏自身の解説を加えたもの。 氏の主張を私なりに簡潔にまとめると、アメリカはレーガン政権以来の間違った政策によって極端な不平等社会となっている。不平等は経済的に見ても成長の阻害になるから、経済政策として今の米国のような極端な不平等をなくさないとい…
コメント:0

続きを読むread more

金時鐘「朝鮮と日本に生きる 済州島から猪飼野へ」

日韓の話題で、韓国側が「親日派」を非難していたことかあり、日本側がなんだなんだ、なぜ親日を非難するんだと問題にする、というやりとりがあった。日本人はついこの間の歴史すら知らないのだとおもう。金時鐘氏の「朝鮮と日本に生きる 済州島から猪飼野へ」を読むと、1945年の「解放」後に、いかに米軍と植民地時代の「親日派」が反共のために韓国民衆を蹂…
コメント:0

続きを読むread more

映画「風をつかまえた少年」

アフリカの最も貧しい国の一つマラウイの更に何もない村に住むカムクワンバ一家、洪水と旱魃による飢饉で死者も出る苦しみに、中学生の息子が図書館の本を読みながら、風力を使って電気を得て地下水をくみ上げる仕組みを作り、穀物の収穫まで頑張った村民を助けた物語だ。 トライウェル・カムクワンバ(キウェテル・イジョフォー)は、兄の土地もなぜか相続…
コメント:0

続きを読むread more

映画「ひろしま」

1953年8月に作られながらも、配給会社松竹の米国や政府に対する忖度から大手チャネルでは公開されず、細々と自主上映などで公開されてきたという。そしてなぜか、NHKが今年放映した。 作成時のドキュメンタリーも含めて。公開を辛抱強く続けてきたのは、撮影時の監督助手だった肩の息子さん、そしてさの遺志を継いだお孫さんという。  原作は「原…
コメント:0

続きを読むread more

アーシュラ・K・ル=グウィン「空を駆けるジェーン」

アーシュラ・K・ル=グウィン「空を駆けるジェーン」(講談社 2001.9.20) ル=グウィン氏とみて、ひょっとして「ゲド戦記」の作家かなと思ったら、やはりそうだった。こんなファンタジー絵本も書いていたなんて。 ジェーンは、仲の良い異父兄弟とともに田舎に住んでいたけれども、どうしても変化を求めたくて、ひとりで街に出た。 しか…
コメント:0

続きを読むread more

辺見庸「月」

「1★9★3★7」をはじめ、その独特の言葉をつむぎだす辺見庸氏の最新作は、明らかに昨年の相模原の津久井やまゆり園における障害者殺傷事件を素材としている。素材というよりも、ひょっとしたらいろいろと取材をして、かなり実態に近いのではないかと考えてしまうが、恐らくかなりは辺見氏の創作だろう。 なぜなら、キーちゃんと呼ぶ入所者の思いを通し…
コメント:0

続きを読むread more

映画「この世界の片隅に」

「夕凪の街 桜の国」でも、さりげなく戦争の悲しみと怒りを語ったこうの史代氏の原作の映画化で、この映画も、広島と呉で暮らす人々の日常を丁寧に描き、おもわぬ流れで戦争に巻き込まれてゆく怒りを静かに語っている。  広島に暮らす浦野すず(のん)は、のんびり屋さんで絵を描くのが好きな18歳の女の子。呉に住む北条周作に見初められて、急に縁談が…
コメント:0

続きを読むread more

映画「この空の花 長岡花火物語」

何度かの劇場公開時にその都度見逃してきた「この空の花 長岡花火物語」、やっとWowoWで見られた。 これは傑作だとおもう。三部作の中でも抜きんでてすばらしい。 大林監督の、往年のリリシズムや「ハウス」の諧謔を彷彿とさせる映像美がある。 そして、悲しい、しすし、若い希望の物語もある。 大林監督の代表作といっていいのではないか。 私が…
コメント:0

続きを読むread more

マリー・ンディアイ「三人の逞しい女」

「ンディアイ」と「ン」で始まる姓は珍しい。筆者はセネガル人の父とフランス人の母との間に生まれた。訳者の解説によれば、17歳で最初の長編小説が絶賛された天才的な作家でプルースト張りの美文なのだそうだ。翻訳ではその辺のところはわからないが、確かに、文章は長く、やたらに説明が続いてゆき、ストーリーとして展開してゆくより、主たる登場人物の意…
コメント:0

続きを読むread more

映画「さらば愛しきアウトロー」

ロバート・レッドフォードの俳優としての引退作品と話題になって、見てみようと思いたった。レッドフォードは適役だ。70歳過ぎの上品で老練な銀行強盗で、誰も傷つけずに成功し続けるという、かっこいい強盗だ。被害者の銀行員は、犯人の様子を、いい人そうだとか、幸せそうだとか評している。楽しんで銀行強盗をしているなんて、ロバート・レッドフォードにぴっ…
コメント:0

続きを読むread more

映画「世界の涯ての鼓動」

「パリ、テキサス」は、私の最も好きな映画の一つであって、それだけでヴィム・ヴェンダース監督は特別な監督である。ヴェンダース監督の映画ということで、期待を込めてみたけれども、残念ながらあまり期待してはいけなかったと思った。どうもこの映画は好きになれなかった。 主演の二人、ジェームズ・マカヴォイとアリシア・ヴィカンダーも、もともとあま…
コメント:0

続きを読むread more

映画「オールド・ボーイ」

2004年のカンヌ・グランプリ作品だが、それは、このときの審査委員長がタランティーノだったからにちがいない。 日本人作家の原作まんがの映画化。15年もの間監禁されていた男が脱出して監禁の謎を探り、復讐を期すが、そこには本人も驚愕の事実が隠されていた・・・ オ・デスは、女房殺しの嫌疑をかけられていたが、刑務所のようなところで監禁され…
コメント:0

続きを読むread more

映画「パティ・ケイク$」

私の日々の生活や趣味嗜好とはまったく真逆の世界だが、こういうラッパーとしての成功を夢見て、寂れた町から抜け出そうと頑張る音楽青春映画は、好きな映画の範疇だ。 パティ・ケイクス(ダニエル・マクドナルド)は,親友でドラッグストアの店員ジェリー(シッダルト・ダナンジェイ)と、ラッパーとしての成功を夢見て、ニュージャージーの寂れた町で、街…
コメント:0

続きを読むread more

金城孝祐「教授と少女と錬金術師」

金城孝祐氏は初めての体験となる。このような小説を読むと、自分は「文学」というものが、やはり結局わからないとつくづく思う。始めからファンタジーならそれはそれで受け入れるのだが、普通の話に、常識の範囲を超えた不思議な出来事が続くと、なんとなく白けた気になってしまう。 脂肪酸で卒論を書いている薬学部5年生の私、久野はモグリで良質な油を作って…
コメント:0

続きを読むread more