映画「アド・アストラ」

人類は孤独な存在だ。知的生命体は人類が到達できる範囲には、いくら探索に出てもまったく見つからない。しかし、宇宙に仲間を求めに行って孤独を知る以前に、人は人間の間でも孤独であってしまうのはどうしてだろう。宇宙に向かって(アド アストラ)行く前に、身近な人との距離を詰め、愛に満ちた暮らしを、この美しい地球の上で行うべきなのだ、そう笑顔のフラピが言っているようだ。

英雄にして伝説の宇宙飛行士を父に持ったロイ(ブラット・ピット)は、幼いころから父の不在に対してずっと自分の心を抑えることで、我慢し続けることで対処してきた。おかけでどんな非常事態に陥っても心身ともに何も変わらない宇宙飛行士にとって最高の心理状態を維持してきた。しかし、その代わりに、妻のイヴ(リヴ・タイラー)との関係はひどく冷たいものとなっていた。

そんなロイに、宇宙軍から最高機密の任務がもたらされた。知的生命体探索プロジェクト、リマ計画のリーダーとして旅立ったロイの父、クリフォード(トミー・リー・ジョーンズ )が海王星付近に生存していて、驚くべきことに「サージ」と呼ぶ地球を破壊しかねない一連の強力エネルギーの原因になっていると。そして、火星に飛んで、そこからクリフォードに息子からのメッセージを送ってほしいと。 ロイは父は死んだものと確信しているが、軍の命令に従うしかない。軍の真意はわからないけれども・・・・。

ロイ、ブラッド・ピットのモノローグは、どこかで聴いたことがある、そんな印象のトーンだ。自省的でもあるし、時間を交差する天上的なトーンでもある。「インターステラー」かな? そのモノローグで、この物語は、いたく落ち着いた、格調高いものとなった。 SFでもあり、サスペンスでもあり、父親と息子の物語でもある。 父と子の物語として最高の「フィールド・オブ・ドリームス」に比べると、ちょっとこちらは落ちる。こちらには、あまり「感動」はないし、こちらの父親の「物語」は、あまりに父親の独りよがりが過ぎる。そのうえ、トミー・リー・ジョーンズにいつもの艶がない。

それなりに楽しめるが、アカデミー作品賞の候補には無理だろう。 リヴ・タイラーの出番が少ないことも残念。 





映画「アド アストラ」( ジェームズ・グレイ監督 AD ASTRA 2019)


オフィシャル・サイト
http://www.foxmovies-jp.com/adastra/  





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