望月衣塑子・前川喜平・マーティン・ファクラー「同調圧力」

「同調圧力」は、私が相当気にしていて。もっとも憎むもののひとつだから、期待して読んだが、あまり同調圧力の根幹に触れなかったような気がする。よく考えてみれば、望月衣塑子、前川喜平、マーティン・ファクラーの3人はもっとも同調圧力に遠い、同調圧力に押しつぶされない人々ではないか、だから、たぶん体でわかっていないから伝わらないのだろう。

同調圧力には、もうすこし、社会的・文化的な視点・考察が必要だと思う。語っている話題とは別に、もっとその道の専門家との対話を重ねて、メディアにおける同調圧力をあらためて議論してほしいものだ。

同調圧力の話題はおいておいても、いくつか、興味を惹く話題はあった。 それをいくつか挙げておく。

・ ジャパンタイムスは「安倍晋三政権に批判的だったコラムニストの記事の定期掲載をやめてから、安倍首相との単独会見が実現し、「政府系の広告はドカッと増えている」と編集企画スタッフが発言すると、「それはジャーナリズム的には致命的だ」との声も」。同調圧力など必要ない。広告費、つまり金で動いているだけだ。

・ 「第一次大戦後の民主主義のなかからナチスの独裁政権を生んでしまった苦い経験をもつドイツでは、選挙権が18歳以上に引き下げられた1970年代になって、「ボイステルバッハ・コンセンサス」と呼ばれる政治教育に関するガイドラインが作り出されている。 政府や公的機関ではなく民間で議論が積み重ねられた末に、中立性を保った政治教育を実現させるための3カ条の原則が導き出された」。 つい最近も、政治の話題が高校生に適切でないという文科相がいた。

・ 「インターネット上には、調査報道を専門とする新たなメディアが登場し、独自のニュースを次々と世の中へ送り出し始めていた。その代表格がニューヨーク州マンハッタンを拠点として、2007年に設立された非営利団体(NPO)の「プロパブリカ」だ」。・・・残念ながら、このサイトはまだ見つけられていない。その代わりに、https://www.axios.com  2017年1月に立ち上げられた新興媒体は、見つかる


・ 日本のジャーナリストは、ファクラー氏からみれば、ずいぶん甘い。 中国、ロシアはもちろん、アメリカだって日本より厳しい。「権力側からツイッターなどで執拗に個人攻撃を受けているケースもあまり見受けられない。2014年12月に施行された特定秘密保護法がジャーナリストや内部告発者に適用された事例も発生していない。誤解を恐れずに言えば、権力側からジャーナリストたちにかけられるプレッシャーを比べれば、アメリカの方が日本の10倍、いや100倍は強いのではないだろうか」

・ 「多角的な経営を展開する巨大グループの一部に新聞出版事業があると考えれば、新聞不況が下げ止まる兆しを見せなくとも、危機感は芽生えないだろう」・・・そこが、ニューヨークタイムスとの違いなのかもしれない

・ 「隣国の韓国では盧武鉉政権下の2003年に記者クラブ制度が廃止され、開放型ブリーフィングが導入された。盧武鉉大統領はさらに、地域ごとに3つの合同ブリーフィングセンターを新設。市民記者をはじめとする新規メディアの参入を促し、省庁ごとに設けられていた記者室や記者会見室の統廃合を進める施策を発表した」・・・やはり、民主主義は、韓国の方が進んでいるのではないか。

・ 内調は、「アメリカのCIAというよりも、スターリン時代のソ連の諜報機関を想起させますよね。後にKGBとなるGPUやNKVDと呼ばれる秘密組織が、政敵らを弾圧していた戦前に近い感覚を覚えてしまいます」と、ファクラー氏

・ テイラー・スイフトの呼びかけ、「please. please educate yourself」に教育行政の前川氏はいたく心に響くものがあったようだ。

・ 「真に自由な人間に同調圧力は無力である」前川喜平







望月衣塑子・前川喜平・マーティン・ファクラー「同調圧力」(角川新書 2019.6.10)
第一章 記者の同調圧力
1. 質問を妨げられる記者会見
2. 記者の存在意義とは
3. 同調圧力に屈しない人々
第二章 組織と教育現場の同調圧力
1. 「何もしない」という同調圧力
2. 道徳教育が生み出す同調圧力
3. 真に自由な人間に同調圧力は無力である
第三章 メディアの同調圧力
1. アメリカの報道はスクープ報道から調査報道へ
2. 日本メディアに危機感がない理由
3. 信頼できるメディアが道しるべに
座談会 同調圧力から抜け出すには






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