丸山ゴンザレス「世界の危険思想」

この方は初めて知った。 観光客があまり行かないところ、それもヤバいところを旅しているジャーナリストのようだ。それでヤバい人々についての知識が豊富なのだろう。 世界の「危険思想」とあるので、レイシズムやナチズムや優生思想、極右・極左思想などが解説されているのかと思いきや、ヤバい人々の頭の中を探るという意味らしい。 

ヤバい人々とは、殺人者、麻薬常習者、犯罪者などなどだが、彼らの頭の中には、そんなに深い話はないらしい。殺人の理由も金で頼まれたから、というシンプルなものばかりで、殺人を楽しむような、本当にヤバい頭の人の話でもない。だから、話はそこで終わってしまう。それはそれでよい。というのも、あまり異常者の頭の中を知りたいとも思わないから。

ヤバい人々の中で、筆者は、「麻薬に溺れているものほど危ない奴はいない。ここまで様々な悪いやつらの頭の中身を解説してきたが、ジャンキーほど論理的な整合性が欠けている、つまりはなにをかんがえているのかが読めない相手はいない」、と述懐する。そうなんだ。

こういう世界、裏世界のことは、もちろん分からないし、興味も湧かない。 筆者の様々な体験があったら、わざわざ、ヤバい人々の頭の中を覗こうなどと言う企画ではなく、世界の危険地域をゆく、といったテーマの方が面白かったのではないか。 もうその種のものは書き摘ましたのかもしれないが。 

最後の方に、あまり脈絡はよくわからないが、日本の殺伐とした状況に苦言を呈している。「日本にはもう少しでいいので、曖昧なままの状況を許す心が必要なんじゃないだろうか。 許せないとか、拒絶するという考え方は、世界で一番危ない考え方につながりかねないと思うのだ。すべてのことに白黒つけたがるということは、必要悪を許容しないとか、曖昧さを排除する方向につながっていくと思うからだ」。そして、「うまくいかない原因を自分以外の人間に求めだしたとき、人は危険思想に染まっていくように思っている」と。 「危険思想」との関係は、よく理解はできないが、言っていることには賛成である。



丸山ゴンザレス「世界の危険思想」(光文社新書 2019.5.30)

第1章 人殺しの頭の中
第2章 命に値段はつけられる
第3章 スラムという現実
第4章 裏社会の掟
第5章 本当は危ないセックス
第6章 世界は麻薬でまわっている
第7章 なくならない非合法ビジネス
第8章 自分探しと自己実現の果て
最終章 危ない思想は毒か薬か





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