ハンス・ロスリング「FACTFULLNESS」、評判通りのお薦め本

冒頭に13問の三択質問がある。三択だから正答率は33%だ。世界のビジネスマンでもジャーナリストでも学生デモ、筆者の言葉では、チンパンジーでも33%取れるのに、みなチンパンジーよりも正答率が低いという。たとえば、「現在、低所得国に暮らす女子の何割が、初等教育を修了するでしょう?」の問いに対して、「A.20% B.40% C.60%」という三択回答が用意されている。 

 www.gapminder.org/tools  をみるとよくわかるらしい。 ここにはいろんなグラフが公開されている。

かなり面白い。データを見れば、多くの人が世界を誤って理解している、それも根拠のない思い込みで誤解しているとわかる。特に西洋諸国の人々がアジア・アフリカを見る目は、時代遅れの偏見に近いものが多い。

ビジネスにせよ、研究にせよ、仕事で世界を見ている人でなければ、すべて興味深い雑学の類にすぎないが、いくつか挙げておく

・ 途上国と先進国ではなく、4つの所得レベルに分けるほうが分かりやすい。レベル1: ~2ドル/日 レベル2: ~8ドル/日 レベル3: ~32ドル/日 レベル4

・ 「話の中の「分断」を示す言葉に気づくこと。(中略) 多くの場合、実際には分断はなく、誰もいないと思われていた中間部分に大半の人がいる」、確かに、両極端の議論に人は流れやすい。

・ 「世界はどんどん悪くなっている」という、とんでもない勘違いはネガティブ本能のなせる業」

・ 「悪い」と「よくなっている」は両立するという指摘は、気づきにくいが大事だ。 そして、「悪いニュースが増えても、悪い出来事が増えたとは限らない」も。  日本では戦前は良かったという人も多いが、たいていそれは誤解だ。 

・ 「あなたの大切な人が酔っ払いに殺される確率は、テロリストに殺される確率よりも約50売も高い」,テロより酔っ払いのほうが怖い?

・ 「恐ろしいが、起きる可能性が低いことに注目しすぎると、本当に危険なことを見逃してしまう」。 たとえば、飛行機事故は0.001%、殺人は0.7%、・・・ らしい。 たしかに、「恐怖と危険は違う」

・ 「数字を見ないと、世界のことはわからない。しかし、数字だけを見ても、世界のことはわからない」。 比較でみる、「率」でみる ・・・とか、ここは日本の「品質管理」手法は年季が入っている。最近は全然ダメだけど。

・ 「世界中のレベル2の人たちはみんな、同じような方法で湯を沸かしている。つまり、所得の問題」

・ 戦場の兵士をあおむけ寝させずにうつぶせ寝にしていたからと言って、赤ちゃんをうつぶせにしていいわけではない。

・ 「パターン化は間違いを生み出しやすい」

・ 意外なことに「宗教と女性ひとりあたりの子供の数には、それほど関連がない。むしろ、子どもの数と強く関連するのは所得だ」

・ 「犯人ではなく、原因を探そう」「ヒーローではなく、社会を機能させている仕組みに目を向けよう」

・ 「「いますぐにきめなければならないと」と感じたら、自分の焦りに気づくこと」

そして最後に、

「事実に基づいて世界を見ることが人生の役に立つ」「事実に基づいて世界を見ると、心が穏やかになる」


訳者は、あとがきで、「この本の教えが「世界の姿」だけではなく「自分の姿」を見せてくれる」と述べている。
世界をどう見ているかというのは、自分の本音があらわれるのかもしれない。



ハンス・ロスリング「FACTFULLNESS」(日経BP社2019.1.15)
はじめに
イントロダクション
第1章 分断本能 「世界は分断されている」という思い込み
第2章 ネガティブ本能 「世界はどんどん悪くなっている」という思い込み
第3章 直線本能 「世界の人口はひたすら増え続ける」という思い込み
第4章 恐怖本能 危険でないことを、恐ろしいと考えてしまう思い込み
第5章 過大視本能 「目の前の数字がいちばん重要だ」という思い込み
第6章 パターン化本能 「ひとつの例がすべてに当てはまる」という思い込み
第7章 宿命本能 「すべてはあらかじめ決まっている」という思い込み
第8章 単純化本能 「世界はひとつの切り口で理解できる」という思い込み
第9章 犯人探し本能 「誰かを責めれば物事は解決する」という思い込み
第10章 焦り本能 「いますぐ手を打たないと大変なことになる」という思い込み
第11章 ファクトフルネスを実践しよう
ファクトフルネスの大まかなルール




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