堀有伸「日本的ナルシシズムの罪」

堀有伸氏は、南相馬市でクリニックを営む精神科医。 従って、精神医療に携わる、その実例をもとに「病」を語る。しかしながら、堀氏の語る「病」は、けっして個人の精神的「病」ではない。日本人および日本社会が抱え続けてきた「病」のことだ。それを堀氏は、「日本的ナルシシズム」と名づけている。 精神科医である筆者を訪れる人のなかに、職場など属す…
コメント:0

続きを読むread more

オリバー・ラッゼスバーガー他「データ駆動型企業」

“THE SENTIENT ENTERPRISE" が原題でもあり、また、筆者たちが提唱するモデルでもある。 感覚がある有機体、センティエント・オルガニズムという言葉が、筆者たちに気に入られたようだ。訳者は「センティエント・エンタープライズ」を「自律的データ駆動型企業」と意訳している。私には、その意味はあまりよくわからない。 IT…
コメント:0

続きを読むread more

嵐山光三郎編「文人 御馳走帖」

なかなかユニークな文庫本だ。嵐山氏が選んだ多くの「食」に関わる短編、エッセイなどを集めたもの。  まだ煮えてないと騙して少女の手を出した肉を掠め取る男・・・などの話(森鴎外「牛飼」)、、 滅菌を施していない牛乳は注意が必要だ・・・などというエッセイ(森鴎外「服乳の注意」)、文字通り闇鍋を囲む虚子や川東碧悟道・・・の姿(正岡子規…
コメント:0

続きを読むread more

中山七里「死にゆく者の祈り」

高輪顕真は教誨師として、死刑囚のさいごを見届ける役割もある。通り一遍の説教では、最後の場面を迎える死刑囚の役には立たない無力感を感じてはいる。しかし、自ら志願した仕事でもある。そんなある日、千敗教誨師の代役で行った集合教誨、内容は散々だったが、正面に座っていた死刑囚に見覚えがあった ・・・・ 真宗に帰依し、教誨師迄買って出た坊…
コメント:0

続きを読むread more

夏石蕃矢編「山頭火俳句集」

種田山頭火は、1882(明治15)年12月3日、山口県に生まれ、1940(昭和15)年10月10日、58歳で亡くなった。 早稲田大学を神経衰弱で退学したあと故郷で父の酒造業を手伝い、妻子をもち、29歳で山頭火の名で文芸雑誌に参加、その後終生の師、荻原井泉水に師事、自由律俳句にうちこむ。酒造経営が破産し、熊本に移住して古書店経営、上京して…
コメント:0

続きを読むread more

末木文美士「日本思想史」

「日本思想史」の確立はなかなかむずかしそうだ。ともすれば、「日本思想」史に偏し、イデオロギー的な懸念がうまれやすい。それを意識しすぎると普通の歴史書になってしまう。私が知りたいのは、日本「思想史」だが、確かに西洋思想史と比べて系統立ててゆくのが難しいのかもしれない。 末木氏は、日本思想史の確立を早くから力を入れておられるようだ。私…
コメント:0

続きを読むread more

映画「希望の灯り」

映画とは不思議なものだ。マーヴェルの映画とは真逆の世界、これといったストーリーも、事件も戦いもない。ヒーローもヒロインもいない、口数の少ない、どこにでもいる青年と中年の孤独なおじさん、おばさんたちだけ。そして、宇宙でも都会でもなく、巨大なスーパーマーケットの通路でささやかな希望を見いだそうとする人々の物語。 原作は、クレメンス・マ…
コメント:0

続きを読むread more

映画「THE GUILTY/ギルティ」斬新な手法、最高のサスペンス、余韻或る結末

デンマークの映画という珍しさだが、この映画の作り方はデンマークという理由ではない、クリエイターの斬新さだ。あまり詳しく書くとネタバレになってしまい、この映画の楽しみ方としてはよくない。 簡単な紹介としておく。 アスガー・ホルム(ヤコブ・セーダーグレン)は、警察官で、緊急通報指令室のおべーレーターとして、通報の電話を受けている。アス…
コメント:0

続きを読むread more

映画「ウトヤ島、7月22日」

2011年7月22日にノルウェーのウトヤ島で起きた無差別乱射テロで逃げ惑う人々のドキュメンタリー的な映画。犯人の姿は見えない。聞こえるのは銃声と逃げる人々の叫びだけ。何が起こっているのかわからない、射撃を続けているのが、どこで何人がやっているのかもわからない、ただひたすら逃げるだけ、そういう怖い映画だ。生存者の証言に基づいた作ったフィク…
コメント:0

続きを読むread more

原田マハ「常設展示室」

私は美術のことは皆目わからない。絵を見て感動するとか、なにかを感じるということが、皆無ではないけれど、めったにない。必然的に絵に興味はもたない。それでも、原田マハの美術にまつわる小説は、たいへん好きなのだ。自分では感じないが、絵に何かを感じたり、何か心を紡ぐ人の気持ちは理解できる。特に原田マハの短編小説は、家族の想いがしみわたっていて、…
コメント:0

続きを読むread more

下重暁子「極上の孤独」

下重氏は孤独をたいへん好まれるようだ。子どもの頃からの話題や一生に一度の恋愛、そして、仕事の話・・・「孤独」の話というよりは、下重氏自身の話だ。 確かに、つまらない話題で集まって群れるよりは、ひとりでいるほうが楽しいし、気が楽だ。 ただ、下重氏は、孤独が好きであっても、常日頃、そんなに孤独感は味わっていなのではないだろうか。つれあ…
コメント:0

続きを読むread more

大沼保昭「「歴史認識」とは何か」

「歴史認識」という言葉は、いまでは、1910年代から1945年終戦までの歴史をどう見るかという、特別な意味を持った言葉になっている。大沼氏と聞き手の江川氏は、幾つかの論点に絞って、その歴史のおさらいと、それぞれの立場の人々の認識のあり様を記している。研究者だけあって大沼氏の視点は、バランスに富み、決して偏った極端なものにならない。それが…
コメント:0

続きを読むread more

上西充子「呪いの言葉の解き方」

「呪いの言葉」とは、「相手の思考の枠組みを縛り、相手を心理的な葛藤のなかに押し込め、問題のある状況に閉じ込めておくために、悪意をもって発せられる言葉だ」と、筆者は説明している。この説明は感覚的にわかりにくい。 私なりに補足すれば、説得しやすく反論しにくいが実は偏った言葉を投げかけて封じるものだ。  筆者が例示した「呪いの言葉」には…
コメント:0

続きを読むread more

映画「ナチス第三の男」

ローラン・ビネの原作「HHhH」はなかなかの感動ものだったと記憶している、細部は忘れてしまったが。 そのベストセラー「HHhH」を脚色た映画である。だから、ハイドリヒがナチスの幹部になるまでの経緯にも詳しく、ハイドリヒ暗殺部隊の動きにも詳しい。 ラインハルト(ジェイソン・クラーク)は、優秀だが、酒と女にだらしない。海軍提督の友人の…
コメント:0

続きを読むread more