斎藤啓一「フランクルに学ぶ 生きる意味を発見する30章」

精神科医としてのフランクルの手法、ロゴセラピーの解説であるが、フランクルといえば「夜と霧」が切りはなせない。ロゴセラピーを確立するうえでも「夜と霧」体験は欠かせなかったのではないかという思いから、筆者は、前半に、「夜と霧」のエッセンスを解説している。

ロゴセラピーとは、「ロゴスを覚醒させる技法」であり、ロゴスとは人間の精神(生命)の源であるという。 ロゴセラピーによって、「あなたの本当の姿は、究極的にはロゴスである。大切なのは、自己の内に宿るその力を自覚し、その力を信頼し、その力に自分をゆだねること、その力にまかせて生きることなのだ。そうすれば、ロゴスの偉大な力が働いて、偉大なことが可能になるだろう・・・」


第二部を中心に、興味深いトピックをアトランダムに。

・ 「どんな些細なことでも、重要なことと同じように徹底してやること。また、どんな重要なことでも、些細なことと同じように心を落ち着けてやること」・・・これはセラピーとは別に真理だ

・ フロイトやユングは、いわば、偏った現象から人間を導き出す、心理学主義、還元主義といわれる方法であり、「偽りの科学的手法」と批判、「「主義(イズム)」というのは、部分的な偏見であり、ニヒリズム(虚無主義)の温床に他ならないと考えていた」

・ 「フランクルによれば、人間の本質とは、物質次元を超えた「精神」で」あり、わたしたちを苦悩させている原因は、「人生の意味や目的の喪失」であるという、そうかもしれない。フランクルは言う。「人間は、相当の苦難にも耐えられる力をもっている。しかし、意味の喪失には耐えられない」


・ 「自分には絶対に起こってほしくない不幸に見舞われた人を前にすると、人間は不安に駆られてしまう。(中略) その人と自分とは違うのだという「差別化」を」する。「つまり「自分はあのような災難を受けるような人間ではない」ことを証明すればいい」から、「不幸に見舞われた人々を「悪い人間」だと決めつける傾向が、なかば無意識的に働くようになる。要するに「自業自得」だと考えたいわけだ」。これが自己責任の仮面をかぶって、コロナ被害者を攻撃する理由かな?

・ 創造価値、体験価値、態度価値があり、態度価値は絶望的な状況においても、模範となるような思いやり溢れる高潔な態度をとることで達成できる意味

・ 「共通分母の技法」・・・「どちらがより意味ある選択であるかを判断する際に用いられる」、「それぞれの運命を選択したと仮定して、その将来の結果を想定し、両者を比較・検討する」

・ 「逆説志向」の技法・・・恐怖の対象から逃げるのではなく、恐怖の対象を志向する、つまり積極的に求めようとする、恐れていることをあえてする、しかもユーモアを込めて。

・ 「脱反省」の技法・・・「意識を自分自身(の機能)に向けるのではなく、行為そのものに向けさせ、自分を忘れさせる、さらには自分を越えさせる」

・ 「なぜ神経症患者は、これほどの恐怖心を抱え込んでいるのか」・・・「それは過剰な「自己保存欲求」のためである。あまりにも完全に自分を守ろうとするから、ほんの小さなことや、あいまいなことが気になって仕方がなくなるのだ。つまりあまりにも「自分」にとらわれ、自分に注意を向けすぎている状態になっている」

・ 「神経症タイプの人は、自分を忘れることができない。自分を他者にゆだねることができない。 (中略) 理由は、世界に対する根本的な信頼感が欠如しているからである」

・ 「ロゴスを覚醒させるには、自己超越が必要である。というより、ロゴスの覚醒と自己超越とは、ほぼ同義語であるといってよい。そして、自己超越のために起用されたのが「意味」(三つの価値)であった。なぜなら、人は意味ある行為に没頭することで自分を忘れる、つまり自己超越するからである。」

・ 「自分を忘れることこそ、ロゴスという「本当の自分」と一体化する道であり、空虚感を満たす「本当の幸福」をつかむ道だからである」




斎藤啓一「フランクルに学ぶ 生きる意味を発見する30章」(日本教文社2000.6.15)
まえがき
第1部 強制収容所でフランクルがつかんだもの
1 人間など、いくら優秀でも大したことはできない
2 苦しみが偽りの自分や幸福を壊した後、愛が本当の自分と幸福を打ち立てる
3 人間は近くに、神は遠くに幸福を見る
4 虚栄と誇りは違う。虚栄を満たすには他者を必要とするが、誇りは他者を継ようとしない
5 人生に何かを期待するのは間違っている。人生が、あなたに期待しているの゛
6 倒れそうな建築は、屋根に重荷は乗せるとしっかりする。人間も、負担を背負った方が強い
7 深刻なときほど笑いが必要だ。ユーモアの題材を捜し出せ。そこに現状打開の突破口がある
8 人は、自分の中の愛を目覚めさせてくれる人を愛する。愛の中に本当の自分を発見するから。
9 信じてもダメかもしれないが、信じなければ、実現するものもしなくなる。
10 苦しみ悩むのが人間なのではない。苦しみ悩むからこそ人間なのだ
11 真の勇気が試されるのは逆境のときではない。幸運なときどれだけ謙虚でいられるかで試される
12 絶望とは、もうすぐ新しい自分と新しい希望が生まれてくるという前兆である。
第2部 ロゴセラピーによる魂の癒し
13 この地上には二つの人種しかいない。品位ある人種とそうでない人種である。
14 フランクル成功の秘訣-些細なことは重要なことのように徹底してやる。重要なことは些細なことのように心を落ち着けてやる
15 自分を一面だけで判断したらその通りになる。だが、人間とは多面的な存在なのだ
16 悩む人ほど健康で人間的である。悩む能力がマヒしていないからだ。
17 見えない観客は、私たちがどのような劇を演じて行くのか、期待しながら見つめている
18 運命は何のために訪れるのか? 本当の自分に目覚めるために。
19 神が人間に期待するのは苦しみではない。レモンからレモネードを作って美味しく飲むことだ
20 自分を忘れたとき、本当の自分を発見する。本当の自分を表現するとき、自分はいなくなる
21 名優は、いかにさえない役を演じても輝き、大根役者は、いかに輝かしい役を演じてもさえない
22 人生の幸福は、どれだけ快楽を得たかではなく、どれだけ感動を得たかによって決まる
23 真の信仰を持っている人たちはすぐにわかる。彼らには優美さがある。自我や知性、地位や権力などにとらわれていないからだ。
24 小さなことが気になるのは「自分は神のように完全であるべきだ」と思い込んでいるからだ
25 人間は悩みに苦しむのではない。悩んでいる「自分自身」に苦しむのだ
26 不眠症を治すには、神様の胸に抱き寄せられるのだと信じて安心して待っていることだ
27 愛の喜びは、捕まえようとすると逃げて行く。愛を表現するときにのみ、それはやってくる
28 自分を忘れ、仕事や人間に愛を傾ける人、そんな人にはすべてがひとりでにやってくる。成功も楽しみもである
29 あなたがいるだけで世界は意味を持つし、生きている意味があると思わせる人生こそ最高だ
30 いくらすばらしい技術があっても人は癒せない。人間的な触れ合いと愛の拘留がなければ














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