映画「ヘイト・ユー・ギブ」 カーター夫妻の三人の子ども、セブンは完璧、スターは輝き、セカニは喜びを表しているという。名前に力がある。理不尽な世の中でも黒人の誇りを忘れるなと、ブラックパンサーの10項目の綱領をスターが9歳の時に教える父親マーヴェリック(ラッセル・ホーンズビー)。 そして同時に、警官に出会ったら、刺戟するな、車に乗っていたら奪取ボーと背の上に両手を置… コメント:0 2020年06月28日 映画 差別 続きを読むread more
映画「ハウス・ジャック・ビルト」 ラース・フォン・トリアー監督の映画は、「ダンサー・イン・ザ・ダーク」「アンチクライスト」「メランコリア」「ニンフォマニアックvol1」に次いで五作目だが、どうも好きになれない。まあまあ、私の好みに適ったのは、「メランコリア」だけで、「ハウス・ジャック・ビルト」を映画館で観ていたら、途中退席していただろう。 この監督は、私には、やはり一種… コメント:0 2020年06月27日 映画 続きを読むread more
ソン・ウォンピョン「アーモンド」 最近の韓国の若い作家の作品には、作家の言葉、あとがきが掲載されていることが多い。 出産直後の我が子を見て、「この子がどんな姿であっても、変わりなく愛を与えることができるだろうか。期待とまったく違う姿に成長したとしても?」と問う。そして、「その問いから、「果たして私だったら愛することができるだろうか?」と首をひねってしまうような子が二人生… コメント:0 2020年06月24日 本 小説 韓国 続きを読むread more
マイケル・オンダーチェ「戦下の淡き光」 原題の"Warlight"は、「戦時下の灯火管制の際、緊急車両が安全に走行できるように灯された薄明りを指している。この物語全体もまた、そうしたほのかな明かりに照らされるかのように、真実がおぼろにかすみ、なかなか姿を現さない」と、訳者はあとがきで述べている。そう、ほんとにそんな感じの小説だ。ぼんやりしているのだ、主題も、状況も、登場人物も… コメント:0 2020年06月23日 本 小説 続きを読むread more
菅沼栄一郎・菊池明敏「水道が危ない」 大所高所から「水道」事業の問題を論じるのでは全くなくて、あくまで現場の視点で告発しているかのような、泥臭い本だった。 要は、設備は老朽化して有収率は高まらず、節水や人口減少ために水需要は減少の一途だと。いままでは多目的ダムにも仕方なく付き合っていたが本音は参加したくない。だから、必要なのは、水道運営主体の統合化であって、民営化ではない… コメント:0 2020年06月23日 本 政治経済 続きを読むread more
森政稔「戦後「社会科学」の思想」 「社会科学」とは何だったか、あらためて問われると分からなくなるが、まあそれはいいとして、コンパクトななかにぎっしり歴史的な話題、政治的社会的経済的な話題も豊富で、なかなか良い本で、教科書や入門書としても素晴らしいと思う。私としては、1968年ごろのニューレフトの話題がたいへんなつかしかったことと、新自由主義の話題がよくまとまっていると感… コメント:0 2020年06月20日 本 社会科学 続きを読むread more
坂靖一「ヤマト王権の古代学」 なかなかおもしろい。よくロマンがあるといわれる古代史だが、古墳や遺跡の研究成果だけでなく、「日本書紀」などの記述も明らかに否定的なところ以外を参考にしつつ、大胆な想像?を繰り広げている。私には正解は当然わからないけれども、筆者がかなり踏み込んだ洞察をしているように感じる。筆者はあとがきでこんなことを語っている。「古墳はあくまで墓であって… コメント:0 2020年06月18日 本 歴史 続きを読むread more
映画「ディリリとパリの時間旅行」 なんとも楽しいアニメーションだ。ニューカレドニアからひとりやって来た少女ディリリが、自分に向けられる人種差別にもくじけることなく、いろんな人に出会い、出会った人の名前をノートに書いてゆく。今度は一体誰に出会うのだろう。ベル・エポックのパリは綺羅星のような人々が出会う街だった。そして差別されるディリリが、パリの街を震撼させる性差別悪者集団… コメント:0 2020年06月18日 映画 続きを読むread more
チョン・セラン「保健室のアン・ウニョン先生」 私もたいへ好きな作品「フィフティ・ピープル」のチョン・セランが、もともと馴れた?舞台であるファンタシーの作品で、最新作らしい。学校の怪談のような、学校の保健室をとりまく、この世のものでないものを描く短編が続く。「フィフティ・ピープル」ほどではないが、なかなか面白い。 見たくもない者が見えてしまうアン・ウニョンは、病院勤務に疲れて、… コメント:0 2020年06月11日 本 韓国 続きを読むread more
マルクス・ガブリエル他・斎藤幸平編「未来への大分岐」 斎藤幸平氏は初めて読むが、経済思想の学者さんのようだ。マイケル・ハート氏、マルクス・ガブリエル氏、ポール・メイソン氏との対談を通して、資本主義の終焉とポスト資本主義の未来を読み取ろうとする。なかなか読み応えのある、勉強になる新書本だ。新自由主義はもう続かない、社会運動やコミュニティが重要・・・・3人とも比較的明るいが、私は、どうも悲観的… コメント:0 2020年06月08日 本 政治経済 続きを読むread more
斎藤啓一「フランクルに学ぶ 生きる意味を発見する30章」 精神科医としてのフランクルの手法、ロゴセラピーの解説であるが、フランクルといえば「夜と霧」が切りはなせない。ロゴセラピーを確立するうえでも「夜と霧」体験は欠かせなかったのではないかという思いから、筆者は、前半に、「夜と霧」のエッセンスを解説している。 ロゴセラピーとは、「ロゴスを覚醒させる技法」であり、ロゴスとは人間の精神(生命)… コメント:0 2020年06月07日 本 心理学 続きを読むread more
劉慈欣「三体」 2006年に発表され、賞も受賞した評判のSFらしい。400ページを超える大部だが、三部作でその最初の本だ。二冊目、三冊目は、さらに分厚く、合わせて一冊目の3.5倍に上るらしい。確かに、えらくスケールがでかいし、地球外生命体との出会いのジャンルにしてもかなりユニークな内容だ。そして、語り口が独特だ。リアルタイムで事態が進行する部分は少なく… コメント:0 2020年06月06日 本 続きを読むread more
映画「ふたりの女王 メアリーとエリザベス」 正統な血、美貌、大胆さ、,結婚して後継者もいる、というメアリーの持つ美点、エリザベスにとって妬ましい美点が、メアリー失脚の遠因となった。 イングランドの正統な王位継承権ももつスコットランドの女王、メアリー・スチュアートは、フランスから帰国し、イングランドの女王エリザベスとの緊張関係、両女王を取り巻く王族、士族たち、周囲の、王権に対する欲… コメント:0 2020年06月04日 映画 続きを読むread more