チョン・ソヨン「となりのヨンヒさん」

なかなかユニークなSF短編のあつまりだとおもう。韓国の小説らしい社会派的なものもなくはないが、どちらといえば、かなりユニークな作家のパーソナルな想像力がつくりあげた作品だ。底流としては、あまり明るいものではなく、私の好みに合わないものも少なくなかった。その中でも、「となりのヨンヒさん」はもっとも好きな短編だ。楽しく、意外で、情感がある。「アリスとのティータイム」も次いで発見がある。


チョン・ソヨン「となりのヨンヒさん」(集英社2019.12.20)
第一部 となりのヨンヒさん
デザート
宇宙流
アリスとのティータイム
養子縁組
馬山沖
帰宅
となりのヨンヒさん
最初ではないことを
雨上がり
開花
跳躍

第二部 カドゥケウスの物語
引っ越し
再会
一度の飛行
秋風


<Ⅰ となりのヨンヒさん
<デザート
私の友Kはパートナーを、デザートでたとえている。アイスクリームとつきあっている・・・・と思いきや?

<宇宙流
宇宙をいつも夢見ていた「私」は月の開発計画に参加したくて大学に通っていたが、事故で足を失って、母親と囲碁をする日々となった・・・・

<アリスとのティータイム
国防省のリズの仕事は、各国に出張して情報収集をおこなう。ただ訪問先は外国ではなく、パラレルワールドの米国自身だ。樹木のように枝分かれした先にそれぞれの米国がある。・・・・

<養子縁組
私チウンはペア人で300歳。地球に一万年前から住んでいる。でも成長が遅いから同じ場所に長くいると、ペア人とばれてしまい転々と居を変えざるを得ない・・・・

<馬山沖
生まれは釜山だと言っているが、ほんとは馬山なのだ。何年振りか、馬山に戻る。そこで誰に出会うのだろうか・・・・

<帰宅
火星で育った私は、両親からプレゼントをもらった。月へ旅行し、そこで地球に残った家族と出会うというプログラムだった。記憶にない姉に会えるらしい・・・・

<となりのヨンヒさん
都心のマンションを安く借りられたのは、隣の部屋がアレだったからだ。地球に訪問している異星人。ガマガエルのような風貌の彼?彼女?は、イ・ヨンヒという古臭い名前だった・・・

<最初ではないことを
外交官になりたいと中国に留学したナミからある日、痛切な電話があった。未知の感染症で入院していると。親しい人が死ぬ私にとって最初でないことを願いながら、飛んでいった・・・

<雨上がり
學校でもジョンのことを誰も記憶していない。いつも異世界にいるような辛い思いをしている。教師でバランサーのチョンヨンは、ジョンの世界は時空間が不一致してると知っている・・・

<開花
インターネットの検閲を抗議して反政府活動をしている姉が永登浦の刑務所に入った。姉を訪問する私・・・。

<跳躍
モスキート音を感じてから、体が徐々に昆虫のような姿になってきた。 サイボーグ、それをなぜか当然のごとく受け入れている・・・

<Ⅱ カドゥケウスの物語
<引っ越し
カドゥケウス社の高速宇宙船の宇宙飛行士になりたいという夢が叶えられなくなりそうだ。妹の病気の治療のために、この星を離れて、医療の卓越した星に引っ越すと両親は決めたらしい・・・

<再会
カドゥケウス社の宇宙飛行士になるための卒業試験で、最優秀なスミが合格しなかったという、しかも試験飛行の途中で脱落したという。何が起こったのだろう・・・

<一度の飛行
卒業試験で行ったコスェ星にそのまま居続けてしまった青年は、一度の跳躍を再び繰り返す気にならなかったという・・・

<秋風
ナダルは食糧惑星。気象プログラムによって計画された農業生産をするだけの惑星。なぜか、この八年生産量が落ちていた。スジンは後輩と共に監査チームとして原因の調査にゆく・・・

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