映画「その日のまえに」

「その日のまえに」の「その日」は、逝く日。「その日」を知っていれば、残り少ない日々を豊かに過ごすことができる。全編をとおしてノスタルジックなリリシズムに溢れている。この抒情感は、50年前の「いつか見たドラキュラ」からまったく変わらない大林映画の特色だと私は思う。重松清氏の原作もよいのだろう。素人の南原清隆と、素人っぽく演技できる永作博美…
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オグ・マンディーノ「この世で一番の贈り物」

かつて一時期、オグ・マンディーノのような、人生を成功させるための方法論、などを語るものに、あまり抵抗感のない時期があった。若い時から、この手の自己啓発には疑念があって素直に受け取らなかった。しかしある時期、そう、「ライフ・ダイナミクス」という名のセミナーに参加した頃から、それを選択するかどうかとは別に成功や幸福を追求する方法論があっても…
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河邑厚徳他NHK「チベット死者の書」

もう30年近く前の本だが、私にはちっとも古さを感じない。死の話や仏教の話は時代を感じない。「チベット死者の書」は、チベット語で書かれた経典を、アメリカの人類学者が英語に翻訳するときにつけた題名(The Tibetan book of the Deas)に由来しているという。チベット語の原題「バルド・トドゥル」の意味している内容はすこし違…
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韓国ホームドラマ「世界で一番可愛い私の娘」

Wowow放送中の韓国ホームドラマ「世界で一番可愛い私の娘」が、5月15日で最終回を迎える。キム・ヘスク以外にファンの俳優が出演していないこともあって、あまり真面目に見ていなかったが、ほんとうに韓国ドラマのエッセンスがてんこ盛りのドラマだったなあとおもう。韓国では、最高視聴率33.6%を記録したというから、かなり人気があったのだろう。 …
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映画「魂のゆくえ」

「タクシードライバー」のポール・シュレイダーかなり強い思い入れで創った作品だそうだ。 しかし、その割には、私には、いまいち物足りない。映画館で予告編を見ていて、見に来ようかなと思っていたが見逃したものだ。今となっては見なくてよかった。 愛国的で、従軍牧師をしていたトラー牧師(イーサン・ホーク)は、息子がイラクで戦死し、それがもとで…
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映画「ブレイブ・ロード 名もなき英雄」

トルコの映画には、稀にびっくりするようにいい映画もある。 この映画は、実話に基づいた朝鮮戦争秘話だ。朝鮮戦争の国連軍の一員とした、いち早く参戦したトルコの英雄譚かとおもいきや、あれ、この子!とびっくりする少女が出演していて、俄然、見る目が変わった。韓国ドラマ「応答せよ、1988」の横町でみんなに愛された幼児、チンジュ(キム・ソル)がでて…
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映画「その土曜日、7時58分」

なんとも、豪華で渋い映画があったものだ。監督がシドニー・ルメット、主演がフィリップ・シーモア・ホフマン、共演に、イーサン・ホーク、マリサ・トメイ、アルバート・フィニー・・・もう10年以上前の作品だが、たぶん興行成績はふるわなかったろう。素人うけはしない。 娘の養育費もままならないハンク(イーサン・ホーク)に、やはり金ににも人生にも…
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E・キュープラー・ロス「死ぬ瞬間」

度重なる断捨離にも生き残った割には何年も「積ん読」だった、この本を、区立図書館のサービス停止中もあって、ようやく読み切った。別に読みにくいわけでもなく、難しいわけでもない。単に、読まなくても内容がわかっている、という思い込みがあっただけだ。あまりにも有名な本で、ロス医師らのプロジェクトチームが、死につつある入院患者に、死についてのインタ…
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NHK ETV特集「義男さんと憲法誕生」

恥ずかしながら、鈴木義男(ギダンさんと呼ぶ)という、こんな素晴らしい人がいたのかと、初めて知った。 福島に生まれ、法学を学び、東北大学教授時代、軍事教練は殺し合いを教えることと反対して大学を追われ、弁護士として治安維持法の罪に問われた人などを弁護、敗戦後日本社会党の衆議院議員となり、すばらしいタイミングで憲法改定に新たな条文や条項を追加…
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映画「リービング・アフガニスタン」

ソ連のアフガニスタン侵攻がうまくいかない膠着状況から脱すべく、ペレストロイカに伴って撤退を模索、或る部隊、自動車化狙撃部隊の、カブールの北、チャーリーカールの街からタジキスタンにつながるサラン峠を越えて撤退する。しかし、そこには、ハシャムという名の部族長が率いるゲリラ部隊がいて安全に超えられるとは考えられなかった。 そこに、撃墜さ…
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NHK 「欲望の資本主義」スピンオフ 

NHK 「欲望の資本主義」スピンオフ  スピン・オフとは、なかなか、しゃれたタイトルだが、以前に特集したシリーズの追加の番組と言うだけだ。 三人の知識人にインタビューをしている。 私の理解かおいつかなくて誤解している内容もあるかもしれないが、ざっとこんな印象だった ジョセフ・スティグリッツ ・アメリカ型の資本…
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映画「モールス」

あのすばらしいスウェーデン映画「ぼくのエリ 200歳の少女」の米国版リメイク。静かな田舎町、いつも学校でいじめられている12歳の孤独な少年オーウェン(コディ・スミット=マクフィー )は夜、隣に引っ越してきた謎の少女アビー(クロエ・グレース・モレッツ )と親しくなりながらアビーの秘密を知ってしまう。 一方、小さな田舎町を震撼させるような悪…
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映画「映画チーズ・イン・ザ・トラップ」

タイトルにわざわざ「映画」とはいっていることから、もともとテレビドラマだったものを映画化したものとわかる。主演のパク・へジンはドラマに引き続き、ここでも主演を務め、ミステリアスでクールなイケメンを好演している。 といっても、クールだから、表情に変化がないし、演技しているのか地なのかもわからない。この人は、「バッド・ガイズ」でも、ひどくク…
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リチャード・ムラー「今この世界を生きているあなたのためのサイエンスⅠ」

二冊のサイエンス入門書の前半。たいへんわかりやすく解説していて、良い本だ。良い本だが、すべて正しいかどうか、私にはわからない。 前書きに書かれていたマーク・トウェインの言葉が示唆的である。「ほとんどの人々についていえば、問題なのは無知ではなく、知っているという思い込みである」 全部知っている人はいない、知っていることと知らないことが明ら…
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映画「洗骨」

洗骨という風習が沖縄離島にあると耳にして、たまたまこの映画の存在を知った。土葬や風葬した数年後に、白骨化した骨を家族が丁寧に洗って、あらためて死者を祀る風習だ。洗骨、あるいは改葬と呼ばれる儀式を経て、はじめて本当の埋葬になるようだ。  この風習のほんとうの意義はよくわからないが、身近な死者の骨を自分の手で洗うというのは、よほど死も…
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山崎雅弘「1937年の日本人」

まず、お薦め本と書いておく。あとがきにこんな一節がある。「国民が一丸となって、挙国一致で国難に立ち向かう。一見すると、すばらしい光景に見えますが、国の指導部に戦略眼や理性的な判断能力がない、つまり「無能」である場合、真面目な国民全員が一致団結して政府の方針に従えば、国はどんなことになるのか」。 1937年のことではなく、まるで現在のこと…
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上橋菜穂子「風と行く者 守り人外伝」

用心棒稼業にして短槍の使い手バルサの物語「守り人」シリーズの外伝。タンダと所帯を持って静かに暮らす日々が多くなったバルサ、たまたま市場で助けた「サダン・タラム」という名の旅芸人グループを助けたことで、彼らのたびの護衛人となる。実は、彼らは、バルサが16歳のとき、まだジグロと2人で働いていた頃に護衛を請け負った一団だった。旅をしながら…
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橘玲「上級国民/下級国民」

何かとセンセーショナルなタイトルの新書を出版されている橘氏だが、私は初めての体験となる。 そのあまりに広い学識?に驚く。同時に、豊富な言葉に幻惑されるような気にもなる。 自分が理解できないからと言ってそれを正しくないと思ってはいけない。 橘氏のいろいろな指摘、分析、説明はただしいのだろう。しかし、結局、橘氏はこの本で、何をどうしたかった…
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ジム・ロジャーズ「日本への警告」

小里博栄氏と花輪陽子氏の取材・翻訳・監修がどの程度、ジム・ロジャーズ氏の考え方を正確に伝えているのかそれは定かではないにしても、ここに書かれてあることは、ほんとうに耳に痛いことばかりである。典型的日本人のひとりとして、読み進めるのが苦痛になるほどに、おしゃる通りです、その通りです・・・・とおもう。人生の成功も、投資の成功も、はじめからあ…
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映画「セルジオ&セルゲイ 宇宙からハロー!」

実話に基づいたフィクション、ほんわかした気分になるいい映画だが、よく考えると厳しい環境の悲しいところも少なくない物語だ。 ソ連の崩壊にともなって宇宙と地上で大きな影響を受けたふたり。 宇宙ではセルゲイがただひとり、宇宙船ミールに取り残されてしまった。そして、地上のキューバでは、経済が崩壊してセルジオが教師の職を失って、暇に任せて無線の…
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映画「スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム 」

マーベル映画は映画館で見たことがない。Wowowで流れているのをぼんやり見るのがせいぜいだから、ストーリーも中途半端にしか記憶にない。しかし、いろいろと通に聞くと、マーベル作品には作品同士で深い関係があって、全部見ている人にだけは、意味の分かるシーンが満載なのだという。  スパイダーマンシリーズの最新作「スパイダーマン:ファー・フ…
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宮口幸治「ケーキの切れない非行少年たち」

売れているそうだ。おそらくタイトルに惹かれて求めたり、電車内の広告に興味を感じるのだろう。私もそのくちだが、タイトルから受ける印象よりもはるかに専門的な内容だ。筆者は知的障害があまり世に知られていないことを懸念して分かりやすく紹介したつもりだろうが、もともと興味のなかった人には、関心を持って最後まで読み続けることはむずかしい。そういう意…
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映画「RBG 最強の85才」および 映画「ビリーブ 未来への大逆転」

若い女性たちから、「RBG」と略称で慕われる、ルース・ベイダー・ギンズバーグ最高裁判事、85歳の生い立ちから最高裁判事に指名され、現在にいたるまでのドキュメンタリー(「RBG 最強の85才」)と、ルースが性差別に対して闘う最初の裁判に至る若き日を描く伝記劇映画(「ビリーブ 未来への大逆転」)。 どちらも、たいへん感動的な映画である。私は…
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堀有伸「日本的ナルシシズムの罪」

堀有伸氏は、南相馬市でクリニックを営む精神科医。 従って、精神医療に携わる、その実例をもとに「病」を語る。しかしながら、堀氏の語る「病」は、けっして個人の精神的「病」ではない。日本人および日本社会が抱え続けてきた「病」のことだ。それを堀氏は、「日本的ナルシシズム」と名づけている。 精神科医である筆者を訪れる人のなかに、職場など属す…
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オリバー・ラッゼスバーガー他「データ駆動型企業」

“THE SENTIENT ENTERPRISE" が原題でもあり、また、筆者たちが提唱するモデルでもある。 感覚がある有機体、センティエント・オルガニズムという言葉が、筆者たちに気に入られたようだ。訳者は「センティエント・エンタープライズ」を「自律的データ駆動型企業」と意訳している。私には、その意味はあまりよくわからない。 IT…
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嵐山光三郎編「文人 御馳走帖」

なかなかユニークな文庫本だ。嵐山氏が選んだ多くの「食」に関わる短編、エッセイなどを集めたもの。  まだ煮えてないと騙して少女の手を出した肉を掠め取る男・・・などの話(森鴎外「牛飼」)、、 滅菌を施していない牛乳は注意が必要だ・・・などというエッセイ(森鴎外「服乳の注意」)、文字通り闇鍋を囲む虚子や川東碧悟道・・・の姿(正岡子規…
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中山七里「死にゆく者の祈り」

高輪顕真は教誨師として、死刑囚のさいごを見届ける役割もある。通り一遍の説教では、最後の場面を迎える死刑囚の役には立たない無力感を感じてはいる。しかし、自ら志願した仕事でもある。そんなある日、千敗教誨師の代役で行った集合教誨、内容は散々だったが、正面に座っていた死刑囚に見覚えがあった ・・・・ 真宗に帰依し、教誨師迄買って出た坊…
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夏石蕃矢編「山頭火俳句集」

種田山頭火は、1882(明治15)年12月3日、山口県に生まれ、1940(昭和15)年10月10日、58歳で亡くなった。 早稲田大学を神経衰弱で退学したあと故郷で父の酒造業を手伝い、妻子をもち、29歳で山頭火の名で文芸雑誌に参加、その後終生の師、荻原井泉水に師事、自由律俳句にうちこむ。酒造経営が破産し、熊本に移住して古書店経営、上京して…
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末木文美士「日本思想史」

「日本思想史」の確立はなかなかむずかしそうだ。ともすれば、「日本思想」史に偏し、イデオロギー的な懸念がうまれやすい。それを意識しすぎると普通の歴史書になってしまう。私が知りたいのは、日本「思想史」だが、確かに西洋思想史と比べて系統立ててゆくのが難しいのかもしれない。 末木氏は、日本思想史の確立を早くから力を入れておられるようだ。私…
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映画「希望の灯り」

映画とは不思議なものだ。マーヴェルの映画とは真逆の世界、これといったストーリーも、事件も戦いもない。ヒーローもヒロインもいない、口数の少ない、どこにでもいる青年と中年の孤独なおじさん、おばさんたちだけ。そして、宇宙でも都会でもなく、巨大なスーパーマーケットの通路でささやかな希望を見いだそうとする人々の物語。 原作は、クレメンス・マ…
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