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金敬哲(キム・キョンチョル)「韓国 行き過ぎた資本主義」

「行き過ぎた資本主義」という言葉が妥当なのかどうかはわからないが、韓国社会の過酷さは大変よく分かった。  2011年に誕生した恋愛・結婚・出産を諦めた「三放世代」が進み、あらゆるものを放棄する「N放世代」となった・・・・、5歳未満の子供たちまで英語発音能力を高めるための、舌の下側を切開して舌を長くし柔軟性を高める手術をする「大峙洞…
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メーガン・C・ヘイズ「幸せに気づく世界のことば」

たいへん楽しい、絵本のような本だ。 文章はともかく絵が素晴らしい。 世界各国の言葉で、筆者が「Happiness Passport」と思うような言葉を集めて、なぜその言葉が幸福につながるのかを、文化や背景、人びとの思いを解説している。そんな、素敵な本ではある。 当然のことに、そこには筆者の幸福感が滲み出ている。 筆者は、作家であり…
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ブレイディみかこ「This Is JAPAN 英国保育士が見た日本」

この本も間違いなくお薦め本である。ブレイディみかこ氏の著作は過去何冊か体験していて、その都度、目からうろこの発見をしている。大所高所からみた話ではなく、地べたの英国生活、保育士の体験、それらを通した確かな視点が、半端ない批評にまでなっている とくに要約することもないが、日本の新自由主義的過酷さは、英国に引けを取らないし、人権に対す…
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リチャード・パワーズ「オーバーストーリー」

これは素晴らしい本だ。わたしにとって今年最高の小説と言っていい。600ページを超える大作だから一気に読むことはできなかったが、大河小説のように、群像劇のように、壮大なスケールで、時代を俯瞰してゆく。まるで巨木の先端から世界を見るように。 展開してゆく。 訳者あとがきに訳者が要約したものが挙げられている。 「「オーバーストーリ…
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テッド・チャン「息吹」

映画「メッセージ」の原作、「あなたの人生の物語」の作者、テッド・チャンの待望の二冊目らしい。ひどく寡作な人らしい。 映画「メッセージ」はたいへん感動的な素晴らしい映画だった。原作と100%同じではないが、この映画のように、一つの解釈を経た作品を味わうのが、テッド・チャンの小説のよい読み方かもしれない。というのも、それぞれたいへん興味深い…
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マルクス・ガブリエル「世界史の針が巻き戻るとき」

日本人の聞き手にインタビューしたものをまとめた本のようだ。だから、日本の話題もあるし、聞きやすい(読みやすい)けれども、だからといって、「新実在論」がわかりやすくなるわけではない。 「今我々に起きている危機―価値の危機、資本主義の危機、民主主義の危機、テクノロジーの危機―の現状を解説して解決策を探り」、それらの危機が集約される「表…
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今村夏子「むらさきのスカートの女」

読み進めてゆくうちに、きっと大きな事件や、話の転換が起こって、「むらさきのスカートの女」と「黄色いカーディガンの女」に大きな変化が起きるにちがいない、との期待が高まるが、とくに、どうってことのない、それほどのことでもないが、ひどく微妙な展開になって・・・いったいぜんたい、この小説はなんなんだろう、と、不思議な思いで終了する。 いつ…
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ソン・ウォンピョン「アーモンド」

最近の韓国の若い作家の作品には、作家の言葉、あとがきが掲載されていることが多い。 出産直後の我が子を見て、「この子がどんな姿であっても、変わりなく愛を与えることができるだろうか。期待とまったく違う姿に成長したとしても?」と問う。そして、「その問いから、「果たして私だったら愛することができるだろうか?」と首をひねってしまうような子が二人生…
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マイケル・オンダーチェ「戦下の淡き光」

原題の"Warlight"は、「戦時下の灯火管制の際、緊急車両が安全に走行できるように灯された薄明りを指している。この物語全体もまた、そうしたほのかな明かりに照らされるかのように、真実がおぼろにかすみ、なかなか姿を現さない」と、訳者はあとがきで述べている。そう、ほんとにそんな感じの小説だ。ぼんやりしているのだ、主題も、状況も、登場人物も…
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菅沼栄一郎・菊池明敏「水道が危ない」

大所高所から「水道」事業の問題を論じるのでは全くなくて、あくまで現場の視点で告発しているかのような、泥臭い本だった。 要は、設備は老朽化して有収率は高まらず、節水や人口減少ために水需要は減少の一途だと。いままでは多目的ダムにも仕方なく付き合っていたが本音は参加したくない。だから、必要なのは、水道運営主体の統合化であって、民営化ではない…
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森政稔「戦後「社会科学」の思想」

「社会科学」とは何だったか、あらためて問われると分からなくなるが、まあそれはいいとして、コンパクトななかにぎっしり歴史的な話題、政治的社会的経済的な話題も豊富で、なかなか良い本で、教科書や入門書としても素晴らしいと思う。私としては、1968年ごろのニューレフトの話題がたいへんなつかしかったことと、新自由主義の話題がよくまとまっていると感…
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坂靖一「ヤマト王権の古代学」

なかなかおもしろい。よくロマンがあるといわれる古代史だが、古墳や遺跡の研究成果だけでなく、「日本書紀」などの記述も明らかに否定的なところ以外を参考にしつつ、大胆な想像?を繰り広げている。私には正解は当然わからないけれども、筆者がかなり踏み込んだ洞察をしているように感じる。筆者はあとがきでこんなことを語っている。「古墳はあくまで墓であって…
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チョン・セラン「保健室のアン・ウニョン先生」

私もたいへ好きな作品「フィフティ・ピープル」のチョン・セランが、もともと馴れた?舞台であるファンタシーの作品で、最新作らしい。学校の怪談のような、学校の保健室をとりまく、この世のものでないものを描く短編が続く。「フィフティ・ピープル」ほどではないが、なかなか面白い。 見たくもない者が見えてしまうアン・ウニョンは、病院勤務に疲れて、…
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マルクス・ガブリエル他・斎藤幸平編「未来への大分岐」

斎藤幸平氏は初めて読むが、経済思想の学者さんのようだ。マイケル・ハート氏、マルクス・ガブリエル氏、ポール・メイソン氏との対談を通して、資本主義の終焉とポスト資本主義の未来を読み取ろうとする。なかなか読み応えのある、勉強になる新書本だ。新自由主義はもう続かない、社会運動やコミュニティが重要・・・・3人とも比較的明るいが、私は、どうも悲観的…
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斎藤啓一「フランクルに学ぶ 生きる意味を発見する30章」

精神科医としてのフランクルの手法、ロゴセラピーの解説であるが、フランクルといえば「夜と霧」が切りはなせない。ロゴセラピーを確立するうえでも「夜と霧」体験は欠かせなかったのではないかという思いから、筆者は、前半に、「夜と霧」のエッセンスを解説している。 ロゴセラピーとは、「ロゴスを覚醒させる技法」であり、ロゴスとは人間の精神(生命)…
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劉慈欣「三体」

2006年に発表され、賞も受賞した評判のSFらしい。400ページを超える大部だが、三部作でその最初の本だ。二冊目、三冊目は、さらに分厚く、合わせて一冊目の3.5倍に上るらしい。確かに、えらくスケールがでかいし、地球外生命体との出会いのジャンルにしてもかなりユニークな内容だ。そして、語り口が独特だ。リアルタイムで事態が進行する部分は少なく…
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V.E.フランクル「夜と霧」

さて、このあまりにも有名な本も、断捨離を生き残って積まれていた、いつも読んだ気になっていて最後まで読まなかった本のひとつ。今回、パンデミックの影響で図書館からの供給が止まり、長年の宿題を果たすいい機会になった。とはいえ、200ページ足らずの本ながら、きちんと読むのは至難の業。別に難しいことが書いてあるわけではないのに、立ち止まらないと自…
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夏目漱石「明暗」

何十年ぶりの再読だろうか。多分三回目で、最初は中学生のときだと思う。妙に気に入って、漱石の中では一番好きな小説だったことだけ記憶している。しかし、中学生にこの小説がわかるだろうか。分かるわけはないという意見もあるだろうが、意外に中学生くらいになれば、なんとなくわかっているものなのだ。 さて、こんなに理屈っぽい、心理劇のような小説だ…
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フェリペ・フェルナンデス=アルメスト「人間の境界はどこにあるのだろう?」

10年以上も前の本で、なおかつ、あまり明解な答えがあるとも思えない、むずかしい問い、「人間の境界はどこにある?」を投げかけて、結論的にも、やはりわからないという、あまり読む意味を見出せない書物ではある。それでも最後まで到達したのは、やはり、この考察にも興味深い歴史があるからだ。 人間と人間でないものを分けるのが難しいのは、生物学的…
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オグ・マンディーノ「この世で一番の贈り物」

かつて一時期、オグ・マンディーノのような、人生を成功させるための方法論、などを語るものに、あまり抵抗感のない時期があった。若い時から、この手の自己啓発には疑念があって素直に受け取らなかった。しかしある時期、そう、「ライフ・ダイナミクス」という名のセミナーに参加した頃から、それを選択するかどうかとは別に成功や幸福を追求する方法論があっても…
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河邑厚徳他NHK「チベット死者の書」

もう30年近く前の本だが、私にはちっとも古さを感じない。死の話や仏教の話は時代を感じない。「チベット死者の書」は、チベット語で書かれた経典を、アメリカの人類学者が英語に翻訳するときにつけた題名(The Tibetan book of the Deas)に由来しているという。チベット語の原題「バルド・トドゥル」の意味している内容はすこし違…
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E・キュープラー・ロス「死ぬ瞬間」

度重なる断捨離にも生き残った割には何年も「積ん読」だった、この本を、区立図書館のサービス停止中もあって、ようやく読み切った。別に読みにくいわけでもなく、難しいわけでもない。単に、読まなくても内容がわかっている、という思い込みがあっただけだ。あまりにも有名な本で、ロス医師らのプロジェクトチームが、死につつある入院患者に、死についてのインタ…
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リチャード・ムラー「今この世界を生きているあなたのためのサイエンスⅠ」

二冊のサイエンス入門書の前半。たいへんわかりやすく解説していて、良い本だ。良い本だが、すべて正しいかどうか、私にはわからない。 前書きに書かれていたマーク・トウェインの言葉が示唆的である。「ほとんどの人々についていえば、問題なのは無知ではなく、知っているという思い込みである」 全部知っている人はいない、知っていることと知らないことが明ら…
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山崎雅弘「1937年の日本人」

まず、お薦め本と書いておく。あとがきにこんな一節がある。「国民が一丸となって、挙国一致で国難に立ち向かう。一見すると、すばらしい光景に見えますが、国の指導部に戦略眼や理性的な判断能力がない、つまり「無能」である場合、真面目な国民全員が一致団結して政府の方針に従えば、国はどんなことになるのか」。 1937年のことではなく、まるで現在のこと…
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上橋菜穂子「風と行く者 守り人外伝」

用心棒稼業にして短槍の使い手バルサの物語「守り人」シリーズの外伝。タンダと所帯を持って静かに暮らす日々が多くなったバルサ、たまたま市場で助けた「サダン・タラム」という名の旅芸人グループを助けたことで、彼らのたびの護衛人となる。実は、彼らは、バルサが16歳のとき、まだジグロと2人で働いていた頃に護衛を請け負った一団だった。旅をしながら…
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橘玲「上級国民/下級国民」

何かとセンセーショナルなタイトルの新書を出版されている橘氏だが、私は初めての体験となる。 そのあまりに広い学識?に驚く。同時に、豊富な言葉に幻惑されるような気にもなる。 自分が理解できないからと言ってそれを正しくないと思ってはいけない。 橘氏のいろいろな指摘、分析、説明はただしいのだろう。しかし、結局、橘氏はこの本で、何をどうしたかった…
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ジム・ロジャーズ「日本への警告」

小里博栄氏と花輪陽子氏の取材・翻訳・監修がどの程度、ジム・ロジャーズ氏の考え方を正確に伝えているのかそれは定かではないにしても、ここに書かれてあることは、ほんとうに耳に痛いことばかりである。典型的日本人のひとりとして、読み進めるのが苦痛になるほどに、おしゃる通りです、その通りです・・・・とおもう。人生の成功も、投資の成功も、はじめからあ…
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宮口幸治「ケーキの切れない非行少年たち」

売れているそうだ。おそらくタイトルに惹かれて求めたり、電車内の広告に興味を感じるのだろう。私もそのくちだが、タイトルから受ける印象よりもはるかに専門的な内容だ。筆者は知的障害があまり世に知られていないことを懸念して分かりやすく紹介したつもりだろうが、もともと興味のなかった人には、関心を持って最後まで読み続けることはむずかしい。そういう意…
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堀有伸「日本的ナルシシズムの罪」

堀有伸氏は、南相馬市でクリニックを営む精神科医。 従って、精神医療に携わる、その実例をもとに「病」を語る。しかしながら、堀氏の語る「病」は、けっして個人の精神的「病」ではない。日本人および日本社会が抱え続けてきた「病」のことだ。それを堀氏は、「日本的ナルシシズム」と名づけている。 精神科医である筆者を訪れる人のなかに、職場など属す…
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オリバー・ラッゼスバーガー他「データ駆動型企業」

“THE SENTIENT ENTERPRISE" が原題でもあり、また、筆者たちが提唱するモデルでもある。 感覚がある有機体、センティエント・オルガニズムという言葉が、筆者たちに気に入られたようだ。訳者は「センティエント・エンタープライズ」を「自律的データ駆動型企業」と意訳している。私には、その意味はあまりよくわからない。 IT…
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