Dora_PaPa_san's_Pages

アクセスカウンタ

zoom RSS ヘンリー・ペトロフスキー「エンジニアリングの神髄」は、エピソードがおもしろい

<<   作成日時 : 2014/06/13 04:32   >>

トラックバック 0 / コメント 0

途中でやめるかもしれないと思いつつ、最後まで読み進めた。 とても不思議な本だ。 ペトロフスキー氏は諧謔を好む皮肉屋さんのようで、本論よりもエピソードや雑談が面白い。 

本論は、エンジニアリングよりも科学が上と看做されていて、「ロケットの打ち上げが成功すると「科学のお手柄」ともてはやされ、うまくいかないと「エンジニアリングの失敗」と言われる」と、エンジニアの立場から愚痴っている。 「その翼でなぜうまく行くのか、物理的・数学的に完全に説明がついたのは、飛行機が空を飛び始めて何十年もたってからだった。」と、科学だけでなく、むしろ、エンジニアリングが、先行して来たという。 そして、いまの世界の諸問題の解決には、エンジニアリングが必要だと強調する。 

もちろん、愚痴っているだけではなくて、科学とともに、エンジニアリングの必要性を訴えている。 でも、その主張があまり伝わらない。 読み方が悪いことは100%認めるが、ノーベル賞もエンジニアリングがないとか、どうも科学優先が気に入らないようだ。 

工学や「技術」が、「科学」よりもむしろ尊重されている日本にいるからか、本論は、あまり興味を感じない。 もちろん、日本のエンジニアリングは、単なる要素技術やコンポネントのものづくりであって、システムに弱いというのが私の主張ではあるが。

しかし、雑談が、すこぶる面白い。ひとつだけ紹介すると、R&Dの "&" は、研究と開発をつなげるたいへん意味深な言葉で、そのつなげ方は千差万別だが、千差万別を語りたいためか、 "&" のフォント種類をたくさん図解している。また、"&"は、アンパサンドと読むが、その由来を初めて知った。 子どもがABCを暗唱するとき、「・・・X,Y,Z,& per se,and (そしてそれじたい、アンド)」と言うらしい。 その「and per se, and」がなまってアンパサンドと呼ぶようになった。・・・

そのシステムについて、筆者が語っていることが興味深い。 本当の意味でのシステムエンジニアリングだ。
「代替燃料は、たんに局地的に有益というだけではだめだ。地球全体に正味の利益をもたらすためには、世界をひとつのシステムと見なし、システムエンジアリングの手法で開発にあたらなくてはならないのである。
システムエンジニアリングは、「全体をまとめて発明し、設計し、統合すること」と定義されており、「昔ながらの、常に変わらぬ応用工学の一部」とも言われている。 エンジニアリングはたいていそうだが、これには多大な常識が必要になる。」・・・・全く、その通りだとおもう。


その他、興味を引いたところを簡単に紹介しておく。。。。。

アインシュタインは、「技術と科学とを分かつはっきりした境界線はどこにも存在しない」と語ったらしい。 そのアインシュタイン自身は、単なる科学者ではなく、特許にも詳しかった。

「概念をあつかう科学者は、それが具体物に関する概念だったとしても、じかにその具体物を扱うエンジニアより上と見なされがちだ。 モノづくりの過程では、科学がエンジニアリングに先行するはずという誤った結論は、まちがいなくこの見方に影響されている。」

「行き着くところまで行くと、「純粋科学」は「純粋真理」の探究だと考えられるようになる。」・・・そうそう、数学みたいになる。 

ヴァニーヴァーブッシュ「科学を技術に変換するのがエンジニアリングの仕事なのは誰でも知っているが、その逆も言えるのを知っている人はいない。技術を新しい科学や数学に翻訳するのもエンジニアリングの仕事なのだ。」

「フィリピンが地熱電力を開発し始めてから35年、いまでは国の電力の28%を地熱発電で生み出しており、この割合は世界最高である。」・・・・初めて知った。 


ハーディ・クロスはこう言っている。 

「エンジニアリングは、純粋科学、応用科学、そしてエンジニアリングという三位一体の一部と従来考えられている。しかし、ここで強調しておきたいのは、エンジニアリングがその一部をなす三位一体はじつは三種類あって、前述の三位一体はその一つにすぎないということだ。三種類の三位一体とは、その第一は純粋科学、応用科学、エンジニアリングであり、第二は経済学、金融、そしてエンジニアリングであり、第三は社会関係、産業関係、そしてエンジラニアリングである。」・・・・・ちょっとしつこいけれど、要は、いろいろな面でエンジニアリングを構築していかないといけない、ということだ。

「ワイパー効果」・・・新たな科学的発見が、つねにその直前の発見と矛盾すると言う現象

「エンジニアリングは、たんに既存の知識を創造的に応用して、かつて存在しなかったものを生みだすというだけではない。たとえ既存の知識が存在しなくても、つねに前にすすみつづけるのがエンジニアリングの本質なのだ。」・・・ダイナミックなのだ。 

<2000ワット社会>の実現には、技術的難題はないが、パラダイムの変化が必要

1988年 米国エンジニアリングアカデミーの創設したチャールズ・スターク・ドレイバー賞

惑星協会出資の小惑星99942アポフィスが、2036年に45000分の1で衝突する確率がある。それを予防する活動のコンテストを開催した。




ヘンリー・ペトロフスキー「エンジニアリングの神髄」(筑摩書房2014.3.25)
1. 偏在する危険
2. エンジニアリングはロケット科学
3. ドクターとディルバート
4. どちらが先か
5. 発明家アインシュタイン
6. 原則バンプ
7. 研究と開発
8. 開発と研究
9. 代替エネルギー
10. 複雑系
11. ふたつの文化
12. 不確実な科学とエンジニアリング
13. 偉業と課題
14. エンジニアリングを表象する


テーマ

関連テーマ 一覧


月別リンク

トラックバック(0件)

タイトル (本文) ブログ名/日時

トラックバック用URL help


自分のブログにトラックバック記事作成(会員用) help

タイトル
本 文

コメント(0件)

内 容 ニックネーム/日時

コメントする help

ニックネーム
本 文
ヘンリー・ペトロフスキー「エンジニアリングの神髄」は、エピソードがおもしろい Dora_PaPa_san's_Pages/BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる