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zoom RSS 植木千可子「平和のため戦争論」 必読のお薦め本

<<   作成日時 : 2015/10/12 09:36   >>

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筆者は国際関係と安全保障の専門家。 戦争の起こり方、抑止力とは何か、そして、日本の安全保障の選択について、たいへん分かりやすく、冷静に解説されている。 文句なくお薦め本だ。

とくに、日米中3国の安全保障に対する主要な関心の推移や、抑止力に対する考え方が、たいへん詳しく、また理詰めで、フムフムと納得がいく。  

安倍政権は安保法制で抑止力が高まるというが、抑止力が効いているかどうかは判らないし、簡単なものではない。 むずかしいのは、作用があれば反作用があるからでもある。 軍事力を高めても、安全保障のジレンマで、かえって安全がそがれることもある。 また抑止力のためには、懸念する国に対する明確なメッセージ、シグナルが必要で、ここまでなら攻撃されないという明確なラインが必要、つまり、信頼関係が必要という指摘は、なかなかが点が行く。

筆者は言う。 「抑止について、まず最初に言えることは、「非常に複雑」ということだ。「抑止が増す」と軽々に言えるような仕組みではない。 また、抑止力というのは効いているかどうかを知ることはできない。効いているだろう、と推測するだけである」

筆者は、集団的自衛権の行使は賛成である。 ただ、それには以下のような条件があるという。
 ・どのような場合に行使するのか明確にする
 ・中国との関係改善と関係強化に全力を傾けること
 ・先の戦争に対する日本人による検証
 
最初の条件について、安倍政権は、集団的自衛権の行使の事例をいろいろ挙げたが、どれも否定されたり、のちに自分で否定したり、説明できていない。 国民にも説明できないことが、懸念のある相手国、つまり、中国に明確なメッセージとして、あるいは、一線を示すシグナルとして、伝わるわけがない。 となれば、抑止力にならないわけである。

他の二つの条件は、安倍政権ではできないし、また、する気もないだろう。 つまり、誰が実施するかという観点でいえば、その資格がない。 安全保障政策の目的を見失っては本末転倒だ。「日本が懸念を抱いている国との紛争を予防し、協力できる関係にまで改善し発展させることだ。集団的自衛権の行使容認や同盟強化は、あくまでもその手段だ」


筆者は、安倍晋三氏は、戦争に対する畏れが足りない、それに不安を感じるというような趣旨の話をしている。



そのほか、アトランダムに興味深い話があった。


・アメリカが求めているのは、コモンズの支配、公海の航行の自由とその上空の空域の制空権の確保、宇宙とサイバー空間の支配。  では、中国は?  日本は?

・以前から、日本の若者の血を流さなければ、米国の若者も尖閣を守れない、という議論があった。  筆者はそんなことは言ってないが、こんな意見は書いている。  「国家相手には、ツケは効かない可能性があるということだ。 とくに義理人情ではなく、合理的に費用便益を計算する国の場合、その時その時で判断する。 「あの時、お世話になったから」 「あの時、日本が無理してくれたから」と日本の過去の行動に恩義を感じて、現在の政策判断をするときに日本の立場を尊重する可能性は高くない。」

・「ある戦争に参加するかどうかは、日本が参加することによって、その戦争の原因になっている脅威を取り除き、事態を改善できるかどうかに基づいて判断する必要がある。」

・「夜中に番犬が吠えなかったのは、番犬がいるから泥棒が来なくて吠えなかったのか、あるいは、もともと泥棒がいなくて吠えなかったのかはわからない」

・政策を宣言するとそれを履行しない場合にコストが生じる。これをフィアロンは観衆費用(audience cost)と呼んで抑止力との関係を説明している。観衆費用を伴う場合、その費用が大きければ大きいほど、信憑性は増す。」

・「集団的自衛権の行使は、同盟国アメリカを繋ぎ止めておく効果がある。 これまでのように日本を防衛することが自明の理でない以上、日本の側から同盟を強化する必要がある」





植木千可子「平和のため戦争論」(ちくま新書 2015.2.10)
序章  日本人は戦争を選ぶのか
第1章 世界に訪れる変化のうねり
第2章 日本の安全保障をめぐる環境
第3章 戦争はなぜ起こるのか?どうやって防ぐか?
第4章 抑止力とは何か?
第5章 グレーゾーン事態の危険
第6章 強い軍備の落とし穴
第7章 リベラル抑止
第8章 日本の選択



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